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夏の脱水症や熱中症対策にスポーツドリンクや塩分チャージタブレッツって必要?
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夏の脱水症や熱中症対策にスポーツドリンクや塩分チャージタブレッツって必要?

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・脱水症や熱中症の回避に必要な水分と電解質
・添加物がいっぱい入っているアクエリアスやポカリスエットなどのスポーツドリンクや塩分チャージタブレット
・スポーツドリンクの代わりに飲むべきドリンクとは?
・特に注意すべきケトジェニックダイエット中の脱水症状

 

じっとしていても汗が噴き出てくるジメジメした日本の暑い夏はとにかく喉が渇きます。水分補給は必須となり、怠ると脱水症や熱中症のリスクが伴うことも。特に熱中症は、高齢者においては半数が屋内で、若年層においては野外での運動や作業中に発生しがち。治療が遅れると脳や筋肉をはじめ心臓、腎臓に損傷を与える可能性があり、場合により死に至ることも[#] “Heatstroke.” n.d. Accessed August 9, 2021. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heat-stroke/symptoms-caus.... 。平成30年の日本では約1500人の死亡例が報告されています。ほとんどの人は喉が渇いて本能的に水分を補給していると思いますが、中には企業による誇大なマーケティング戦略の影響もありスポーツドリンクをガブガブ飲んだりタブレッツで塩分を補給している人もいますよね。でも、それって、実際どうなの?健康へのインパクトは?今回は、脱水症や熱中症の対策としてのスポーツドリンクや塩分チャージタブレットの有効性の有無にフォーカスしていきます。

 

脱水症や熱中症の回避に必要な水分と電解質

高温などの環境下で、体温調節の機能が適切に働かず、体内に熱がこもってしまうことで、めまいや頭痛、吐き気や障害などの症状を伴う熱中症のリスク要因の1つが脱水症です。特に湿度が高く猛暑の日本の夏では、体は発汗により体温を下げようとしますが、十分な水分補給を怠ることで脱水症が発生します。よって、みなさんもご存じのとおり、水分補給は欠かせないわけですが、発汗の際に水分と一緒に体から放出されるのがナトリウムなどの電解質。この電解質を水分と一緒に補う必要がありますが、その補給源として一般的に飲まれている傾向にあるのがコンビニや自動販売機などで手軽に手に入れることができるスポーツドリンクや塩分チャージタブレッツです。これらの商品は種類さまざまですが、そのほとんどに添加物が含まれ必要のない物質まで体に取り入れることになります。次のセクションで詳しく見ていきます。

 

 

スポーツドリンクには食品添加物がいっぱい

ミネラル補給、塩分チャージなど多数の種類が販売されているスポーツドリンク。特に夏になると熱中症対策飲料としてその効果が企業により打ち出されはじめますが、スポーツ飲料水、健康飲料水などと明記されていてもそのほとんどは糖質と添加物がたくさん入った清涼飲料水。以下が、みなさんもご存じのスポーツドリンクの2大銘柄の原材料です。個々の特徴を見ていきましょう。

 

アクエリアス
原材料:果糖ぶどう糖液糖、塩化Na/クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(スクラロース)、イソロイシン、バリン、ロイシン

砂糖を使用せずに、人工甘味料のスクラロースが使用されているため糖質は控えめですが、スクラロースは「シリコンバレー式」甘味料マップではレッド-避けるべき甘味料-と評価されています。ラットの研究では発ガン性があることが報告されていて、人への長期的影響はまだ分かっていないと言われているので、わざわざ好んで飲むべきではない甘味料の1つです。

 

ポカリスエット
原材料 : 砂糖、ぶどう糖果糖液糖、果汁、ぶどう糖、食塩、酸味料、塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、香料、酸化防止剤(ビタミンC)

アクエリアスとの大きな違いは砂糖。以前の記事でもお伝えしましたが、ポカリスエット500ml中には角砂糖9個分の砂糖が含まれています。結局のところ、人工甘味料を取るか、砂糖を取るかという選択肢になりますが、正直、どちらも極力避けるべきなのです。

 

 

