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健康に良いと言われているカプサイシンなどの辛い成分の利点と盲点。
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健康に良いと言われているカプサイシンなどの辛い成分の利点と盲点。

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・辛い食べ物が病みつきになる原因は脳内のエンドルフィン
・辛み成分カプサイシンとその健康効果とは?
・カプサイシン受容体のTRPV1の機能不全による胃や腸の障害
・記憶力の低下や心臓発作のリスクの懸念も

 

第4次激辛ブーム、、と言われるくらい日本の食産業で人気が沸騰している辛い食べ物。この辛さのもとである物質は幾つかありますが、唐辛子系の辛さの正体はカプサイシンという物質。代謝や冷え症の改善など健康にプラスの側面がある一方で、マイナスの側面もあると言われています。今回は特に辛い物好きは注意したい辛い食べ物の健康へのインパクトをお伝えします。

 

辛い食べ物が病みつきになる原因は脳内のエンドルフィン。

苦手な人は一切食べない辛い食べ物ですが、好きな人は病みつきになり激辛度もどんどんエスカレートしますよね。そもそも辛いという感覚は味覚ではなく、実際には、顔の感覚を脳に伝える三叉神経が刺激されることによる灼熱痛、すなわち痛みです。この痛みが脳に伝達されることで、鎮痛作用や多幸感をもたらす神経伝達物質のエンドルフィンが放出され痛みの抑制作用が発生します。また、この際に快感や多幸感をもたらすアドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体で神経伝達物質のドーパミンが放出されるので、いわゆるランナーズハイのような陶酔感を引き起こします。辛い食べ物で得た痛みから結果的に多幸感を味わうことになるので、再び脳が辛い食べ物を求め、辛い物がやみつきになってしまうわけです。
 

 

辛み成分カプサイシンとその健康効果とは? 

胡椒のピぺリン、山椒のサンショオール、ワサビのシニグリンなど苦みや辛み成分はさまざまありますが、激辛と言えばやっぱり唐辛子やハラペーニョに含まれている天然有機化合物のカプサイシン。このカプサイシンには

 

  • エネルギー代謝を促進 [#] “[Capsaicin and capsiate could be appropriate agents for treatment of obesity: A meta-analysis of human studies].” n.d. Accessed July 5, 2021. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10408398.2016.1262324?journa....  [#]Janssens, Pilou L. H., Rick Hursel, Eveline A. P. Martens, and Margriet S. Westerterp-Plantenga. 2013. “Acute Effects of Capsaicin on Energy Expenditure and Fat Oxidation in Negative Energy Balance.” PloS One 8 (7): e67786.
  • 抗糖尿病効果[#]“DEFINE_ME.” n.d. Accessed July 5, 2021. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0261561415000692.
  • 心臓の健康を改善[#]Qin, Yu, Li Ran, Jing Wang, Li Yu, He-Dong Lang, Xiao-Lan Wang, Man-Tian Mi, and Jun-Dong Zhu. 2017. “Capsaicin Supplementation Improved Risk Factors of Coronary Heart Disease in Individuals with Low HDL-C Levels.” Nutrients 9 (9): 1037.
  • フリーラジカルの抑制[#] “[Capsaicin, a Tasty Free Radical Scavenger: Mechanism of Action and Kinetics].” n.d. Accessed July 5, 2021. https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jp211172f.
  • うつ病の緩和[#]Reyes-Mendez, M. E., L. A. Castro-Sánchez, A. Dagnino-Acosta, I. Aguilar-Martínez, A. Pérez-Burgos, C. Vázquez-Jiménez, E. G. Moreno-Galindo, et al. 2018. “Capsaicin Produces Antidepressant-like Effects in the Forced Swimming Test and Enhances the Response of a Sub-Effective Dose of Amitriptyline in Rats.” Physiology & Behavior 195 (October). https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2018.08.006.

 

といったさまざまな効果が期待できるため健康に好影響を与えると思われがちですが、その反面、摂取過多にはさまざまな健康リスクが伴う可能性が指摘されています。
 

 

カプサイシン受容体のTRPV1の機能不全による胃や腸の障害

43℃以上の熱刺激や過酸化による痛みの原因物質によって活性化されるタンパク質の1つであるTRPV1は、辛み成分のカプサイシン等によっても活性化されます。このTRPV1が活性化されると痛みが増強されますが、辛い物を食べた後に肛門の辺りが熱くなるのは肛門側の直腸にはTRPV1が多く強い灼熱感を得るため。大量のカプサイシンを摂取するとこのTRPV1が機能不全を起こし胃粘膜の保護作用がなくなる可能性があることが指摘されています[#] “カプサイシンに関する詳細情報.” n.d. Accessed July 5, 2021. https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/syousai/. 。辛い物を食べたあとに下痢ぎみになったり、胸部の違和感を覚えたという経験がある人も多いのでは?比較的分かりやすい症状の1つです。

また、ある研究ではカプサイシンは抗ガン作用がある可能性が指摘されている一方で高用量のカプサイシンの摂取は逆に胃ガン、食道ガンなどのリスクとも関連があると報告されています[#]Chen, Yu-Heng, Xiao-Nong Zou, Tong-Zhang Zheng, Qi Zhou, Hui Qiu, Yuan-Li Chen, Mei He, Jia Du, Hai-Ke Lei, and Ping Zhao. 2017. “High Spicy Food Intake and Risk of Cancer: A Meta-Analysis of Case–control Studies.” Chinese Medical Journal 130 (18): 2241.

