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日焼けの常識は間違いだらけ。太陽を浴びて健康に
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日焼けの常識は間違いだらけ。太陽を浴びて健康に

geefee ポイント geefee ポイント

・適度な日焼けは皮膚がんとは無関係
・日光を避けるとビタミンD欠乏の恐れ
・日光浴でがん、心臓病、うつ病を抑制
・必要に応じて適量のサプリメントもOK
・一日5分~15分程度の軽い日光浴がおすすめ

 

「太陽に素肌をさらすと皮膚がんになる」…長い間、世界の常識とされてきた日焼けと健康の関係性が見直されています。日焼けによるリスクより太陽光を浴びない健康リスクのほうがはるかに高いことが、2018年12月に国際環境衛生学会誌で明示されたのです。今回は、健康科学に基づく上手な日光の浴び方についての最新の研究内容をgeefeeがお伝えします。

 

太陽は基本的には悪者じゃない。日焼けに対する誤解を改めよう

夏が近づくとテレビや雑誌や薬局などで日焼け防止の大キャンペーンが繰り広げられます。「日焼けは健康にも美容にもNG」というのが多くの人の共通認識かもしれません。しかし、このように日焼けを単純に悪者にすることは不健康かつ非科学的だという意見が専門家の間で広がってきています。

国際環境衛生学会誌では太陽を浴びないとビタミンD欠乏症に陥り、心臓病や内部がん(皮膚がんも!)など多くの病を誘発することになると警告しています[#]Rivers JK. Is there more than one road to melanoma? Lancet. 2004 Feb 28;363(9410):728-30. 。ほぼ全ての細胞や組織の生化学的機能にビタミンDが大きく関与しています。ビタミンDが不足すれば細胞内の遺伝子情報がアクセスできなくなり、免疫力が落ちて健康に深刻な影響を与えてしまいます。人の健康に欠かせないビタミンDを、しっかりと体内で形成するには太陽の下で肌を露出するのがもっとも効果的。一切の日光を避けることが健康に良いと多くの人に信じられてきましたが、そのことによる健康上のデメリットが大きいと考えられるのです[#]Godar DE, Landry RJ, Lucas AD. Increased UVA exposures and decreased cutaneous Vitamin D(3) levels may be responsible for the increasing incidence of melanoma. Med Hypotheses. 2009 Apr;72(4):434-43.

 

 

日焼けと皮膚がんとの気になる関係は?

日焼けによる悪影響として真っ先に思いつくのが皮膚がんのリスクです。「日焼けは皮膚がんを誘発する」という説に異を唱えたのがカナダビタミンD学会。炎症を起こすほどのひどい日焼けは皮膚がんの原因となる悪性の黒色腫(メラノーマ)のリスクを上げることになりますが、炎症を伴わない適度の日光浴はメラノーマとは無関係。逆に日焼けを避けることでビタミンD欠乏症に陥るほうが健康に悪影響があると指摘しています[#]Rivers JK. Is there more than one road to melanoma? Lancet. 2004 Feb 28;363(9410):728-30.

屋外と屋内を比較してビタミンDレベルと紫外線量とメラノーマの発症の関係を調査したところ、屋内労働者の浴びた紫外線量は屋外労働者の1/3~1/9だったにも関わらず、メラノーマの量は屋内労働者の方が時代とともに増加していることが判明。その理由が、屋内だとガラス越しの太陽光のため、日焼けの主原因でありビタミンD生成に必要な紫外線B波(UV-B)という周波数域の紫外線がガラスにブロックされるかわりに、日焼けはしないけれどメラノーマの大きな原因とされる紫外線A波(UV-A)はガラスを透過するため。屋外だとビタミンDの形成のために必要な紫外線B波(UV-B)を含んだ太陽光に当たることができるから[#]Godar DE, Landry RJ, Lucas AD. Increased UVA exposures and decreased cutaneous Vitamin D(3) levels may be responsible for the increasing incidence of melanoma. Med Hypotheses. 2009 Apr;72(4):434-43. 。ビタミンD3はメラノーマの増殖を抑制し、メラノーマ細胞の細胞死を促す効果があると考えられています。一方、ビタミンDが十分に形成されない室内労働者はメラノーマの発生率が屋外労働者よりも倍近く高まったのです[#]Hoel DG, de Gruijl FR. Sun Exposure Public Health Directives. Int J Environ Res Public Health. 2018 Dec 10;15(12). pii: E2794.

