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残留農薬の危険性。健康被害を避けるためにできること。
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残留農薬の危険性。健康被害を避けるためにできること。

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・丸ごと食べる農作物や皮がうすいものは残留農薬が多め
・防カビ剤イマザリルが使用されている果物は皮に注意
・残留農薬が気になる方は「有機JASマーク」を目印に野菜を選ぼう
・残留農薬は洗うことで減らせる

 

一般的に健康被害を与えると言われている農薬。そもそも農薬とは、農作物を害する真菌、線虫、ダニ、昆虫、ウイルスなどを防除するための殺菌剤や除草剤、殺虫剤のことで、農作物に残った農薬を残留農薬と言います[#]農林水産省 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kaisei/zenbun.html 。果たしてそれがどれだけ危険なのか、気になりますよね。農林水産省は、農薬についてそれぞれの残留濃度の基準を設定していますが、それがどのようにして決められた基準なのかご存知でしょうか[#]厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部基準審査課. 食品衛生法における農薬の残留基準について. In: Ministry of Health Labour and Welfare [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/000... ? キレイな農作物の安定供給のために農薬は有効ですが、そのために健康被害が生じてしまえば、本末転倒とも言えます。

現代のようにインターネットが発達した情報社会では、残留農薬による健康への害があるのかどうかについてさまざまな情報が交錯しています。どの情報が信頼できて、どの情報が信頼できないのか分かりづらいのが実情です。
 

農作物によって残留農薬の量に大きな差がある

残留農薬は一般の農作物からは多かれ少なかれ検出されますが、その量は農作物によってさまざまです。米国では、米国農務省と米国食品医薬品局(FDA)のデータに基づき、EWG(The Environmental Working Group)という団体が12種類の残留農薬の多い農作物を「Dirty Dozen」として列挙し、特にこれらの農作物については有機栽培作物の購入を勧めています[#]Environmental Working Group. #DirtyDozen Fruits and Vegetables with the Most Pesticides – @EWG’s Shopper’s Guide to Pesticides in ProduceTM [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: https://www.ewg.org/foodnews/dirty-dozen.php 。一方で、15種類の残留農薬の少ない農作物が「Clean 15」として列挙され、有機栽培でなくても大きな問題がない、としています[#]Environmental Working Group. #CleanFifteen Conventional Produce with the Least Pesticides – @EWG’s Shopper’s Guide to Pesticides in ProduceTM [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: https://www.ewg.org/foodnews/clean-fifteen.php

Dirty Dozen(2016年):
1位イチゴ、2位ホウレン草、3位ネクタリン、4位リンゴ、5位モモ、6位洋ナシ、7位サクランボ、8位ブドウ、9位セロリ、10位トマト、11位パプリカ、12位ジャガイモ

「Dirty Dozen」に挙げられた農作物には、果物が比較的多くあります。また、イチゴやサクランボやホウレン草のように丸ごとそのまま食べる農作物と、ネクタリンやリンゴやパプリカのように皮がうすい農作物が多いのが特徴です。

また、このリストは米国発のものであるため、日本ではあまり広く消費されていないもの(ネクタリンや洋ナシなど)が含まれています。同じ理由から、残留農薬が多めの作物であっても、米国ではあまり消費されていないものは含まれていなかったり、日米での農法などによる違いも考えられるので、注意が必要です。

 

 

残留農薬の一日摂取許容量を計算してみたら

では、日本ではどうでしょうか。例えば、イチゴは国産だから農薬が少ないのでしょうか? イチゴの流通量を比較してみると、国産品は15~18万トン(、輸入品は約3000トン(2003-2014農林水産省野菜生産出荷統計))と割合的には輸入品は少ないです[#]調査統計課東京税関 調査部. 生鮮イチゴの輸入 [Internet]. 2014. Available: http://www.customs.go.jp/tokyo/content/toku2608.pdf 。つまり、日本で消費されているイチゴのほとんどは国産品になります。

その残留農薬ですが、厚生労働省が平成24年度に行った検査の結果が平成28年8月に報告されています[#]厚生労働省. 平成24年度食品中の残留農薬等検査結果 [Internet]. Available: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/000... 。イチゴに関して、7ページに渡って記載されていて、そのうち、DDT、アクリナトリン、アセタミプリド、アジキシストロビンの検出値の最大値を使って、この検出値が一人当たりの人一日摂取許容量と比べてどれだけの量なのかを調べました。

体重60kgの人が125g(約半パック)のイチゴを食べた場合、それぞれの農薬の人一日摂取許容量に対して、DDT、アクリナトリン、アセタミプリド、アジキシストロビンはそれぞれ約1.42%、2.00%、2.41%、1.15%でした[#](株)化学分析コンサルタント-技術資料. 農薬の ADI 及び ARfD 値 一覧表(含、我が国における出荷金額) [Internet]. 2010. Available: http://jaccc.jp/pdf/ARfD_gn.pdf

イチゴ半パックなら6歳児ぐらいでも食べそうだと考え、6歳児の体重に相当する20kgの人でも計算してみました。結果はそれぞれ4.25%、5.99%、7.22%、3.44%でした。

いずれの場合も、農薬の最大検出値を使っても、人一日摂取許容量に達しないばかりかその10%にも満たない計算となりました。半パックのイチゴを食べることも毎日はないと考えられますので、政府が定める摂取許容量が正しいとすれば、安全である可能性が高いといえます。ただし、子供の方が若干ですが、人一日摂取許容量に対して数値が高くなる傾向にあるようです。

 

 

