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サプリや散歩だけではダメ?認知症予防のために日々できること。
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サプリや散歩だけではダメ?認知症予防のために日々できること。

geefee ポイント geefee ポイント

・認知症の定義と基礎知識とは?
・有酸素運動やレクリエーション等の日常生活でできる認知症予防
・認知症に関連した健康的な食事と不健康な食事
・神経伝達物質アセチルコリンのレベルと認知症の関係性

 

年々上昇傾向にある認知症の有病率。日本では、65歳以上の高齢者の約6人に1人が認知症の有病者、アメリカでは2050年には3倍にも膨れ上がると言われている深刻な問題です。老化による物忘れ程度であれば自然な現象と言えますが、認知症になると記憶力の減退や判断力の欠如などで当事者を含め周りの家族にも多大な影響を与えてしまいます。今回フォーカスしていくのはこの認知症。サプリなどに頼らず日ごろのトレーニングでできる改善、予防策を探っていきます。

 

認知症の定義と基礎知識

高齢になると自然と発生する物忘れや判断力の低下もありますので、認知症を患っているかどうかの判断は難しいところではありますが、代表的な認知症の判断基準として、世界保健機構や米国精神医学会によるマニュアルが用いられます[#]“[認知症の定義、概要、経過、疫学].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/sinkei_degl_2010_02.pdf. 。具体的には、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断等の脳機能の障害等が挙げられます。

認知症自体は病名ではありません。アルツハイマー病や血管性認知症、パーキンソン病等の多くの異なる病気によって引き起こされる可能性がある障害疾患の1つです。その原因の1/3が生活習慣によるもの[#]“[The Lancet International Commission on Dementia Prevention and Care].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://discovery.ucl.ac.uk/id/eprint/1567635/1/Livingston_Dementia_prev.... 。2017年の研究では、

教育の欠如
中年高血圧
中年期の肥満
難聴
晩年のうつ病
糖尿病
運動不足
喫煙
社会的孤立

 

 

の9つの危険因子が報告されています。また、早期発症型認知症の症例の大部分はアルコールの使用に関連しているとの報告も[#]Koch, Manja, Annette L. Fitzpatrick, Stephen R. Rapp, Richard L. Nahin, Jeff D. Williamson, Oscar L. Lopez, Steven T. DeKosky, et al. 2019. “Alcohol Consumption and Risk of Dementia and Cognitive Decline Among Older Adults With or Without Mild Cognitive Impairment.” JAMA Network Open 2 (9): e1910319–e1910319. 。認知症を発症する特定の原因を発見するのは困難であり、薬で認知症の進行を遅らせることはできても根本的な治療法はないと言われているので、いかに早い段階から生活習慣の中で上記のような危険因子を避け、発症の予防、遅延に努めることが重要です[#]Al, Fymat. 2018. “Dementia: A Review.” Journal of Clinical Psychiatry and Neuroscience 1 (3). https://www.pulsus.com/abstract/dementia-a-review-5127.html.

 

日常生活でできる認知症予防。

加齢や生活習慣、遺伝[#]Loy, C. T., P. R. Schofield, A. M. Turner, and J. B. Kwok. 2014. “Genetics of Dementia.” Lancet 383 (9919). https://doi.org/10.1016/S0140-6736(13)60630-3. などさまざまな要因で発症する認知症。完全に発症を防ぐことは難しいと言われていますが、発症の遅延やリスクの軽減、予防のために以下のようなことを実践すると効果があると言われています。

 

・有酸素運動や筋力トレーニング

一般的に言われていているのが、散歩などの歩行運動。しかし、計画性もなくただ歩くだけではあまり効果が期待できないと言われています。歩行速度が遅い人よりも速い人の方が認知症を発症するリスクが低くなるという研究結果や[#]Hackett, R. A., H. Davies-Kershaw, D. Cadar, M. Orrell, and A. Steptoe. 2018. “Walking Speed, Cognitive Function, and Dementia Risk in the English Longitudinal Study of Ageing.” Journal of the American Geriatrics Society 66 (9). https://doi.org/10.1111/jgs.15312. 、有酸素運動が脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官である海馬の凝縮を遅らせるという研究結果もあるため[#]“Exercise Training in Amnestic Mild Cognitive Impairment: A One-Year Randomized Controlled Trial” n.d. Accessed December 21, 2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31403944/. 、ただ何となく体を動かすのではなく、認知症予防の運動として有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れるのも1つの方法。

ある研究では、1日60分の有酸素運動と筋力トレーニングの総合的な運動プログラムを週に3回、4年間行った研究で認知症のリスクが軽減される可能性の評価が高いことが示されています[#]Iuliano, Enzo, Alessandra di Cagno, Adriana Cristofano, Antonella Angiolillo, Rita D’Aversa, Santina Ciccotelli, Graziamaria Corbi, et al. 2019. “Physical Exercise for Prevention of Dementia (EPD) Study: Background, Design and Methods.” BMC Public Health 19. https://doi.org/10.1186/s12889-019-7027-3. 。早歩きやエアロビクスやダンスなどの有酸素運動、また簡単な腕立て伏せや腹筋運動などの筋力トレーニングを日常的に行うことで筋力や体力の維持だけでなく、認知能力の保護、持続にも役立ちます。当然、身体能力が年齢によって異なりますので、1日60分はあくまでも指標として無理のない程度に出来る範囲で実践してみると良いでしょう。

