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鮭は全部同じと思ったら大間違い。養殖サーモンを避けるべき理由とは?
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鮭は全部同じと思ったら大間違い。養殖サーモンを避けるべき理由とは?

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・食卓や外食のサーモンのほとんどが養殖
・天然サーモンと養殖サーモンの脂肪酸の質の違いとは?
・植物性飼料、汚染物質、抗生物質、着色などの養殖サーモンの注意すべき点

 

家庭料理やお弁当、定食やお寿司など多くの場面で食べられているサーモンは、日本人の1人当たりの魚種別購入量の1位、輸入量でも1位を占める人気のあるお魚です。タンパク質、オメガ3、ミネラルといった栄養価も高く積極的に食べたい魚の1つです。しかし、現在、市場に出回っているそのほとんどは養殖のサーモン。天然のサーモンと比べて、漠然と汚染物質や抗生物質の心配や栄養価の面での違いがありそうだな、と感じても実態を知っている人は日本ではまだあまりいません。今回は、この養殖サーモンについてフォーカスしていきます。

 

 

養殖サーモンはどこで獲れてるの?

日本の食卓に並ぶサーモンはそのほとんどを養殖物に頼らざるえない状況にあります。日本で消費されているサーモンのほとんどが世界の養殖サーモン市場の90%を占めているアトランティックサーモンで、その産地はノルウェー[#]“FAO Fisheries & Aquaculture Salmo Salar.” 2004. January 1, 2004. http://www.fao.org/fishery/culturedspecies/Salmo_salar/en. 。また、過去20年間で、養殖サーモンの年間生産量は27,000トンから100万トン以上に増加しています[#]“FAO Fisheries & Aquaculture - Global Statistical Collections.” n.d. Accessed September 28, 2020. http://www.fao.org/fishery/statistics/en. 。特別に天然サーモンを選ばない限りみなさんが口にしているのは養殖サーモンであると言えます。

 

 

餌で差が出る天然サーモンと養殖サーモンの栄養価。

天然サーモンと養殖サーモンでは、そもそも摂取している餌が違うため栄養価も大きく変わってきます。以下が、栄養価の対比表です[#]“Fish, Salmon, Atlantic, Wild, Raw Nutrition Facts & Calories.” n.d. Accessed September 28, 2020. https://nutritiondata.self.com/facts/finfish-and-shellfish-products/4102/2.  [#]Fish, Salmon, Atlantic, Farmed, Raw Nutrition Facts & Calories.” n.d. Accessed September 28, 2020. https://nutritiondata.self.com/facts/finfish-and-shellfish-products/4258/2.

 

 

1/2サーモンフィレ
天然(198g)

1/2サーモンフィレ
養殖(198g)
カロリー 281 412
タンパク質 39 g 40 g
脂肪 13 g 27 g
飽和脂肪 1.9 g 6 g
オメガ-3 3.4 g 4.2 g
オメガ-6 341 mg 1,944 mg
コレストロール 109 mg 109 mg
カルシウム 2.4% 1.8%
9% 4%
マグネシウム 14% 13%
リン 40% 48%
カリウム 28% 21%
ナトリウム 3.6% 4.9%
亜鉛 9% 5%

 

天然サーモンの方が概ねミネラルが多く、養殖サーモンの方が全体的に脂肪が多くなります。しかし、注目すべき点はオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の多価不飽和脂肪の比率。以前の記事でもお伝えしたようにオメガ3とオメガ6の理想的な摂取比率は1:1から1:5のあいだ。オメガ6の摂取率が高くなることで心疾患などのリスクもあがると言われています[#]Simopoulos AP. An Increase in the Omega-6/Omega-3 Fatty Acid Ratio Increases the Risk for Obesity. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 11 May 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26950145 。上記の表をみると、天然サーモンの比率は約1:0.1、養殖サーモンの比率は約1:0.4と養殖の方が現代人が不足しがちなオメガ3の比率が高くなっています。とは言え、どちらもオメガ3が豊富であることには変わりなく、養殖物でもオメガ6の含有量が他の食品と比べて特に高いわけではありません。しかし、懸念すべき点は、その養殖環境による脂肪酸の質にあります。次のセクションで見ていきましょう。

 