スウェーデン女性3万人を対象に行われた日光浴のメリットに関する調査でも、日焼けを避けているグループは積極的に太陽を浴びているグループと比較して致死性の疾病を発症する割合が倍増するとしています。日焼け止めの使用が皮膚がんを予防するという有効な根拠もほとんどなく[#]Berwick M. Counterpoint: sunscreen use is a safe and effective approach to skin cancer prevention. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2007 Oct;16(10):1923-4. 、これらのリサーチ結果を見ても、日光に当たらないことのほうが皮膚がんを含む疾病リスクを倍増させるといえそうです。

 

心身の健康に太陽は欠かせない。日光浴のメリットあれこれ

日光に当たる一番のメリットはビタミンDをしっかりと形成できること。ビタミンDとカルシウムは内部がんや他の慢性病のリスクを大幅に軽減し、特に乳がんは80%もリスクが減少します[#]Flood A, Peters U, Chatterjee N, et al. Calcium from diet and supplements is associated with reduced risk of colorectal cancer in a prospective cohort of women. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2005 Jan;14(1):126-32.  [#]Lappe JM, Travers-Gustafson D, Davies KM, et al. Vitamin D and calcium supplementation reduces cancer risk: results of a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2007 Jun;85(6):1586-91. 。また、太陽を浴びると血管拡張作用がある酸化窒素が生成されるため、血圧低下、心臓病や心筋梗塞、脳溢血など血管系の病気の予防にも有効です。

29518人の女性を20年間追跡調査した2016年のスウェーデンの研究発表では、日焼けを避けているグループは積極的に日光に当たるグループと比べ、0.6~2.1年寿命が短いと判明!さらに日光浴派の喫煙者と日光を避ける非喫煙者の平均寿命がほぼ同じという結果も[#]Lindqvist PG, Epstein E, Nielsen K, et al. Avoidance of sun exposure as a risk factor for major causes of death: a competing risk analysis of the Melanoma in Southern Sweden cohort. J Intern Med. 2016 Oct;280(4):375-87. 。日光に当たらないことは喫煙習慣に匹敵するほど健康にダメージを与えると言えるのです。また、日光不足はうつ病などの心の不調を引き起こすこともよく知られています。また、上述の通り、ガラスはビタミンDの生成に必要な紫外線の波長であるUV-Bを吸収してしまうため、窓越しでの日光浴ではビタミンDは生成されないと考えられています。一方、メラノーマを引き起こすUV-Aはガラスではブロックされないのです。ガラス越しで太陽光を浴びるのは避けるべきことなのです。

 

日光浴の代わりにサプリメントでビタミンD補給はあり?なし?

日光に肌をさらすことで形成されるビタミンD。でも、このビタミンDを日光浴の代わりにサプリメントで補給しても同じ効果が期待できるのでしょうか?研究結果によると、サプリメントを使用しただけではがんや心臓病などに特に効果が見られなかったため、サプリメントでのビタミンD補給だけでは十分でないとしています[#]Manson JE, Cook NR, Lee IM, et al. Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):33-44. 。しかし、このリサーチに使用されたサプリメントは必要な使用量が大幅に不足していたという批判もあり、適切な分量のもと再リサーチが期待されています。ビタミンD補給には日光浴がベストなのは間違いなさそうですが、どうしてもビタミンDが足りないときはサプリメントを使用してもよいかもしれません。その場合、ビタミンD3という種類のものを選ぶとよいと考えられています。

ちなみに、健康的な生活に必要な血中のビタミンD量は60~80ng/ml[#]McDonnell SL, Baggerly CA, French CB, et al. Breast cancer risk markedly lower with serum 25-hydroxyvitamin D concentrations ≥60 vs <20 ng/ml (150 vs 50 nmol/L): Pooled analysis of two randomized trials and a prospective cohort. PLoS One. 2018 Jun 15;13(6):e0199265. とされており、10歳以上のアメリカ人の75%はビタミンDが30ng/ml以下だそう。日焼けを避ける慣習が根付いている日本でも同様あるいはそれよりさらに悪い状態とも推測できます。ぜひ一度、血液検査でビタミン濃度をチェックしてみましょう。

 

 

過度な日焼けや炎症は色素沈着やシミ、しわ、悪性腫瘍など、有害な影響があるとの印象がぬぐえませんが、適度な量の日光浴は健康の敵であるどころか、がんや心臓病、うつ病などさまざまな疾病リスクを軽減する自然の恵みなのです。

もちろん過ぎたるは及ばざるがごとし、です。過度な日焼けと適度な日光浴の境界線は人それぞれ異なりますが、ほんのり肌が赤くなる程度の日光浴、つまり一日5分~15分程度を目安として日光に肌を露出するのがビタミンD生成に効果的とされています[#]Holick MF. (1996) Vitamin D and bone health. Journal of Nutrition 126, 1159S±1164S.  [#]Gillie O. A new government policy is needed for sunlight and vitamin D. Br J Dermatol. 2006 Jun;154(6):1052-61. 。“日焼け=皮膚がん”という古い認識は捨て去って、太陽と仲良く適度なお付き合いを楽しみましょう。

 

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