また、共通して香料や酸化防止剤、乳酸Caなどの加工食品でおなじみの添加物も含まれていますが、異性化糖の別名であるのが果糖ぶどう糖液糖やぶどう糖果糖液糖。アメリカではコーンシロップなどと呼ばれていますが、果糖とブドウ糖を主成分とする糖の一種です。これも「シリコンバレー式」甘味料マップではレッド-避けるべき甘味料-です。遺伝子組み換えのとうもろこしが使用されていることでも知られていますが、要はただの砂糖。基本的な健康へのインパクトは一般的な砂糖(ショ糖)とほぼ変わらないということが研究でも報告されています[#] Tappy, L., and K. A. Lê. 2010. “Metabolic Effects of Fructose and the Worldwide Increase in Obesity.” Physiological Reviews 90 (1). https://doi.org/10.1152/physrev.00019.2009. 。よって、異性化糖の過剰摂取はインスリン抵抗性、肥満、2型糖尿病と強い関連性も[#]Stanhope, K. L., J. M. Schwarz, and P. J. Havel. 2013. “Adverse Metabolic Effects of Dietary Fructose: Results from the Recent Epidemiological, Clinical, and Mechanistic Studies.” Current Opinion in Lipidology 24 (3). https://doi.org/10.1097/MOL.0b013e3283613bca.  [#] Johnson, R. J., M. S. Segal, Y. Sautin, T. Nakagawa, D. I. Feig, D. H. Kang, M. S. Gersch, S. Benner, and L. G. Sánchez-Lozada. 2007. “Potential Role of Sugar (fructose) in the Epidemic of Hypertension, Obesity and the Metabolic Syndrome, Diabetes, Kidney Disease, and Cardiovascular Disease.” The American Journal of Clinical Nutrition 86 (4). https://doi.org/10.1093/ajcn/86.4.899.  [#]Stanhope, Kimber L., Jean Marc Schwarz, Nancy L. Keim, Steven C. Griffen, Andrew A. Bremer, James L. Graham, Bonnie Hatcher, et al. 2009. “Consuming Fructose-Sweetened, Not Glucose-Sweetened, Beverages Increases Visceral Adiposity and Lipids and Decreases Insulin Sensitivity in Overweight/obese Humans.” The Journal of Clinical Investigation 119 (5): 1322.

更に、ポカリスエットに関して言えば、なぜかうまみ成分のMSG(グルタミン酸ナトリウム)である調味料(アミノ酸)が含まれています。MSGは、以前の記事でもお伝えした化学調味料。脳や神経系にダメージを与える可能性があるため、健康意識の高い人は避けている化学物質の1つです[関連記事:避けるべき?!簡便なうまみの化学調味料MSG(グルタミン酸ナトリウム)]。

こういったスポーツドリンクを、夏場であれば平気でガブガブ500㎖、もしくは運動をしている人であれば1.5ℓ位飲んでしまうのではないでしょうか。水分及び電解質を摂取する傍ら、それなりの量の砂糖や添加物を摂取していることになるのです。
 

 

お菓子に毛が生えた程度の塩分チャージタブレッツ

熱中症対策として販売されている塩分チャージ類の商品。タブレッツの形でよく見かけますが、こういった商品にも多くの食品添加物が含まれています。

 

原材料:砂糖、ブドウ糖、水飴、食塩、乳糖、クエン酸Na、クエン酸、乳化剤、香料、フマル酸Na、糊料(プルラン)、着色料(ビタミンB2)

 

一般的に販売されている塩が入ったキャンディーの場合

 

原材料:砂糖、水飴、食塩、酸味料、香料、着色料(クチナシ)

原材料:水飴(国内製造)、砂糖、天日塩/塩化カリウム、乳酸カルシウム

含有量や原材料の種類に差異はあるものの、塩分チャージを目的とした商品は、一般的なお菓子と同じで糖質と添加物まみれの加工食品であるには変わりありません。塩分をチャージするために、こういった添加物も同時に摂取してしまっているのだということを認識する必要があります。

 

 

スポーツドリンクの代わりに何を飲む?

暑い中での重労働者や激しい運動を行うアスリートであれば、多少の砂糖の摂取はすぐにエネルギーとして消費されるため、それぞれの環境に見合った特定のスポーツドリンクの摂取は必要である場合がありますが、ただ単に暑いからといってスポーツドリンクをガブガブ飲むのは上記のセクションでも説明した通りあまりお勧めできません。ある専門家によると、アメリカで一般的なスポーツドリンクの「ゲータレード」は、他のスポーツドリンクに比べて砂糖の含有量は少ないものの、1時間以内程度の運動量で多くの量のゲータレードを摂取することで、過剰な砂糖を摂取することになり、肥満や2型糖尿病などの側面を含む健康面であまり得策ではないということが示唆されています。よって、ちょっと動いた程度や1時間に満たない運動量であれば、スポーツドリンクは不要。小まめな水のみの補給で十分であると言われています。また、豊富な水分と栄養素が入ったきゅうりやセロリなどの野菜を食事に積極的に取り入れるのも1つの方法です。多くの専門家などにより推奨されているフルーツは、果糖主体であるため食べ過ぎに注意。結果的に、必要以上の糖質を体内に取り入れてしまうことに。

