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溜めずに取り除きたい。若年層から蓄積する認知機能の低下の原因物質「アミロイドβ」。
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溜めずに取り除きたい。若年層から蓄積する認知機能の低下の原因物質「アミロイドβ」。

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・脳内のゴミとして蓄積されるアミロイドβとは?
・睡眠不足や高炭水化物食などのアミロイドβが蓄積される原因
・アミロイドβの生成を減少させる可能性のある食品

 

加齢に伴い低下する認知機能。最終的にはアルツハイマー病などの認知症を引き起こす可能性があり、高齢者の生活の質のためにも、認知機能の維持はとても大切です。以前の記事でも認知機能の低下にはさまざまな要因があることをお伝えしましたが、アミロイドβという物質は認知症の原因の1つと言われています。このアミロイドβは比較的早期から脳内に蓄積されてしまうため高齢者になってから対策を始めるのでは遅すぎる可能性があるとも。今回は、できれば溜めずに取り除きたいこのアミロイドβについてお伝えしていきます。

 

アミロイドβって何?

アルツハイマー病患者の脳に見られる老人斑(アミロイド班)の主成分であるアミロイドβ。神経の成長と修復に欠かせない役割を果たしているAPP(アミロイド前駆体タンパク質)がタンパク質分解処理されることで生成されますが[#]Chen, G. F., T. H. Xu, Y. Yan, Y. R. Zhou, Y. Jiang, K. Melcher, and H. E. Xu. 2017. “Amyloid Beta: Structure, Biology and Structure-Based Therapeutic Development.” Acta Pharmacologica Sinica 38 (9). https://doi.org/10.1038/aps.2017.28. 、このアミロイドβが脳内から排出されずにゴミとして蓄積されることで記憶と認知能力の喪失につながる神経変性のプロセスを引き起こすと言われています[#]“アミロイドβとは〜アルツハイマー型認知症の原因を探る.” n.d. Accessed June 14, 2021. https://info.ninchisho.net/mci/k130.  [#]Makin, Simon. 2018. “The Amyloid Hypothesis on Trial.” Nature 559 (7715): S4–7. 。高齢になってから蓄積が始まるわけではなく、アルツハイマー病発症の15年前という早い段階からこのアミロイドβの蓄積が始まるという研究報告もあるため、若年層だからといって無関係だとは言い切れないのです[#]Palmqvist, Sebastian, Michael Schöll, Olof Strandberg, Niklas Mattsson, Erik Stomrud, Henrik Zetterberg, Kaj Blennow, Susan Landau, William Jagust, and Oskar Hansson. 2017. “Earliest Accumulation of β-Amyloid Occurs within the Default-Mode Network and Concurrently Affects Brain Connectivity.” Nature Communications 8 (1): 1–13.

 

アミロイドβが蓄積される要因とは?

アルツハイマー病などの認知症の原因となる可能性が示唆されているアミロイドβの蓄積ですが、生理学的および病理学的観点から見てこのアミロイドβがどのようなメカニズムで蓄積されるのかは完全には解明されていません。しかし、以下のような要因がアミロイドβの蓄積に関与していると言われています。

 

睡眠不足

一般的に睡眠不足は認知機能に悪影響を与えると言われていますが、過度な睡眠不足は海馬と視床におけるアミロイドβ負荷の増加につながることが研究で報告されています[#]Cordone, Susanna, Ludovica Annarumma, Paolo Maria Rossini, and Luigi De Gennaro. 2019. “Sleep and β-Amyloid Deposition in Alzheimer Disease: Insights on Mechanisms and Possible Innovative Treatments.” Frontiers in Pharmacology 10. https://doi.org/10.3389/fphar.2019.00695. 。これは、高齢者だけに限らず27歳前後の若年層にも言えることなのです[#]Wei, M., B. Zhao, K. Huo, Y. Deng, S. Shang, J. Liu, Y. Li, et al. 2017. “Sleep Deprivation Induced Plasma Amyloid-β Transport Disturbance in Healthy Young Adults.” Journal of Alzheimer’s Disease: JAD 57 (3). https://doi.org/10.3233/JAD-161213. 。睡眠不足により、アルツハイマー病の病態メカニズムの1つである酸化ストレスやアミロイドβクリアランス(アミノロイドβ除去)に悪影響を与える可能性があるため若いからといって睡眠を削るような生活を続けていると後々認知機能に悪影響を与える可能性があるので注意しましょう[#]Wei, M., B. Zhao, K. Huo, Y. Deng, S. Shang, J. Liu, Y. Li, et al. 2017. “Sleep Deprivation Induced Plasma Amyloid-β Transport Disturbance in Healthy Young Adults.” Journal of Alzheimer’s Disease: JAD 57 (3). https://doi.org/10.3233/JAD-161213.