 

・レクリエーション要素を含んだゴルフ等のスポーツ

「国立長寿医療研究センター」の研究結果によると、歩行、コミュニケーション、思考能力、また自然に触れ合うといった多面的な要素から構成されるゴルフも認知症予防として潜在的な有用性は高いことが示唆されています[#]“[長寿医療研究開発費 平成28年度 総括研究報告].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/28/28xx-29.pdf. 。テニスや高齢者の間で頻繁に行われるスポーツでもあるゲートボールなどの認知症予防効果の研究結果は一貫していませんが、ミニテニスで認知症が改善傾向を示した例もあるため、体が動く範囲で積極的にこういったスポーツに取り組むことを検討してみてください。

 

 

・趣味などの余暇活動

定期的な読書やパズルゲーム、楽器の演奏、園芸などのいわゆる趣味活動を行うことは認知症の発症率の軽減につながると言われています[#]“[Leisure Activities and the Risk of Dementia in the Elderly].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa022252. 。 趣味に興じることは脳のトレーニングにもなり、また、他者とのコミュニケーションの機会が増えます。ゴルフ同様、脳と体を動かすような趣味を積極的に行いましょう。

 

認知症のリスクを高める、抑える可能性のある食事とは?

あたり前のようですが、不健康な食生活は、認知症の要因となる脳の損傷を促進する可能性があります。特に以下のような食品は注意が必要。

  • アステルパーム等の人工甘味料を含んだソーダやスポーツドリンク、エナジードリンク[#]“Risk of Stroke and Dementia Increased by Artificially Sweetened Beverages - IPCCS.” n.d. Accessed December 21, 2020. http://www.epccs.eu/d/684/risk-of-stroke-and-dementia-increased-by-artif....  [#]Moreira, P. I. 2013. “High-Sugar Diets, Type 2 Diabetes and Alzheimer’s Disease.” Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care 16 (4). https://doi.org/10.1097/MCO.0b013e328361c7d1.
  • グリセミック指数の高いパンやご飯などの炭水化物の摂り過ぎ[#]“[Diet-Induced Cognitive Deficits: The Role of Fat and Sugar, Potential Mechanisms and Nutritional Interventions].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4555146/pdf/nutrients-07-05....
  • 人工由来のトランス脂肪酸[#]“Saturated and Trans Fats and Dementia: A Systematic Review.” 2014. Neurobiology of Aging 35 (September): S65–73.
  • 高度加工食品[#]Berti, V., J. Murray, M. Davies, N. Spector, W. H. Tsui, Y. Li, S. Williams, et al. 2014. “Nutrient Patterns and Brain Biomarkers of Alzheimer’s Disease in Cognitively Normal Individuals.” The Journal of Nutrition, Health & Aging 19 (4): 413–23.
  • 魚に含まれる水銀などの重金属汚染物質[#]Bernhoft, Robin A. 2011. “Mercury Toxicity and Treatment: A Review of the Literature.” Journal of Environmental and Public Health 2012 (December). https://doi.org/10.1155/2012/460508.
  • アルコール[#] Koch, Manja, Annette L. Fitzpatrick, Stephen R. Rapp, Richard L. Nahin, Jeff D. Williamson, Oscar L. Lopez, Steven T. DeKosky, et al. 2019. “Alcohol Consumption and Risk of Dementia and Cognitive Decline Among Older Adults With or Without Mild Cognitive Impairment.” JAMA Network Open 2 (9): e1910319–e1910319.

 

 

これらの食品は以前のgeefeeの記事でも掲載した避けるべき食品群がほとんど。こういった食事を避けることは、脳の損傷、認知機能の低下のリスクを軽減するだけでなく糖尿病や体の炎症等を防ぐことにも繋がります。普段の食生活から取り除くべき食品です。

 

