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身近な食品や製品に潜む「ヒトに対する発ガン性がある。」物質とは?
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身近な食品や製品に潜む「ヒトに対する発ガン性がある。」物質とは?

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・IARC(国際がん研究機関)が評価する121種類の発ガン性物質とは?
・食材に付着し食事を通して摂取している可能性があるホルムアルデビド
・フルーツジュースやアルコールからも摂取する可能性のある発ガン性物質
・皮膚を透過する紫外線の長期曝露は要注意

 

心疾患や脳卒中と並んで日本の三大疫病と呼ばれているガン。病気による死因の第一位であることが長年報告されています。統計によると、日本人が一生のうちにガンと診断される確率は男性で65.0%、女性で50.2%、日本人がガンで死亡する確率は男性で26.7%、女性で17.8%と、決して他人ごとではなく、誰でも発症する可能性のある身近な病気であることが分かります。このガンの発症要因は非常に多彩で特定することがなかなか難しいため、予防や対策は生活習慣や食生活の改善を心掛けるしかないわけです。一方、「ヒトに対する発ガン性がある」と評価された避けるべき有害物質が私たちの身近なところに多く潜んでいることも事実です。今回は、この身近な発ガン性物質にフォーカスしていきます。

 

IARC(国際がん研究機関)が評価する発ガン性物質

ガン発症のメカニズム、予防、疫学等の研究するWHO(世界保健機関)の外部組織として設立されたIARC(国際がん研究機関)によって、

 

グループ1 ヒトに対する発ガン性がある。
グループ2A ヒトに対しておそらく発ガン性がある。
グループ2B ヒトに対して発ガン性がある可能性がある。
グループ3 ヒトに対する発ガン性について分類できない。
グループ4 ヒトに対する発ガン性がない。

と、発ガン性物質が5段階で評価されています。これはあくまでも根拠の強さを示す評価であって、発ガン性の強さや量に基づくリスクの大きさを示しているわけではないとされていますが、中には、私たちの生活において身近に摂取されてしまっている物質も含まれています。121種類の物質がグループ1「ヒトに対する発ガン性がある」と評価されておりますが、その中で特に注意すべき物質をピックアップしていきます[#]“List of Classifications.” n.d. Accessed October 27, 2021. https://monographs.iarc.who.int/list-of-classifications/

 

ホルムアルデビド(グループ1)

ホルマリンとしても知られている毒性の強い化学物質のホルムアルデヒド。合成樹脂の製造原料をはじめ、消毒剤や防腐剤など非常に多岐に渡り生活用品で使用されていますが、高温の燃焼物から発生したホルムアルデビドが食材に付着し食事を通して摂取している可能性があるということは以前の燻製食品の記事でもお伝えした通り[#]“ホルムアルデビドの食品への吸着と調理後の残存” n.d. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/17/2/17_2_117/_pdf. 。特にBBQや燻製といった燃焼物を使用した調理は注意が必要です。そもそも、揚げ物や焼き物などの高温で調理された食材には、アクリルアミド(グループ2A)のような発ガン性物質が含まれることもあり、極力避けるべきなのです。

 

アフラトキシン(グループ1)

以前の記事「食べ物に含まれるカビ毒と生体アミンの基礎知識」でもカビ毒(マイコトキシン)の体に与える悪影響をお伝えしましたが、カビ毒の中でも発ガン性が高いと言われているのが穀類やナッツ類、とうもろこし、ドライフルーツ等に付着するアスペルギルス属のカビによって生成されるアフラトキシンです。アフラトキシンに汚染された飼料を摂取した動物の乳中からも検出されています[#]“いろいろなかび毒.” n.d. Accessed October 27, 2021. https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/.... 。非常に毒性が強く、染色体の構造や量、細胞のDNAを変化させる遺伝子毒性と発ガン性、特に肝臓ガンのリスクとの関連性が報告されています[#]“Aflatoxins - Cancer-Causing Substances.” 2015. March 20, 2015. https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/substances/af.... 。輸入品からの検出例がほとんどで、国産品からの検出は稀であると言われていますが、日本でも特にカビが生成されやすい熱帯性の地域で生産された黒糖からアフラトキシンが検出された例もあります[#]“[食品中のアフラトキシン含有量調査].” n.d. Accessed October 27, 2021. https://www.pref.kagoshima.jp/ad08/kurashi-kankyo/kankyo/kankyohoken/sho.... 。国内におけるカビ毒に関してはこちら

