Skip to navigation メインコンテンツに移動
食事を重視する歯科医が伝授!熱中症対策のスポーツドリンクって…本当に必要なのでしょうか?
15  

食事を重視する歯科医が伝授!熱中症対策のスポーツドリンクって…本当に必要なのでしょうか?

 

現在、瀧川歯科で歯科医を務める傍ら、複数の医療系の大学や専門学校での講師、食育や栄養関連のセミナー講師、料理教室の講師として活動している久野淳先生。 

従来の歯科の枠を飛び越えて、食事が口腔内、更には体全体の健康に及ぼす影響をテーマに、消費者目線での独自の調査や研究を重ねる「食事を重視する歯科医」が、今もっとも気になるヘルストピックを伝授します!

 

食事を重視する歯科医が伝授!熱中症対策のスポーツドリンクって…本当に必要なのでしょうか?

ついでにエネルギーチャージのゼリーも熱中症対策の塩飴もタブレットも要りませんけど…

日中の気温が30度を超えてくるこの時期から気になってくるのが、高齢者や炎天下で活動する方の熱中症対策や、部活の水分補給としてのスポーツドリンクや清涼飲料水のこと。

塩分チャージの飴やタブレット、私の大嫌いなゼリータイプ(インゼリーとか)の栄養チャージ系などはこの世に必要ないと思っています。ましてや空腹時にいきなり甘いドリンクやゼリーなんて考えられません!血管が悲鳴をあげちゃいます!

昔からのポカリスエットやアクエリアス、比較的あたら新しいヒット商品だとソルティライチとか、全部果糖やブドウ糖がたっぷり入っていますし…そういうものを毎日のように飲んでいたらアタマもカラダもおかしくなってしまいます…(あ、もちろん歯も歯周組織も口腔粘膜もおかしくなりますからね!)。専門的(病者用食品)なものでいうとOS-1(経口補水液:これは腸管で吸収されやすいように調整されているので緊急時には役に立ちます)とかありますが、脱水症や熱中症の「予防」としての水分補給は、電解質濃度をある程度高くして水分の吸収を考慮し、糖質を少なくしているもので良いのかな…と思います。

 

 

下記に各スポーツドリンク系や○○ウォーター系の炭水化物(ほとんどすべてが糖質)の量をまとめてみました。

 

スポーツドリンク系の炭水化物の量

炭水化物の多い順から(100g当たり)

  • カルピスウォーター(カルピス) 11.1g(500ml中に55.5g)
  • ソルティライチ(KIRIN) 8.4g(500ml中に42.0g)
  • ポカリスエット(大塚製薬) 6.2g(500ml中に31.0g)
  • トロピカーナ ココナッツウォーター(KIRIN) 6.0g(470ml中に28.2g)
  • ※ビタミンウォーター(サントリー) 5.2g(500ml中に26.0g)
  • ※アクエリアス(日本コカコーラ) 4.7g(500ml中に23.5g)
  • グリーン ダカラ(サントリー) 4.4g(600ml中に26.4g)
  • ※アミノサプリC(KIRIN) 4.0g(555ml中に22.2g)
  • ※アミノバリュー(大塚製薬) 3.6g(500ml中に18.0g)
  • ※スーパーH2O(アサヒ) 2.9g(600ml中に17.4g)
  • ※ポカリスエット イオンウォーター(大塚製薬) 2.7g(500ml中に13.5g)

 

ポカリスエット500ml1本中には(炭水化物31.0g)、小さめの角砂糖で約9個も入っている計算になります。カルピスウォーターにいたっては、500ml1本中に(炭水化物55.5g)角砂糖がなんと約16個も入っていることになります。

上記でも炭水化物が少なめのドリンクには、糖質に加えてもれなく人工甘味料(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、L−フェニルアラニン化合物)などが入ってきます。糖質がさほど少なくないドリンクでもスクラロースが入っているものもありますので要注意です(上記のドリンクの中で ※ がついているものは人工甘味料入りです)!糖質をカットするともれなく人工甘味料がついてくるという…不健康の悪循環ですね…

 

また、運動後は交感神経が緊張し、それにより副腎から分泌されたアドレナリンやコルチゾールの働きにより肝臓でのタンパク質の糖化が促進され、血糖値が上昇する傾向にあります。そこにスポーツドリンクの大量の糖質が加わると、さらに血糖値を急激に上げてしまうことになります。すると血液中の浸透圧が高くなり、電解質のバランスが崩れ、最終的に細胞内の水分は外へ流出してしまいます。これにより水分を摂っているのにも関わらず、細胞内が脱水症状となってしまう危険性があるのです。

 

結論から言うと、熱中症対策には過剰な糖質、また人工甘味料入りのスポーツドリンクなんて必要ありません!!