養殖サーモンの植物性飼料

天然サーモンは、自然由来のオキアミなどのエビや無脊椎動物、プランクトンを食べて成長しますが、養殖サーモンは飼料によって育てられます。30年程前までは、飼料の約65%が海洋生物由来のタンパク質が使用されていましたが、2013年には約18%と年々減少しています。その代わりに使用されているのが、植物性タンパク質やオイル、小麦由来のでんぷんで約70%を占めています[#]“Utilisation of Feed Resources in Production of Atlantic Salmon (Salmo Salar) in Norway.” 2015. Aquaculture 448 (November): 365–74. 。いわゆる牛や豚などの家畜に与える飼料と同じ類の遺伝子組み換えトウモロコシや大豆などです[関連記事:腸の損傷を引き起こすGMO(遺伝子組み換え)と農薬の関連性][#]“Genetically modified plants as fish feed ingredients” n.d. Accessed September 28, 2020. https://www.researchgate.net/publication/235762978_Genetically_modified_.... 。こういった飼料によって成長した養殖サーモンは、植物に関係する健康上の問題点を引き継いでいると言え、この点では穀物飼育の肉類と似ています。

 


 

 

養殖サーモンの汚染物質

水の汚染具合や摂食物によって変わってきますが、天然サーモンも養殖サーモンも、海水、川水また餌や飼料を介して潜在的にさまざまな汚染物質を摂取して育ちます。中でも特に懸念されているものの一つが、脳卒中や発ガン性、その他の健康リスクが指摘されている汚染物質のPCB(ポリ塩化ビフェニル) [#]Bergkvist, C., M. Kippler, S. C. Larsson, M. Berglund, A. Glynn, A. Wolk, and A. Åkesson. 2014. “Dietary Exposure to Polychlorinated Biphenyls Is Associated with Increased Risk of Stroke in Women.” Journal of Internal Medicine 276 (3). https://doi.org/10.1111/joim.12194.  [#]“ATSDR - Public Health Statement: Polychlorinated Biphenyls (PCBs).” n.d. Accessed September 28, 2020. https://www.atsdr.cdc.gov/phs/phs.asp?id=140&tid=26. 。ある研究では、養殖サーモンは天然サーモンに比べ約16倍、牛肉に含まれるレベルの約4倍、その他シーフードに含まれるレベルの約3.3倍のPCBが検出され[#]“PCBs in Farmed Salmon.” n.d. Accessed September 28, 2020. https://www.ewg.org/research/pcbs-farmed-salmon. 、他の研究では8倍高いという結果も報告されています[#] Hites, R. A., J. A. Foran, D. O. Carpenter, M. C. Hamilton, B. A. Knuth, and S. J. Schwager. 2004. “Global Assessment of Organic Contaminants in Farmed Salmon.” Science 303 (5655). https://doi.org/10.1126/science.1091447. 。FDA(アメリカ食品医薬品局)ではこれらの濃度ではまだ安全としていますが、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)ではその安全性は疑問視され、1か月に1食程度に制限するべきだ、と言う衝撃的な内容の報告がされています[#]Epa, U. S., and OCSPP. 2013. “Mercury,” July. https://www.epa.gov/mercury.  [#]“PCBs in Farmed Salmon.” n.d. Accessed September 28, 2020. https://www.ewg.org/research/pcbs-farmed-salmon. 。養殖物と天然物で最も重要な違いがこのPCBの含有量と言えます。

また、魚と言えば水銀などの重金属が気になるところ。ある研究では、天然のサーモンと養殖のサーモンの水銀含有量のレベルに違いがないことが分かっていますが[#]“Preliminary Examination of Contaminant Loadings in Farmed Salmon, Wild Salmon and Commercial Salmon Feed.” 2002. Chemosphere 46 (7): 1053–74.  [#]Foran, J. A., R. A. Hites, D. O. Carpenter, M. C. Hamilton, A. Mathews-Amos, and S. J. Schwager. 2004. “A Survey of Metals in Tissues of Farmed Atlantic and Wild Pacific Salmon.” Environmental Toxicology and Chemistry / SETAC 23 (9). https://doi.org/10.1897/04-72. 、天然サーモンは銅、コバルト、カドミウム、養殖サーモンは、ヒ素のレベルが比較的高いことが分かっています[#]Foran, J. A., R. A. Hites, D. O. Carpenter, M. C. Hamilton, A. Mathews-Amos, and S. J. Schwager. 2004. “A Survey of Metals in Tissues of Farmed Atlantic and Wild Pacific Salmon.” Environmental Toxicology and Chemistry / SETAC 23 (9). https://doi.org/10.1897/04-72. 。どちらにしろ中・大型魚には重金属のリスクは付き物。食べ過ぎないように注意する必要があります。【関連記事:魚介類の食べすぎで体に水銀が蓄積!?そのリスクを避ける方法とは

 

着色されている養殖サーモン?