 

高炭水化物食

高脂肪、低炭水化物の食事法であるケトジェニックダイエット。高脂肪食や高コレステロール食が認知症の原因になるという見解を示す研究結果もありますが[#]Van der Auwera, Ingrid, Stefaan Wera, Fred Van Leuven, and Samuel T. Henderson. 2005. “A Ketogenic Diet Reduces Amyloid Beta 40 and 42 in a Mouse Model of Alzheimer’s Disease.” Nutrition & Metabolism 2: 28. 、主に炭水化物から得るブドウ糖の代わりに脂肪合成や分解の過程で発生するケトン体をエネルギー源とするケトジェニックダイエットは、血糖値を下げ脳の炎症を防ぎ認知機能の改善に有効性があるとも言われています[#]Lewis, Beata. 2019. “Ketogenic Diet and Dementia.” mind body seven. June 4, 2019. https://www.mindbody7.com/news/2018/12/23/concerned-about-dementia-consi.... 。その理由の1つに含まれるのがケトジェニックダイエットによるアミロイドβ量の低下の促進です。ある研究では、ケトン食を40日間与えられたマウスのアミロイドβレベルが25%低下したことが分かっています[#]Rusek, Marta, Ryszard Pluta, Marzena Ułamek-Kozioł, and Stanisław J. Czuczwar. 2019. “Ketogenic Diet in Alzheimer’s Disease.” International Journal of Molecular Sciences 20 (16). https://doi.org/10.3390/ijms20163892. 。また、高炭水化物食での高血糖により脳内でアミロイドβの蓄積を促進する可能性も示唆されています。次のセクションでさらに説明します。

 

 

2型糖尿病

インスリン分泌不全とインスリン抵抗性による疾患である2型糖尿病は、意外にもアルツハイマー病などの神経変性疾患とも関りがあります。膵臓から分泌されるインスリンによってコントロールされている血糖値ですが、使用済みのインスリンはインスリン分解酵素によって分解されます。このインスリン分解酵素はアミロイドβも分解する働きを持ちますが、高血糖状態が続くことで、このインスリン分解酵素の多くがインスリンの分解のために消費され、アミロイドβの分解が阻害されると言われています[#]“「糖尿病と認知症(アルツハイマー病)」|東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部.” n.d. Accessed June 14, 2021. https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column20151125.html. 。よって、血糖値スパイクの要因となる炭水化物などの高GI食品は、結果的にアミロイドβの蓄積を誘発する可能性があるのです。生活習慣病の代表的な疾患である2型糖尿病の発症を予防することで、同時に認知機能障害のリスクの軽減も期待できます。

 

アルコール

飲酒による脳の損傷の可能性はさまざまな研究で示唆されていますが[#]“Alcohol and Dementia.” n.d. Accessed June 14, 2021. https://www.alzheimers.org.uk/about-dementia/risk-factors-and-prevention.... 、あるマウスの研究では、アルコールの摂取が脳内の免疫細胞であるミクログリアからアミロイドβを除去する働きを妨げる可能性があることが報告されています。過度な飲酒を行った45分後にはその除去作用が16%減少するとのこと。アルコールは脳の老化及び身体的な老化の原因になるのでほどほどに[関連記事:酒飲みって老けて見える人多くない?無視できないアルコール摂取による老化の促進。]。

 


 

 

アミロイドβの生成を減少させる可能性のある食品とは?

アミロイドβの蓄積を抑えるために上記で述べた4つのポイントを抑えることがとても重要になりますが、さまざまな研究でアミロイドβの生成を抑える働きが期待できる以下のような食品や栄養素が報告されています。

 

ビタミンB群

Bl、 B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンと8種類あるビタミンB群ですが、葉酸、B6、B12の混合ビタミンB群を摂取した被験者の血清アミロイドβのレベルが低下したというデータがあります[#]“B-Vitamins Reduce Plasma Levels of Beta Amyloid.” 2008. Neurobiology of Aging 29 (2): 303–5. 。中でもビタミンB12は単体でもアミロイドβの毒性を低下させるという研究結果も。ミトコンドリアの断片化及びエネルギー障害や体の酸化ストレスを軽減する機能を持つビタミンB12をサプリメントなどで摂取するのも1つの方法です[#]Lam, Andy B., Kirsten Kervin, and Jessica E. Tanis. 2021. “Dietary Vitamin B12 Reduces Amyloid-β Proteotoxicity by Alleviating Oxidative Stress and Mitochondrial Dysfunction.” bioRxiv. https://doi.org/10.1101/2021.02.22.432392.