特に部活の指導者の皆さん!何度も言いますが、クラブ活動時に毎回毎回スポドリとか炭酸ジュースとかそんな飲み物ばかり飲んでいたら、パフォーマンス落ちるどころかケガや故障の原因になりかねません!プロのアスリートでもそれに気付かない人がいるから情けないのですが。

 

スポーツドリンクに頼らない熱中症対策とは?

それではスポーツドリンクや○○ウォーター系を飲まないとすると、どのような飲み物で水分補給(熱中症対策)をしたら良いのでしょうか?

私自身、診療時の食事指導でスポーツドリンクの糖質の弊害などをお話しする時、下記のような飲み物をオススメします。

基本的には、むぎ茶またはミネラルウォーター(軟水よりも硬水の方が望ましい)で十分です!普通の水であったとしてもこまめに飲んで、その後の食事で汗などで失った塩分を補いましょう。

 

それ以外にも

「水飲んで岩塩でも舐めておいてください!」
「水飲んで梅干しでもしゃぶっててください!」

 

とか言われることも多いですが、炎天下のマラソンやトライアスロン、自転車の長距離レース、また野外での激しい長時間の運動で玉のような汗を大量にかくようなことがない限り、発汗によって塩分が喪失することはまずありません。そう簡単には低ナトリウム血症にはならないのです。

私たち日本人は、一般的に塩分に関しては普段の食事から必要量をはるかに上回る量を摂取しているため(世界的に見ても塩分摂取多い国です)、日常生活でジワジワと汗をかく程度の場合には、さらに意識して塩分を補給する必要はあまりないのです。

熱中症において特に重要となるミネラル(喪失して問題となるミネラル)はナトリウムやマグネシウムなどと言われますが、普段の食事からミネラルを補給して(毎日のお味噌汁などが最適)、こまめにミネラルウォーターやむぎ茶などを飲んでおけば良いと思います。

むぎ茶はノンカロリーで、穀物である大麦を原料としているためカフェインなどの刺激のある成分を含まないですし、利尿作用も少ないので脱水症状も起こりにくいといわれています。やっぱりお子さんの運動会での飲み物、夏季の課外活動での飲み物は水筒に入れた麦茶などのノンカフェインのお茶が最適でしょう。そしてもし出先で買うなら、容器と中身の質の問題もありますが(笑)ペットボトルのむぎ茶で充分でしょう。

あらかじめ用意できるのならば、無添加で農薬や化学肥料を使わずに育てた六条大麦むぎ茶などをご家庭で煮だして、水筒に入れて子供たちに持たせてあげて下さいね。

 

そもそも熱中症というものは、気温や湿度の高い環境下での水分&ミネラル不足という問題以前に、睡眠不足や食事を抜いている場合など、発症リスクが上がる生活習慣がベースにあったりします。始業前には栄養を考えた朝食を摂り、就業後は夜更かしをせず睡眠時間を十分にとるなど、規則正しい生活を送ることが大切だということです。

とは言っても暑い日が続く夏場には食欲が落ちていることが多いです。暑さのため食欲がなく、常に冷たい飲み物ばかりを飲んでいて、昼食にはそうめんや冷麦といった簡素な食事が多くなり、スイカや桃、メロン、ぶどう、梨など、水分が多く糖度の高い果物の摂取が多くなります。これにより更なる糖質過多の食生活へとシフトして、典型的な栄養不足(タンパク質、ビタミン、ミネラルの不足)の状態に陥ることになります。それ以外でも日々の食事に白米やパンなどの糖質の摂取量が多く、おやつもスナック菓子(ポテトチップスやコーンスナック)、チョコレート菓子やケーキ、アイスクリーム&氷菓など…どうしても糖質が多くなり、タンパク質やビタミン(特にビタミンB群)、ミネラルが不足しがちです。

夏休みに入って夜更しが多くなり、朝起きれなくなって、昼ごろに起きてきて、日中ダラダラと過ごしている子供は特に注意が必要です。そのような生活も、実は糖質過多による疲労の蓄積が原因かもしれません。

もともと学校と習い事の往復で、野外で遊ぶ習慣のない子供、ポータブルゲーム機やスマホで夜遅くまでゲーム三昧の子供、夜更かしの影響で朝食もろくに食べないで出かける子供、食事をしても好き嫌いが多くて栄養バランスが偏っている子供、そんな環境下で健やかな身体と精神がつくられる筈がありませんよね。いいですか!そういう悪しき生活習慣を容認しているのは他でもない親たちなので!