 

EGFR(上皮成長因子受容体)の活性化

細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子を認識し、シグナル伝達を行う受容体のEGFR(上皮成長因子受容体)はガン誘発タンパク質と言われ活性化されるとガン細胞の増殖が促進されると言われていますが、カプサイシンはこのEGFRの活性化を誘導し皮膚ガンの発症に関与する可能性があることが研究で報告されています。
 

 

記憶力の低下

カプサイシンが認知機能障害の軽減をするなどといった研究結果もありますが[#]Wang, Jun, Bin-Lu Sun, Yang Xiang, Ding-Yuan Tian, Chi Zhu, Wei-Wei Li, Yu-Hui Liu, et al. 2020. “Capsaicin Consumption Reduces Brain Amyloid-Beta Generation and Attenuates Alzheimer’s Disease-Type Pathology and Cognitive Deficits in APP/PS1 Mice.” Translational Psychiatry 10 (1): 1–12. 、約5000人の55歳~71歳までの中国人を対象にした15年間に渡り行われた研究による認知症スクリーニング検査では1日約50gの唐辛子(カプサイシンに換算すると約50mg) を摂取していた人はそれ以下の量を摂取した人よりも2倍の記憶力の低下のリスクがあることが分かっています[#]Shi, Z., T. El-Obeid, M. Riley, M. Li, A. Page, and J. Liu. 2019. “High Chili Intake and Cognitive Function among 4582 Adults: An Open Cohort Study over 15 Years.” Nutrients 11 (5). https://doi.org/10.3390/nu11051183. 。50gの唐辛子はかなりの量ですが、四川料理などでは割と多くの唐辛子が使用されています。摂取量が増えると認知機能にも悪影響を与えるということは覚えておきましょう。

 

 

心臓発作のリスク

カプサイシンのような辛み成分が心臓の健康に与える影響は二分しています。上記で記載しましたが、カプサイシンは心臓の健康に有意に働くという研究報告があります。これは、HDL-C(HDL-コレステロール)が低い人において冠状動脈性心臓病の危険因子が改善されるという研究結果に基づきます[#]Qin, Yu, Li Ran, Jing Wang, Li Yu, He-Dong Lang, Xiao-Lan Wang, Man-Tian Mi, and Jun-Dong Zhu. 2017. “Capsaicin Supplementation Improved Risk Factors of Coronary Heart Disease in Individuals with Low HDL-C Levels.” Nutrients 9 (9): 1037. 。その一方で、体重減少を目的にカプサイシンのサプリメントを服用した男性が急性心筋梗塞を発症したという例もあるため、カプサイシンが一概に心臓の健康に有意に働くわけではないことが示唆されています[#]Sayin, Muhammet Rasit, Turgut Karabag, Sait Mesut Dogan, Ibrahim Akpinar, and Mustafa Aydin. 2012. “A Case of Acute Myocardial Infarction due to the Use of Cayenne Pepper Pills.” Wiener Klinische Wochenschrift 124 (7): 285–87.

 

糖質の代謝を誘発する辛い食べ物

エネルギー代謝を促進することで体重減少が期待できるカプサイシン。カプサイシンダイエットなんていうのもあるくらいですが、ある中国の観察研究では、辛い食べ物を食べる頻度が高い人は、肥満になる比率と肥満度を表す体格指数のBMIが高い傾向にあることが分かっています。その理由として、辛い料理には大量の油が使用されるという点と口内の灼熱感を抑えるために多くの炭水化物を摂取する傾向にあるためと言われています[#]Tay, Cheryl. 2018. “Hot and Heavy: Does Eating Spicy Food Make You Fat?” William Reed Business Media Ltd. January 30, 2018. https://www.nutraingredients-asia.com/Article/2018/01/30/Hot-and-heavy-D.... 。確かに辛い食べ物は米や麺類との相性がよく進んで食べてしまいますよね。また、辛い食べ物と甘い飲み物やデザートの相性も同様です。エネルギー代謝が促進されてもそれ以上のカロリーを摂取してしまう可能性が大いにあるのです。

 


 

 

ワサビの辛みってどうなの?

ツーンとした辛さのあるワサビに含まれている辛み成分であるアリルイソチオシアネートはフィトケミカルの1つとして抗酸化作用があると言われている一方で、消化器系と呼吸器系に悪影響を与える可能性が指摘されています[#]Lixandru, Marius. n.d. “6 Side Effects of Eating Wasabi.” Accessed July 5, 2021. https://www.natureword.com/6-side-effects-of-eating-wasabi/. 。特に、胸焼け、消化不良、胃炎及びGERD(胃食道逆流症)などを悪化させる可能性もあるので注意が必要です。

 

まとめ~健康に良いと言われているカプサイシンなどの辛い成分の利点と盲点。~
カプサイシンのような辛み成分は、適度な量であれば健康効果も期待できる可能性がありますが、気が付かない間により多くの量の辛み成分を求めてしまう特徴があります。さまざまな健康リスクが予想される辛み成分の過剰摂取を避けるのは当然すべきことですが、わざわざ健康効果を期待して辛み成分を摂取することは、健康リスクの可能性を考えるとあまり得策ではなさそうです。また、炭水化物は辛い物に付き物。ついつい糖質を多く摂取してしまう傾向にあるので体重増加の懸念も。食べるのであれば、料理のスパイスの一部として少量を楽しむ程度にしてくださいね。
 

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