ファスティングを省いてオートファジーを活性化する方法。
ファスティングはオートファジーの活性化の近道ですが、ファスティングに抵抗があるある人でも以下のような方法でオートファジーを活性化することができます。
ケトジェニックダイエットのタンパク質制限
タンパク質は、筋肉の増強、骨密度等、体の健康には不可欠な栄養素ですが、タンパク質を摂りすぎると、糖質に代わるエネルギー源であるケトン生成がブロックされmTOR経路が活性化される可能性があります。このmTOR経路は、哺乳類などの動物において細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼの1種で、mTOR経路が活性化されるとオートファジーが抑制され、休止状態になるとオートファジーが活性化すると言われています[#]Hanjani, NA, Vafa, M. Protein restriction, epigenetic diet, intermittent fasting as new approaches for preventing age-associated diseases. Int J Prev Med. 2018; 9: 58. PMID: 30050669 [#]Zarifi, SH, Bagherniya, M, Sahebkar, A. Restricted calorie intake and autophagy: is there a link? Clinical Nutrition 。よって、総カロリーの20%をタンパク質由来で摂取する食事法のケトジェニックダイエットは、オートファジーを活性化するための優れた方法です。ここで大切なのが、ケトジェニックダイエットの際の食事の質。ただ単純にタンパク質を控えて、ファーストフードや加工食品、精製油などの低質の脂質で補っても効果を得るどころか体に悪影響を与える結果に[関連記事:「ダーティケト」の問題点から学ぶ食品添加物の害。]。食事の質には十分に注意をしましょう。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)
負荷の高い高強度インターバルトレーニング(HIIT)のようなトレーニングは、細胞にストレス環境を与えオートファジーの活性化を促進します。また、オートファジーだけではなく、筋肉組織の修復と保存、脂肪燃焼を活性化するヒト成長ホルモン(HGH)が分泌されやすくなることが研究で分かっています[#]Boutcher SH. High-intensity intermittent exercise and fat loss. J Obes. 2010; 2011:868305. PMCID: 2991639 [#]Cantó C, Jiang LQ, Deshmukh AS, et al. Interdependence of AMPK and SIRT1 for metabolic adaptation to fasting and exercise in skeletal muscle. Cell Metab. 2010; 11(3):213-9. PMCID: 3616265 。
ただ、トレーニングのし過ぎには注意。過度なHIITは、ストレスホルモンのコルチゾールレベルが増え、体がストレスに晒される状態が続くことになります。また、HIITによりmTORを活性化させるという研究結果も[#]Cui, X., Y. Zhang, Z. Wang, J. Yu, Z. Kong, and L. Ružić. 2019. “High-Intensity Interval Training Changes the Expression of Muscle RING-Finger Protein-1 and Muscle Atrophy F-Box Proteins and Proteins Involved in the Mechanistic Target of Rapamycin Pathway and Autophagy in Rat Skeletal Muscle.” Experimental Physiology 104 (10). https://doi.org/10.1113/EP087601. 。その他に実践している運動量によって個人差はありますが、1回20分程度のセッションを週に2回程度で十分だと言われています[#]“Why Two 20-Minute HIIT Sessions Per Week Is Plenty.” 2019. May 6, 2019. https://www.wellandgood.com/hiit-workout-routine/. 。
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良質な睡眠
良質な睡眠が健康に良いというのは周知のこと。でも、なかなか実践できずに睡眠健康を後回しにしている人も多いのでは?健康的な睡眠サイクルや概日リズムはオートファジーとも深い関りがあります。睡眠不足は、神経細胞のオートファジーの欠如を引き起こし、代謝恒常性と様々な疾患の要因になることが分かっているため[#]Ma D, Li S, Molusky MM, Lin JD. Circadian autophagy rhythm: a link between clock and metabolism?. Trends Endocrinol Metab. 2012; 23(7):319-25. PMCID: 3389582 [#]Chauhan, AK. Association between autophagy and rapid eye movement sleep loss-associated neurodegenerative and patho-physio-behavioral changes. Sleep Medicine, Volume 63, November 2019, Pages 29-37. Link Here 、7時間~9時間程度の適切な睡眠時間を確保することを心掛け、睡眠の質をあげるようにしましょう。
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温冷療法
免疫力を高める記事でも紹介しましたが、温水と冷水を交互に浴びる温冷療法は、急激な温度変化により細胞を刺激しオートファジーの活性化を促進します[#]Penke B, Bogár F, Crul T, Sántha M, Tóth ME, Vígh L. Heat Shock Proteins and Autophagy Pathways in Neuroprotection: from Molecular Bases to Pharmacological Interventions. Int J Mol Sci. 2018; 19(1):325. PMCID: 5796267 。自宅ではシャワー、公共のお風呂が好きな人は赤外線サウナの後に水風呂に入るなど、簡単にできますので試してみてください。
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ポリフェノールやクルクミンの摂取
植物細胞の様々な生理作用を助ける働きを持つ有機化合物の総称であるポリフェノールにはオートファジーの活性化の促進が期待できます[#]“Autophagy, Polyphenols and Healthy Ageing.” 2013. Ageing Research Reviews 12 (1): 237–52. 。ポリフェノールの種類は無数にありますが、レスベラトールやマキベリーに含まれるアントシアニンをはじめ、玉ねぎに含まれているケルセチン、ウコンに含まれているクルクミン、緑茶のカテキンなどもポリフェノールです。以前の記事を是非参考に、ポリフェノールの摂取を意識してみてください。
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