以上、このように熱中症対策において控えるものとして、糖質や糖類の悪影響について書きましたが、逆に積極的に摂るべきものとして最も重要なのが、日々の食事の中での「タンパク質」であることを忘れてはなりません。

 

積極的なタンパク質の摂取も対策の1つ!

体内においてアミノ酸からタンパク質が合成されると(ペプチド結合すると)、1つの水分子がつくられます。十分なタンパク質の摂取によって、アミノ酸が足りていて、それを材料としてタンパク質が再び合成されることで、細胞内に水分子を蓄えることができるようになり、脱水になりにくくなるのです。

また、日頃からタンパク質を摂取していると、体内にてアルブミンが作られるようになります。アルブミンには水分を保持する働きがあるため、血液中にアルブミンが増えると(血清アルブミン)、水分が引き込まれ循環血液量が増えるのです。血液中の水分は汗の材料でもあるため、循環血液量が増えると、汗をかきやすくなったり、皮膚血流の増加による熱放散をしやすくなったりして、体温が上がりにくい体になるのです。

血液中のアルブミンの量が減少すれば、血管外に水がたまって「むくみ」や「腹水」、「筋肉障害」などを起こします。さらに、アルブミン量が少ない状態が続くと「心筋梗塞や脳梗塞」など、血管の病気も起こりやすくなり、さらには免疫力の低下も起こるようになります。

逆に血液中のアルブミンの量が十分であると、水分が引き込まれ循環血液量が増えることで、脱水症や熱中症対策につながるのです。

 

アルブミン値を上げる食品には

  • 肉類全般(内臓肉大歓迎)
  • 魚(魚介類)
  • 豆腐や納豆などの大豆製品

などのタンパク質(主に動物性タンパク質)が上げられます。もちろん、代謝や補酵素として重要なビタミンやミネラルも同様に摂取することも大切です。

夏本番になる前から、しっかりと食生活の改善を行って日頃からタンパク質をしっかり摂るようにして熱中症に負けない強い身体作りを心がけていきましょう。

心当たりのある方は自分自身、またはお子さんの生活習慣、食習慣を見直すようにしてください。

 

 

良いですか!何度でも言いますからね(笑)
大した効果もないのに(むしろ逆効果)情報に惑わされて、企業の戦略にハマって過剰な糖質ドリンクを飲んでいる場合ではなく、タンパク質、ビタミン、ミネラルを日々の食事からしっかり摂るようにしてくださいね。

 

「熱中症」と「脱水症」の違いとは?

ここで、混同しやすい「熱中症」と「脱水症」の違いについてふれておきます。

 

★「熱中症」とは、とても暑い環境の下で、身体機能の適応障害によって起こる症状の総称であり、具体的な症状としては、目眩(めまい)、湿疹、頭痛、気分が悪くなる、体温の異常な上昇、異常な発汗、逆に全く汗が出なくなる、などが挙げられます。重度の熱中症の場合は、後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ることもあります。
 

★「脱水症」とは、体内の水分量が不足した状態を指します。水分喪失量(身体から出て行く水分)に対して水分摂取量(身体に入ってくる水分)が不足することによって起こります。

 

脱水症が起こる原因としては、下記のようなものが挙げられます。
 

  • 発熱…身体がだるくなり水分摂取量が減少する一方、発汗などにより水分喪失量が増えるため。
  • 下痢・嘔吐…嘔吐により水分摂取量が減少すると共に、下痢により水分喪失量が増えるため。
  • 高温状態での活動(特に重作業や激しい運動)…発汗が促進されるため発症する。熱中症もこれに含まれる。

 

熱中症も脱水症も原因が似ているところもありますが、違うところもあります。つまり熱中症と脱水症の関係は、

 

  • 熱中症の症状の一つに脱水症状がある。
  • 脱水症の原因の一つに熱中症がある。
  • 脱水症から熱中症が起こることもある。

 

熱中症の症状として脱水状態になることがありますが、脱水状態の原因は熱中症以外にも考えられるということです。また熱中症の背景には脱水症が潜んでいることも多く、脱水症予防は熱中症を予防するうえでとても大切だということです。

 

最後に注意事項として

別の基礎疾患などがあり、タンパク質の摂取に制限がある場合、またはタンパク質の摂取の仕方に偏りがある場合には、かえって健康を害する恐れもあります。またタンパク質不足が解消されていない状態で(またはタンパク質の摂取が十分な場合でも)熱中症などを発症してしまった(またはその疑いがある)場合には、速やかに水分等(前述したようにOS-1などの経口補水液など、炭水化物量が比較的少なめで吸収効率が良いものは推奨します)の補給をして、適切な応急処置を行った上で早急に医療機関を受診するようにしてください。