なお、オレンジやグレープフルーツ、バナナに使用される強力な防カビ剤であるイマザリルは、日本の生産過程ではポストハーベスト農薬として扱われ、使用が禁止されています[#]残留農薬. In: 厚生労働省 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/za... (ポストハーベスト農薬の使用は禁止されていますが、結局日本では“食品添加物”の中の防カビ剤として登録されているようです)。でも、米国やオーストラリアなどから輸入されているこれらの果物に収穫後に撒かれるイマザリルは禁止されていませんので、購入の際にはしっかりと表記を見るようにしましょう。

もしイマザリルが使用されている場合は、購入を見合わせるか、皮を使用せず、皮むきの際に皮から染み出た油などの成分が中の食べる部分に付着しないように工夫してください。geefee point character コメント ! そのため、お店で飲み物を注文する際には、レモンやライムのスライスは入れないように、と頼むようにしています。 なお、イマザリル使用の場合でも皮を除外した中身の部分へのイマザリルの浸透はかなり少ないとの報告があります[#]Compass FC. 防カビ剤使用のオレンジは皮をむけば大丈夫?. In: FOOCOM.NET - 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.foocom.net/column/residue/13292/

 

でも現実はもっと複雑

そもそも論として、人一日摂取許容量が信頼できるのかという問題があります。人一日摂取許容量とは、毎日一生涯に渡って摂取することが許される一日の上限量を表しています。マウスやラットを用いて行った毒性試験の結果から得られた無毒性量を、動物間の種差や人間間の個人差を考慮して、100をかけた数値が一日摂取許容量(ADI)です。そのADIに対して、体重をかけた数値が人一日摂取許容量になります[#]Renwick AG. Safety factors and establishment of acceptable daily intakes. Food Addit Contam. 1991;8: 135–149.   [#]残留農薬. In: 厚生労働省 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/za...

例えば、イチゴに含まれるDDTの一日摂取許容量が0.005mg/kg体重/日だとすると、体重60kgの人の人一日摂取許容量は0.3mgとなり、毎日0.3mgを一生涯摂取したとしても健康上問題がないとされています。私たちはイチゴのみならず、鉄分が豊富なホウレン草(Dirty Dozen 1位)、食物繊維が豊富なセロリ(Dirty Dozen 9位)、リコピンが豊富なトマト(Dirty Dozen 10位)など、イミダクロプリド、ジノテフラン、シペルメトリン、フルフェノクスロン、ペルメトリンといった健康被害を及ぼす残留農薬を含む多くの種類の野菜や果物を口にしていますが、イチゴと同様に毎日これらを摂取しても人一日摂取許容量には届きません。

一方、複合的な作用はどうなのでしょうか。薬には禁忌とされる組み合わせがあり、例えば、経口抗真菌剤イトラコナゾールは、ダビガトランを含むいくつかの薬剤と組み合わせて投与することは禁忌とされています[#]Safouris A, Triantafyllou N, Parissis J, Tsivgoulis G. The case for dosing dabigatran: how tailoring dose to patient renal function, weight and age could improve the benefit–risk ratio. Ther Adv Neurol Disord. SAGE Publications; 2015;8: 245. 。違う種類の残留農薬の組み合わせの残留濃度は考慮されていませんし、体質によって特定の農薬に特に敏感な人の場合に問題があるか、などは十分に調べられていない現実があります。

さらに言えば、日々の精神的ストレスや、花粉アレルギーに代表されるような身体にかかるストレス、さまざまな虚弱体質などが重なった場合にはどのように考えるべきかなどは、科学的にほぼ未知の世界と言えるでしょう。この現状について、健康の観点から保守的に考えるか、あるいはあまり気にしないかは、個人個人の判断を要するところです。
 

有機栽培や無農薬栽培の農作物に付いている「有機JASマーク」

現代社会では、残留農薬を含む農作物が多く存在します。また、減農薬栽培などという言葉もありますが、現在では、日本農林規格法により有機食品の検査認定やその表示が法制化され、「有機JASマーク」があります[#]有機食品の検査認証制度:農林水産省 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html 。このマークは、化学的に合成された肥料や農薬を原則として使用しない農作物やそれらを原料とした加工品につけられるマークで、「有機野菜」や「オーガニック野菜」にはこのマークが付いています。

 

 

残留農薬は極力洗って減らす

「ということは値段の高い有機野菜やオーガニック野菜を食べるしかないのか」と嘆く前に、家庭でも簡単に残留農薬を減らすことができる方法を紹介します。ある科学会誌によると、トマトに含まれる多くの残留農薬は、10%の重曹水や10%酢溶液で洗うことで減少されたことが報告されています[#]Andrade GCRM, Graziela C R, Monteiro SH, Francisco JG, Figueiredo LA, Rocha AA, et al. Effects of Types of Washing and Peeling in Relation to Pesticide Residues in Tomatoes. J Braz Chem Soc. 2015; doi:10.5935/0103-5053.20150179

また、トマトの皮に多く含まれるジフルベンズロンは水洗いにより残留農薬が減少することが分かっています[#]残留農薬. In: 厚生労働省 [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/za... 。しかし、トマトの皮に多く残留しているフィプロニルは水洗浄しても濃度は変化なしという結果が出ていますので、トマトなど、農薬の使用頻度が高い野菜は皮をむくことをお勧めします[#]Usha Bajwa KSS. Effect of handling and processing on pesticide residues in food- a review. J Food Sci Technol. Springer; 2014;51: 201.  [#]Vasconcelos IM, Oliveira JT. Antinutritional properties of plant lectins. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 19 Jun 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15302522

家庭でも簡単にできる方法として、洗浄する際に、2杯分のコップの水に小さじ1杯分の重曹を加え、野菜や果物を12分~15分水に漬け洗いし、皮をむいて食べるのが一番安全と言えるでしょう。皮をむくことで、付着している残留農薬をほとんど除去できるだけでなく、レクチンを避けることにもなりうるのでより安全です。