 


 

 

ベンゼン(グループ1)

染料、合成ゴム、合成洗剤、殺菌剤等の製造時に使用される有害物質のベンゼン。自動車の排気ガスやタバコの煙にも含まれています。洗濯洗剤に含まれている界面活性剤の原料にもアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)と線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)といったベンゼン類の化学物質が使用されていますが[文献]、フルーツジュースやソフトドリンクに含まれる保存料の安息香酸塩とビタミン C(アスコルビン酸)が高温や光の曝露により反応し、ベンゼンが生成・検出されたという報告も多数あります[#]“[ ソフトドリンク中のベンゼンについて].” n.d. Accessed October 27, 2021. http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/chemical/benzene/benzene_drink.pdf. 。微量であるため、健康上の脅威とはならないと言われていますが、そもそも保存料が入ったようなフルーツジュースを飲む健康メリットはほぼ無いということは以前の記事でもお伝えしており、極力避けるべきでしょう。大気中にも存在するベンゼンを私たちは平均して毎日 220 μg 吸入、水道水からも極微量のベンゼンを摂取している可能性もあります[#]Pulluaim, Rebecca. 2015. “What Is Benzene?” April 7, 2015. https://www.chemicalsafetyfacts.org/benzene/. 。これらは生活環境を変えない限りなかなか避けることは難しいですが、保存料を使用した食材を可能な限り避けることで余計な摂取をしないように心がけることが重要と思われます。

 


 

 

アルコール(グループ1)

アルコールが体に悪いというのは多くの人が認識している通りですが、中にはストレス発散を目的とした飲酒がメンタルヘルスに良いと考える人もいますし、「万薬の長」といった迷信を今でも信じている人もいますよね。しかし、このアルコールもグループ1に属する発ガン性物質の1つです。アルコールが引き起こす可能性のあるガンは、口腔、咽頭、喉頭、食道、結腸直腸、肝臓と多岐に渡り、世界中で年間に35万人がアルコールに関連したガンで死亡しているというデータもあります。また、喫煙とも相乗的に相互作用すると言われていますので、心当たりのある方は改めて量を減らすか辞めることを検討しましょう。上記で述べたベンゼンやホルムアルデビドなどの有害物質と同じグループで評価づけられていることを考慮すると、やはりお酒の量は控えるべきでしょう。完全にやめないまでも、飲酒量によっても健康への影響が変わってきますので、以前に特集したアルコールに関するさまざまな記事を併せて参照してください。
 

 

日焼けマシーンによる紫外線(グループ1)

皮膚を透過する紫外線にはUVAとUVBがありますが、以前はUVBに発ガン性があると考えられていたため、日焼けマシーンの紫外線はUVAを使用する傾向にあります。しかし、最近ではUVAも発ガン性、皮膚ガンのリスクが増加するということが報告されています[#]“[日焼けマシンの安全な利用に関する調査].” n.d. Accessed October 27, 2021. https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/test/documents/hiyake_all....  [#]Office of the Commissioner. 2020. “Indoor Tanning: The Risks of Ultraviolet Rays.” September 9, 2020. https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/indoor-tanning-risks-ultr.... 。よって、90%のUVA、10%のUVBである太陽光による長時間の紫外線の曝露も当然発ガンのリスクとなりますが、太陽光に当たること自体は、ビタミンDの生成には欠かせないので、1日15分程度に留めるようにしましょう[関連記事:日本人が不足しがちなビタミンDと日光との気になる関係]。ちなみに、ビタミンDはUVBによって生成されるため、UVBを発生させない日焼けマシーンでのビタミンDの生成は期待できません。

 


 

 

まとめ~身近な食品や製品に潜む「ヒトに対する発ガン性がある。」物質とは?~
ガンは日本でも50%を超えるほど発症率が高く、なかなか原因が特定できない身近な病気である以上、身近なリスク要因を地道に排除していくしか回避する方法はありません。スタート地点として今回の記事で述べた「ヒトに対する発ガン性がある。」となるリスク要因は、日常から意識的に排除していくべきでしょう。以前に掲載した「ガンの発症リスクを高める7つの生活習慣とは?」も併せて参考にしてみてくださいね。
 

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