また、不足しがちな電解質、主にナトリウムですが、十分に食事から摂取できている可能性が高く、長時間の運動をしない限り、いつもより多く汗をかいたからといって必要以上に塩分を摂取し過ぎることで塩分摂取過多になる可能性も指摘されています。個々で汗をかく量や、1日の塩分摂取量が変わってきますので、一概には言えませんが、汗を大量にかいた際は、毎日の塩分摂取量をしっかりと管理している人であれば、少々塩の摂取を多めにするようにし、塩分が多めの加工食品を好んで食べている人や特に食事の栄養バランスを気にしていない人であれば、日常から塩分過多になっている可能性もあるため、しっかりと水分補給をするだけで十分であると言われています[#]Boston, Gabriella. 2012. “Hydration: Water vs. Sports Drink.” The Washington Post, August 14, 2012. https://www.washingtonpost.com/lifestyle/wellness/hydration-water-vs-spo....

 

脱水症状のサインは尿の色?

体内の水分量を判断する基準の1つとして、尿の色を観察する方法があります。色が濃い茶色系または琥珀色である場合は、体内の水分が不足している可能性のサイン。逆に極端に薄い場合は体内に過剰な水分が蓄えられている可能性があります。過剰な体内の水分貯蓄は電解質を希釈している可能性があるので注意が必要です[#]“10 Colors That Suggest Urine Trouble.” n.d. Accessed August 9, 2021. https://health.ucsd.edu/news/features/Pages/2014-04-21-colors-that-sugge.... 。体内の水分量は多すぎても少なすぎてもダメ。尿の色はその他の疾患や過剰な栄養素の排出のサインも含まれているので、あくまでも脱水状態の目安とし、尿の色に異常が続くようであれば医師に相談するようにしてください。

 

利尿作用のあるカフェインは注意。

ただでさえ汗や尿で体から水分が大量に放出されるわけですから、できるだけ体内に水分を保持する必要があります。そのため利尿作用のあるカフェイン飲料の飲み過ぎは要注意[#]Marx, B., É. Scuvée, J. Scuvée-Moreau, V. Seutin, and F. Jouret. 2016. “[Mechanisms of Caffeine-Induced Diuresis].” Medecine Sciences: M/S 32 (5). https://doi.org/10.1051/medsci/20163205015. 。コーヒー約2杯~3杯程度に含まれるカフェインの量で利尿作用が発生すると言われています[#] Maughan, R. J., and J. Griffin. 2003. “Caffeine Ingestion and Fluid Balance: A Review.” Journal of Human Nutrition and Dietetics: The Official Journal of the British Dietetic Association 16 (6). https://doi.org/10.1046/j.1365-277x.2003.00477.x. 。よって、カフェイン含有量が比較的多め(コーヒーほどではないけれども)のお茶や紅茶も同様です。また、利尿作用の強いアルコールももちろんNG[#]“Heat Exhaustion and Heatstroke: What You Should Know.” 2005. American Family Physician 71 (11): 2141. 。これらの利尿作用の高い飲み物は水分を補給していると思っていても、その多くが尿で放出されてしまっている可能性があります。アイスコーヒーやビールを炎天下で飲みたくなる気持ちは分かりますが、くれぐれも控えめに。

 


 

 

ケトジェニックダイエット中は特に注意。

体内の水分やナトリウムを保持する働きを持つ炭水化物の摂取を制限するケトジェニックダイエットでは、体内の水分量がやや低下する傾向にあると言われています[#]Masood, Wajeed, Pavan Annamaraju, and Kalyan R. Uppaluri. 2021. “Ketogenic Diet.” In StatPearls [Internet]. StatPearls Publishing. 。よって、ケトジェニックダイエットと暑さの組み合わせで早期に脱水症状が起きる可能性があるので注意が必要です。このケトジェニックダイエットによる水分の喪失は夏場に限らず起きることですので、季節に関わらず意識的に水分を摂取する必要があることを覚えておきましょう。

 

まとめ~夏の脱水症や熱中症対策にスポーツドリンクや塩分チャージタブレッツって必要?~
もし、夏場の身体活動が1時間以上続くのであれば、スポーツドリンクは1つの選択肢としてあるかもしれませんが、エネルギー補給ができたとしても、砂糖や添加物を摂取することになるので、たくさんの量をガブガブ飲むものではありません。また、少し外に出て汗をかいたからといって、スポーツドリンクや塩分チャージタブレッツを補給するのも間違い。まずは、水分の補給をしっかり行い、やや塩気を足した野菜などで塩分を補給するようにするだけで基本的には脱水症、熱中症の対策には十分なのです。
 

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