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グリホサートだけじゃない。海外で禁止され日本で使用されているクロルピリホスなどの農薬・殺虫剤の危険性。
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グリホサートだけじゃない。海外で禁止され日本で使用されているクロルピリホスなどの農薬・殺虫剤の危険性。

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・グリホサート以外でも数多くある海外で禁止・規制されている中で日本では使用されている農薬や殺虫剤
・ここ数年先進国で規制の動きが加速しているクロルピリホス
・日本では使用可能な有機リン系殺虫剤の種類とは?
・クロルピリホスの有害性が与える健康リスク
・家庭菜園などでも注意したい農薬や殺虫剤の種類

 

以前の記事でもお伝えした除草剤「ラウンドアップ」の主成分であるグリホサート。このグリホサートの持つ発ガン性などの悪影響は世界中で論争となり多くの国で使用が禁止されています。このグリホサートは、メディアやニュースなどで頻繁に取り上げられ認知度が高まっていますが、海外で禁止されているにも関わらず日本では使用され続けています。こうした農薬はまだまだ多数あります。その代表的な農薬の1つが、ここ数年、外国で使用禁止の動きが広まりつつある有機リン系殺虫剤のクロルピリホス。今回は、このクロルピリホスを中心に、海外で使用が規制され日本で未だに使用されている農薬にフォーカスしていきます。

 

日本で登録されている農薬の種類は多数

一概に農薬といっても、日本で登録されている商品数は4000以上、有効成分は600近くと非常に多くあります[#]“農薬工業会.” n.d. Accessed March 10, 2021. https://www.jcpa.or.jp/qa/a4_05.html#:~:text=Q.,%E3%82%88%E3%81%84%E3%81.... 。殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺そ剤、植物成長調整剤、その他の7種類に分類され、作物の種類や用途によって使い分けられています。日本の農薬使用量は温暖湿潤な気候という理由などから農地面積あたりの農薬使用量が台湾、中国、イスラエル、韓国に次ぎ第5位と世界でも有数の農薬使用国[#]“FAOSTAT.” n.d. Accessed March 10, 2021. http://www.fao.org/faostat/en/#data. 。使用量だけではなく、海外では規制されている農薬を使用しているという観点から見ても、先進国の中でも非常に遅れているワースト国とも言えるでしょう。

 


 

 

各国で規制が始まっている有機リン系殺虫剤「クロルピリホス」

さまざまな種類がある殺虫剤の中でも我が国で最も使用量が多いと言われている有機リン系殺虫剤。昆虫の神経伝達物質であるアセチルコリンをかく乱し昆虫を殺す、という非常に毒性の強い殺虫剤です。アセフェート、クマホス、ダイアジノン、ジクロルボスなど種類の多い有機リン系殺虫剤ですが、中でも最も使用量が多いのがクロルピリホス。白アリ駆除などにも使用されているのでその毒性は相当なもの。このクロルピリホスは、EUでは昨年2020年に使用が禁止、アメリカでは、2018年にハワイ州で、2020年にはカリフォルニア州、ニューヨーク州で使用禁止と、ここ数年、先進国で規制の動きが加速しています。

 

日本では、希釈倍数や使用回数などの制限はあるものの、今のところ、特に禁止案が議論となっているというようなことはないようです[#]“[クロルピリホス(案)].” n.d. Accessed March 10, 2021. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000463399.pdf.

 

また、以下にリストアップしたのは、クロルピリホスの他に海外で規制・禁止されているにも関わらず日本では使用可能な有機リン系殺虫剤です。

 

・アセフェート
EUで使用禁止
・ダイアジノン
アメリカでは住居での使用禁止
・カズサホス
フランスで使用禁止
・プロフェノホス
EUで使用未承認

 

特に、アセフェートやダイアジノンなどは、誰でも手に入れることができる市販の害虫駆除剤です。毒性が強いため、自宅で使用する場合には注意が必要です。後程詳しく説明します。

 

「クロルピリホス」の健康リスクとは?

農薬全般に言えることですが、適正に使用された農薬の安全性については限られた条件下で科学的な評価がされているとは言え、殺虫作用のある化学物質です。その摂取量や期間によっては、健康リスクが伴う可能性は否定できません。特に、このクロルピリホスは、アメリカで行われた農薬健康調査では、ワーストランクの「きわめて有害」に次ぐ「中程度に有害」にランク付けされ、リンパ球造血系全種、肺ガン、結腸ガン、脳腫瘍のリスクが指摘されています。また、さまざまな研究結果によって明らかになった以下のような健康リスクも示唆されています[#]“[農薬と健康 高まる懸念].” n.d. Accessed March 10, 2021. https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2018/12/90dc80....

 

  • 先天異常
  • 知的発達障害
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • パーキンソン病

 

また、ある研究により、インドの女性の母乳からWHO(世界保健機関)のADI(一日摂取許容量)の4.1倍の濃度のクロルピリホスが検出された例も[#]“[クロルピリホスに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見・情報の募集結果について].” n.d. Accessed March 10, 2021. http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka_29.data/kekka_no_chlorp.... 人体に蓄積するような農薬は登録が認められていないという建前がありながらも、こういった例のように体内から検出されている残留農薬が、母乳を介して子の体内へ入り込んでしまうことは見逃せない事実ではないでしょうか。

 

想像以上に広範囲な農薬の大気拡散

害虫駆除を目的とした農薬の散布ですが、これが想像以上に広い範囲で拡散される可能性があります。アメリカで実施された研究によると、農地や市街地で散布されたクロルピリホスやダイアジノン等の有機リン系殺虫剤の大気中での拡散距離が安全基準値を超えた10~150mに渡っていたことが分かっています[#]“[農薬と健康 高まる懸念].” n.d. Accessed March 10, 2021. https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2018/12/90dc80.... 。こういった農薬によって汚染された空気を吸引することでの健康リスクも懸念されます。

 

 

家庭菜園でも使用されている農薬や殺虫剤

農薬は特に販売・購入の規制がされていないため、家庭菜園で使用するために農薬や園芸用殺虫剤が市販されています。除草剤の「グリホサート」をはじめ、上記で述べた

 

クロルピリホスが含まれた「ダーズバン
アセフェートが含まれた「住友化学園芸 殺虫剤 オルトラン
ダイアジノンが含まれた「住友化学園芸 殺虫剤 家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤
カズサホスが含まれた「ラグビーMC粒剤
プロフェノホスが含まれた「エンセダン乳剤

 

といった、海外でも禁止・規制がされている成分が含まれた製品が、一般家庭でも手軽に購入できてしまうため、自宅で使用する場合、農薬や害虫剤の種類の選択を今一度見直してみる必要があるかもしれません。上記で述べた大気中での拡散により、周りの人にも悪影響を与えるかもしれません。

 

 

まとめ~海外で禁止され日本で使用されているクロルピリホスなどの農薬・殺虫剤の危険性。~
常に議論がされている農薬の安全性と危険性。このセンシティブな問題に対する取り組みは、数十年前に比べて世界的に進んできています。しかし、他の先進国に比べて日本は遅れぎみ。国内で規制がされていない以上、生産者、消費者が意識的にこの問題に向き合うしか方法はありません。毎日のように食べる野菜だからこそ、できるだけオーガニックな野菜を選択するようにし、購入した農産物は必ずしっかりと洗う癖をつけるようにしましょう。また、最近、増加傾向にある家庭菜園ですが、クロルピリホスを主成分とした「ダーズバン」やアセフェートを主成分とした「オルトラン」など特に有害な殺虫剤が市販されています。どういった成分が含まれている製品かをしっかりと理解したうえで使用するようにしましょう。

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