また、以下のような栄養素が含まれた食品は、逆に認知機能の低下を防ぐ可能性があると言われています。

  • コーヒーなどに含まれている適度なカフェイン[#]Cao C, Loewenstein DA, Lin X, et al. High Blood caffeine levels in MCI linked to lack of progression to dementia. J Alzheimers Dis. 2012;30(3):559–572. doi:10.3233/JAD-2012-111781
  • 葉物野菜などのビタミンB9と葉酸[#]Morris MC, Wang Y, Barnes LL, Bennett DA, Dawson-Hughes B, Booth SL. Nutrients and bioactives in green leafy vegetables and cognitive decline: Prospective study. Neurology. 2018;90(3):e214–e222. doi:10.1212/WNL.0000000000004815
  • チョコレートなどのココアフラボノイド[#]Socci, Valentina, Daniela Tempesta, Giovambattista Desideri, Luigi De Gennaro, and Michele Ferrara. 2017. “Enhancing Human Cognition with Cocoa Flavonoids.” Frontiers in Nutrition 4. https://doi.org/10.3389/fnut.2017.00019.
  • 魚などのオメガ3[#] Cole GM, Ma QL, Frautschy SA. Omega-3 fatty acids and dementia. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2009;81(2-3):213–221. doi:10.1016/j.plefa.2009.05.015 (ただし大型魚は水銀などの重金属が多く含まれていることと、放置したりグリルなどの高温調理をすると酸化して健康を害するようになるので注意)
  • クルクミン[#]Sarker MR, Franks SF. Efficacy of curcumin for age-associated cognitive decline: a narrative review of preclinical and clinical studies. Geroscience. 2018;40(2):73–95. doi:10.1007/s11357-018-0017-z

 

 

また、オメガ3やビタミンB、マグネシウムなどの栄養素が多く含まれる食材を中心とした食事スタイルである「地中海式ダイエット」は、認知機能の改善と発症リスクを低下させることが研究で分かっています[#]Petersson SD, Philippou E. Mediterranean Diet, Cognitive Function, and Dementia: A Systematic Review of the Evidence. Adv Nutr. 2016;7(5):889–904. Published 2016 Sep 15. doi:10.3945/an.116.012138

【関連記事】「天敵は砂糖!地中海式ダイエットでうつ症状を改善する方法
 

 

アセチルコリンと認知症の関係性

以前の記事でもお伝えした神経伝達物質であるアセチルコリンは、加齢により減少する傾向があります。また、認知症の患者のアセチルコリンレベルが低いことが分かっているため[#]Blusztajn, Jan Krzysztof, Barbara E. Slack, and Tiffany J. Mellott. 2017. “Neuroprotective Actions of Dietary Choline.” Nutrients 9 (8): 815. 、アセチルコリンの分解を抑え、脳内のアセチルコリンの量を増やす作用を持つアセチルコリンエステラーゼ阻害薬が認知症治療薬として使用されます。こうした薬に頼らなくても、アセチルコリンを十分に補給することが認知症のリスクを軽減する可能性があるので、アセチルコリン前駆体であるコリンを豊富に含んだレバーや卵などを積極的に食べることで少しでも認知症の発症を抑えられる可能性があります[#]“Egg, Whole, Cooked, Hard-Boiled Nutrition Facts & Calories.” n.d. Accessed October 7, 2020. https://nutritiondata.self.com/facts/dairy-and-egg-products/117/2.

 

 

また、潰瘍や胃炎などでの痙攣性疼痛の改善、下痢止め、膀胱炎、月経困難症などによる疼痛緩和等の薬に含まれる抗コリン薬は、アセチルコリンの作用を抑える働きがあるので、長期の服用は認知症のリスクを高める可能性があることが懸念されています[#]Merz, Beverly. 2015. “Common Anticholinergic Drugs like Benadryl Linked to Increased Dementia Risk.” January 29, 2015. https://www.health.harvard.edu/blog/common-anticholinergic-drugs-like-be.... 。胃炎、腸炎や腸炎などの鎮痙剤「ブスコパン」や下痢ストッパーとして市販されている「ロートエキス」など、抗コリン薬は比較的多種の薬に含まれるので、現在服用している薬に含まれていないかを調べ、主治医と相談してみるのも良いかもしれません。

 

認知症予防のサプリメントはどう?

認知症やアルツハイマー病の進行を遅らせ抑制する、といったサプリメントが販売されていますが、これらはあくまでも記憶力の強化、脳機能の改善といったサプリメントなので、必ずしも認知症に効果があるとは言えないと厚生労働省は発表しています。また、昨年、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)は、こういった認知症サプリメントを販売している58社に対し

 

「これらの製品の効果及び安全性は欠如し、適切な診断と治療の妨げとなる可能性がある」

 

と警告をしています。

上のセクションで述べた栄養素やミネラルを含んだサプリメントが多く販売されていますが、品質はそれぞれの製品によって大きく異なります。また、あたかも認知症が改善されるというような誇大広告もネット等で見かけます。サプリメントを使用するのであれば、こういった製品の品質をしっかりと確認し、あくまでも栄養素やミネラルを補充し、脳機能の改善といった目的での使用をおススメします。脳の活性化に役立つサプリメントは以前の記事を参考にしてみてください[関連記事:脳の活性化に役立つ「Nootropic」関連のサプリメント]。

 

まとめ~認知症予防のために日々できること。~
決して他人ごとではない認知症。自分の家族や周りの人が発症する可能性、また自分自身が発症する可能性も含め、正しい知識を得て予防策を講じる必要があります。サプリメントや散歩するといった簡単な予防策ではなく、この記事で記載したような健康的な食生活やアクティブな日常生活を早い段階から積極的に行うようにしましょう。まだ若いからといって放っておくと後々ツケが回ってくるかもしれません。

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