-検査結果の説明-
まずアフラトキシンについては、上述したように、アフラトキシンの国内の基準値は総アフラトキシン(アフラトキシンB1, B2, G1及びG2の総和)で、食品では1kgあたり10μgとなっています。このことから、1kgあたり0.5μg未満という数字は、国の基準を十分満たしていると考えられます。また、オクラトキシンAについても、EUの基準で考えると、1kgあたり5µgとなっており、今回の検査結果はこの基準も下回っていました。
なお、カビ毒というものは、自然発生的に生じるもので、一部のコーヒー豆がかなり汚染されていても、別の豆はまったく汚染されていないというケースもあり得ます。より正確に安全性のリスクを知るためには、多くのサンプル量から分析して全体の平均に近づけるということも必要でしょう。
カビ毒基準値について詳しく知りたい
ところで、国が定めている総アフラトキシンの基準値の数値とは、いったいどのような数なのでしょうか?総アフラトキシンの基準値である「1kgあたり10㎍」という量は、0.00000001倍の濃度ということになります。アフラトキシンB1について、毒性を調べる動物実験の結果によれば、体重10キロのサルがいたとしたら、22000μg程度のアフラトキシンB1が投与されるとサルの半数が死に至るとされています。一方、発癌性については、たとえば、体重60キロのヒトが毎日0.06µgのアフラトキシンB1を摂取していたとしたら、肝臓癌になる人は年間に1000万人に1人程度いるとされています。(サル経口摂取LD50 2.2-7.8mg/kg BW。ヒトの肝臓癌リスク1ng/kg bw/dayの摂取でB型肝炎抗原陰性で0.01人/10万人/年より計算)(農林水産省 2017)[5]
この数値をどう感じるかは人それぞれだと思います。アフラトキシンB1の危険な数値はわかっても、他の化学物質等との相互作用等で何がどう変化するかについて、すべてを調べきることは非常に難しいでしょう。ただ、カビ毒の基準値というのは、さまざまな実験データを集めて、危険だとわかる数値よりも低い値に設定されていることがわかります。

検査結果をどう解釈すればよいか?
気になるコーヒーのカビ毒。健康関連の本やネットではその危険性が指摘され、日本でも問題意識が高くなっています。でも実際に日本で市販のコーヒー豆を検査に出した結果、10種類の豆の全てがこの検査による検出可能な最低限の量未満でした。
geefeeスタッフとしては、汚染を恐れる気持ちがある反面、汚染が発見されればより興味深い記事になるとも思われたため、汚染が発見されることを期待する気持ちも心の奥であったような気がします。でも実際の結果では汚染の形跡は一切認められませんでした。
これは一体何を意味するのか?日本の輸入品の管理体制がしっかりしているということなのか?あるいは、アメリカは安全基準がないので、世界の悪いコーヒーがアメリカへ行っているため、アメリカで安全性の話題が出ているが、日本に来るものは実は問題がないのか?それとも、今回検査をした10種類の豆のサンプルがたまたまよいものだったが、汚染されているものも実は日本で多く販売されている、ということなのか?今回の検査はごくごく限られたもので、これらの疑問への回答は出せません。
ただ、「日本で市販されているコーヒー豆のほとんどがカビ毒に汚染されている」といったパニック思考の必要はなさそう、という解釈は合理的と思われます。これはこれで意味のある情報なのではないかと考えます。しかし、いずれにせよ、geefeeでは、今回の結果だけで安心せず、今後も引き続きカビ毒について、積極的に検査も行いながら、問題意識を持って情報発信して行きたいと考えています。
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