「牛乳は健康に良いから毎日飲みましょう。」
幼いころからこう聞かされ、今でもそれを信じて牛乳を飲むのが毎日の習慣になっている人も多いのではないでしょうか?確かに牛乳はカルシウムだけでなく、タンパク質やマグネシウムなど多くの栄養素を摂取できる食品ではありますが、一方で、牛乳による様々な健康リスクもあるというのが欧米の健康通の間では常識になってきています。今回は、日本ではまだあまり知られていない牛乳のマイナス面をお伝えします。
日本ではあまり知られていない牛乳の健康リスクとは?
前立腺ガン
前立腺ガンの発生率が比較的高いアイスランドで行われた研究(2,268人の男性を約25年間追跡)では、青年期に牛乳を少なくとも1日1回摂取した男性はその後前立腺ガンを発症するリスクが3.2倍高いと報告されています[1]。
また、アメリカの研究では、28年間21,660人の男性医師を追跡し、少なくともコップ一杯程の無脂肪乳または低脂肪乳を毎日飲んでいた男性は、あまり飲まない男性と比較して前立腺ガンを発症するリスクが高いことが分かっています[2]。
なお、ある研究では牛乳を多く飲む女性ほど、あるサブタイプの乳ガン(エストロゲンレセプター陰性乳ガン) になるリスクが58%高いことが報告されています[3]が、逆に乳ガンのリスクが下がったという報告もあるため、牛乳が乳ガンのリスクを持っているかどうかは一概には言えません。
ニキビ
ある研究では、牛乳を多く飲む人ほどニキビができるリスクが高いと報告されています。これは、牛乳を飲んだ後のインスリンや「インスリン様成長因子」と呼ばれるインスリンに似たホルモンで、ガンのリスクとの関連性が示唆されているIGF1の上昇に関わっていると考えられています。
乳糖不耐症
牛乳に含まれている糖の一種である乳糖(ラクトース)を消化するラクターゼという酵素は授乳期を過ぎると自然と活性が低下するため、牛乳を飲むと腹部膨満感、消化不良、下痢や腹痛、などの症状が見られる人が多くいます。あまり一般的ではありませんが、頭痛、筋肉痛、関節痛、口内潰瘍、尿路症状、集中力の低下を伴うことも。
なお、世界人口の約65%が乳糖不耐症だといわれ、アジア人は特に乳糖不耐を発生する頻度はヨーロッパ系の人よりも高いとされています[4]。

牛乳に入っている栄養は別な方法で摂取しよう
冒頭にも記したように、牛乳にはカルシウム、ビタミンD、タンパク質、マグネシウム、カリウム、亜鉛、リンなどを豊富に含んでいます[5]。ここでは、育ち盛りのお子さんや閉経後の女性などが摂取すべきカルシウムを牛乳以外のどのような食品から摂ることができるかをご紹介します。
農林水産省によると、日本では、成人が1日に摂取するカルシウムの目標量は600~800mg。完全に牛乳を避ける食生活を送るとカルシウム不足が懸念され、骨粗鬆症になるリスクが高まると考えられています[6] [7]。しかし、以下のような食品を食べることで十分代用できると考えられます[8]。

[農林水産省データ]
また、ほうれん草やたけのこ、米ぬかや玄米のようにカルシウムが豊富に含まれていても、シュウ酸やフィチン酸などのカルシウムの吸収を阻害する物質も含まれていることがあるので注意が必要です。
【関連記事】「意外な食べ物にも含まれている?避けるべき4つの反栄養素」
健康に良いイメージの豆乳は大丈夫?
大豆と水によって作られる豆乳は、植物由来なので乳糖を含みません。また、タンパク質、カルシウム、カリウム等が含まれていますが、以前geefeeの記事でも紹介した、遺伝子組み換え、フィチン酸、レクチン、エストロゲンなどの根本的な大豆の健康リスクは避けられません。また、豆乳として販売されている商品には、以下のような大豆以外の化合物も含まれていることが多いので、決して健康に良い飲み物とは言えないでしょう。大豆だけで作られている商品だけだと思ったら大間違い。市販されている豆乳の多くはいわば加工ジュースのようなものなのです。しっかりと原材料を確認して購入しましょう。
市販されている豆乳①(添加物)
原材料:大豆(カナダ又はアメリカ)(遺伝子組換えでない)、砂糖、米油、天日塩 / 乳酸カルシウム、乳化剤、糊料(カラギナン)、香料
市販されている豆乳②(大豆のみ使用)
原材料:有機大豆(遺伝子組換えでない)

牛乳がもたらす人間の遺伝子情報への影響?!~エピジェネティクスの観点~
体内のほとんどの細胞から「エクソソーム」と呼ばれるメッセージカプセルのような役割を持つ物質が分泌されています。その中には「マイクロRNA」と呼ばれる遺伝子の情報が入っていて、これが体内を駆け巡り、細胞同士のメッセンジャーの役割を果たしています。血液や体液、そして母乳からも検出されています。母乳の中のマイクロRNAは赤ちゃんの成長や自己免疫を形成する上で重要だということが分かってきています。最近の研究では、マイクロRNAがエピジェネティクスのメカニズムを介して遺伝子情報の「オン」と「オフ」を調節していることがわかってきていて、マイクロRNAの情報が母から乳児に供給されている可能性が示唆されています。実はこのマイクロRNAは人間の母乳だけでなく、牛乳にも類似のマイクロRNAがあることが知られています。母乳のマイクロRNAは乳児の成長には大事なものですが、授乳期を過ぎてから牛乳を飲み続けていると、遺伝子情報を正常に調節するメカニズムに悪影響を及ぼす可能性があることが懸念されています[9]。
例えば、母乳や牛乳などに含まれるマイクロRNAはFTOという遺伝子を「オン」にすることが報告されています。このFTO遺伝子は乳児の成長には重要なものですが、大人には肥満に関連するのです[10]。これは怖いことですよね。
牛乳業界による過去のPR効果などもあり、牛乳は健康食品であるとのイメージが日本で定着しています。しかし、様々な健康リスクがあることがわかっている現在において、そろそろ日本でもこの考え方を見直す必要があると言えます。特に、牛乳を飲むことで何かしらの違和感や体調不調を感じることがある人は即刻飲むのをやめ、代わりの食品で栄養素を補う工夫をすることを推奨します。
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