 

カプサイシン

唐辛子の主成分であるカプサイシン。ある研究では、カプサイシンが豊富な食事を摂取している40歳以上の人の血清アミロイドβレベルが低いことが分かっています[#]Wang, Jun, Bin-Lu Sun, Yang Xiang, Ding-Yuan Tian, Chi Zhu, Wei-Wei Li, Yu-Hui Liu, et al. 2020. “Capsaicin Consumption Reduces Brain Amyloid-Beta Generation and Attenuates Alzheimer’s Disease-Type Pathology and Cognitive Deficits in APP/PS1 Mice.” Translational Psychiatry 10 (1): 1–12. 。興味深いことに、カプサイシンを頻繁に料理に使用する中国西部のアルツハイマーの発生率が中国東部に比べて低いというデータもあります。マウスの研究でも、カプサイシンが認知機能の低下を防ぐということが報告されています[#]Wang, Jun, Bin-Lu Sun, Yang Xiang, Ding-Yuan Tian, Chi Zhu, Wei-Wei Li, Yu-Hui Liu, et al. 2020. “Capsaicin Consumption Reduces Brain Amyloid-Beta Generation and Attenuates Alzheimer’s Disease-Type Pathology and Cognitive Deficits in APP/PS1 Mice.” Translational Psychiatry 10 (1): 1–12.

 

 

レスベラトロールとプテロスチルベン

赤ワインやブドウの皮などに含まれる抗酸化物質であるレスベラトロールのアンチエイジング効果は以前の記事でもお伝えしましたが、研究では、このレスベラトロールがアミロイドβの排出を促進する可能性があることが分かっています[#]Jia, Yongming, Na Wang, and Xuewei Liu. 2017. “Resveratrol and Amyloid-Beta: Mechanistic Insights.” Nutrients 9 (10). https://doi.org/10.3390/nu9101122. 。また、このレスベラトロールと同様にポリフェノールの1種で、レスベラトロール以上にアンチエイジング効果が期待できると言われているプテロスチルベンもアミロイドβを介したアポトーシス(細胞死の一種)を阻害する働きがあるという研究結果や[#]Fu, Z., J. Yang, Y. Wei, and J. Li. 2016. “Effects of Piceatannol and Pterostilbene against β-Amyloid-Induced Apoptosis on the PI3K/Akt/Bad Signaling Pathway in PC12 Cells.” Food & Function 7 (2). https://doi.org/10.1039/c5fo01124h. 、ブルーベリーやブドウなどに含まれているデルフィニジンというポリフェノールの1種もアミロイドβによる誘発神経毒性を改善するという研究結果もあります[#]Hyo-Shin, K. I. M., S. U. L. Donggeun, L. I. M. Ji-Youn, L. E. E. Dongho, Seong Soo Joo, Kwang Woo Hwang, and So-Young Park. 2009. “Delphinidin Ameliorates Beta-Amyloid-Induced Neurotoxicity by Inhibiting Calcium Influx and Tau Hyperphosphorylation.” Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, July, 0906221517–0906221517. 。だからといって赤ワインをガブガブ飲んでいては当然アルコールの摂取過多になり、健康への深刻な悪影響を及ぼします。老化防止の効果があると言われているポリフェノール系のサプリメントなどの摂取で補うようにしましょう。

 

 

また、亜鉛オメガ3ビタミンDなどの栄養素もアミロイドβレベルの低下に関連しているとの報告も[#]Hill, Edward, Peter Clifton, Alicia M. Goodwill, Lorraine Dennerstein, Stephen Campbell, and Cassandra Szoeke. 2018. “Dietary Patterns and β-Amyloid Deposition in Aging Australian Women.” Alzheimer’s & Dementia : Translational Research & Clinical Interventions 4: 535. 。これらは認知機能の改善だけではなくその他の健康維持・効果が期待できる欠かせない栄養素です。geefeeでも過去に個別で特集しているので、是非、参考にしてみてくださいね。

 

まとめ~若年層から蓄積する認知機能の低下の原因物質「アミロイドβ」。~
私たちの認知機能が低下するのは加齢に伴う自然の現象でもあると同時に多くの要因が重なっています。今回フォーカスしたアミロイドβの蓄積も認知機能の低下と密接な関係があり、人生の早い段階から睡眠や食生活に気を配り、10年後20年後の健康的な体と脳の維持のために今から準備をしてみてはいかがでしょうか?人は誰でも平等に齢を取りますが、生活習慣次第では、同じ年齢でも健康状態は平等ではないのです。
 

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