サーモンと言えば、美しい赤オレンジ色の印象がありますが、本来これは藻類やプランクトンなどの海洋資源に元々含まれている赤い色素のアスタキサンチンによって自然に着色されたもの。よって、飼料で育てられた養殖サーモンは自然由来の発色が難しく、消費者がイメージするサーモンの色に近づけるために着色するのが一般的です。この着色に使用されているのが、石油由来の合成アスタキサンチン[#]Shah, M. M; Liang, Y; Cheng, J. J; Daroch, M (2016). “Astaxanthin-Producing Green Microalga Haematococcus pluvialis: From Single Cell to High Value Commercial Products”. Frontiers in Plant Science. 7: 531  [#]Vittorio Maria Moretti, Tiziana Mentasti, Federica Bellagamba, Umberto Luzzana, Fabio Caprino, et al..Determination of astaxanthin stereoisomers and colour attributes in flesh of rainbow trout (Oncorhynchuss mykiss) as a tool to distinguish dietary pigmentation source. Food Additives and Contaminants, 2006, 23 (11), pp.1056-1063 。合成でも天然でも栄養価には変わりがないというデータがありますが、その安全性は確かではないと言う専門家もいます[#]“DR. MERCOLA EXPLAINS WHAT YOU NEED TO KNOW ABOUT NATURAL VERSUS SYNTHETIC ASTAXANTHIN” n.d. Accessed September 28, 2020. https://news.algaeworld.org/2016/06/mercola-need-know-natural-versus-syn... 。強力な抗酸化作用を持つアスタキサンチンは、健康効果も期待できるのは以前の記事でもお伝えした通り[関連記事:抗酸化作用が数百倍から数千倍!飲む日焼け止めとも呼ばれるアスタキサンチンとは?]。サプリなどでも摂取が可能ですが、藻類などの天然の原料を使用したアスタキサンチンを摂るようにしたいです。

 


 

 

注意したい養殖サーモンの抗生物質

これは養殖魚全般に言えることですが、養殖の際に感染症や病気にかかりやすくなるため飼料に抗生物質を添加して投与します。抗生物質については、さまざまな見解があるものの、アレルギー反応や肝臓を含めた消化器系に悪影響を与えるなどの健康への悪影響を指摘する専門家もいます[#]“Antibiotics - Side Effects.” n.d. Accessed September 28, 2020. https://www.nhs.uk/conditions/antibiotics/side-effects/. 。また、抗生物質の過剰摂取により薬に対する細菌の抵抗力が高くなり、抗生物質そのものの効果が失われるという薬剤耐性の問題も世界的に懸念されています[#]CDC. 2020. “About Antibiotic Resistance.” March 13, 2020. https://www.cdc.gov/drugresistance/about.html. 。実は、ノルウェーやカナダなどでは、養殖サーモンへの抗生物質の使用は厳しく規制されていますので[#]Morrison, D. B., and S. Saksida. 2013. “Trends in Antimicrobial Use in Marine Harvest Canada Farmed Salmon Production in British Columbia (2003-2011).” The Canadian Veterinary Journal = La Revue Veterinaire Canadienne 54 (12). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24293677/. 、この点は比較的安心です。しかし、世界2位の生産国チリの養殖サーモンからノルウェー産の530倍の抗生物質が検出されています[#]Miranda, C. D., F. A. Godoy, and M. R. Lee. 2018. “Current Status of the Use of Antibiotics and the Antimicrobial Resistance in the Chilean Salmon Farms.” Frontiers in Microbiology 9 (June). https://doi.org/10.3389/fmicb.2018.01284.  [#]Smith, P. 2008. “Antimicrobial Resistance in Aquaculture.” Revue Scientifique et Technique 27 (1). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18666490/. 。養殖サーモンをどうしても食べるのであればチリ産を避けることをおススメします。

 

まとめ~養殖サーモンを避けるべき理由とは?~
天然サーモンも養殖サーモンも様々な栄養素、特に必須脂肪酸のオメガ3、を豊富に摂取できる食品に変わりはありませんが、植物性飼料を使用することによる問題点に加え、PCBなどの汚染物質、着色、抗生物質等が含まれる養殖サーモンは健康的とは言い難く、全く違う性質の食品であるとすら言えるでしょう。そもそも、天然物であっても魚にはどうしても重金属が含まれるため、食べ過ぎには注意が必要な食品。サーモンを食べるなら少し値段が高くてもなるべく天然物を選ぶようにしましょう。

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