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DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)サプリメントを正しく理解して効果的に使用する方法。
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DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)サプリメントを正しく理解して効果的に使用する方法。

geefee Staff Writers

geefee ポイント geefee ポイント

・テストステロンやエストロゲンと同様に性腺（卵巣・精巣）から分泌される性ステロイドホルモンであるDHEAとは？
・骨密度を増加や性機能の改善が期待できるDHEA
・コレステロールとDHEAの関連性とは？

 

サプリメントの宣伝で時々目にするDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)。副腎や性腺で自然に生成されるホルモン前駆体で、テストステロンやエストロゲンなどの他のホルモンの産生に寄与しているため若返りホルモンなどとも呼ばれ、サプリメントの形で摂取することができます。このDHEAを補給することで、さまざまな健康効果が期待できると言われていますが、ホルモンバランスにも影響を与えるため、摂取の際には正しい知識が必要です。今回は、このDHEAの効果の是非を科学的根拠を基に検証していきます。
 

 

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)って何？

テストステロンやエストロゲンと同様に性腺（卵巣・精巣）から分泌される性ステロイドホルモンであるDHEAは、コレステロールを原料として体内で生成されるホルモン前駆体です[1]。それ自体は生物学的効果はほとんどないとされていますが、副腎で合成された後に、テストステロン、エストロゲンなどの性ホルモンに変換されるため、DHEAの分泌量が低下するとホルモンバランスの乱れなどの原因になりえます。DHEAの産生は、10歳を過ぎるころから徐々に増加し20代にピークを迎え、その後ゆっくりと低下していくため、老年期にDHEAをサプリメント等で補給することで若返りの効果が期待できると言われています。

 

骨密度を増加

加齢の伴い骨密度が低下することは以前の記事でもお伝えしましたが、DHEAの分泌量の低下は、骨密度の低下と骨折のリスクに関連していると言われています[2]。65〜75歳の男女がDHEAとビタミンD、カルシウムのサプリメントを1年～2年服用したある研究では、男性ではなく女性の骨密度が増加したという結果が報告されています。他の研究でも、男性においては有意な変化がなかったため[3]、DHEAの補給が女性の骨密度の改善に効果がある可能性が指摘されています。

 

うつ病との関連性は複雑

気分のムラやうつ病などと深い関連性があるホルモンバランスの乱れ[4]。DHEAサプリメントの広告などには気分や活力が向上するなどと記載されていることがありますが、DHEAと気分の関連性はそう単純ではありません。研究では、閉経が近づいている女性でうつ病を患っている人のDHEA分泌レベルが、うつ病を患っていない人よりも高いということが報告されている一方で、重度のうつ病患者のDHEA分泌レベルが軽度のうつ病患者のDHEA分泌レベルよりも低いということが報告されていることもあり、DHEAの補給が必ずしも気分の改善に有意性があるとは限りません。DHEAの分泌レベルが高い中年女性においては、うつ病の症状が悪化する可能性も指摘されているため、メンタルヘルスの改善のためのにDHEAのサプリメントを摂取することはおススメできません[5]。また、摂取後に気分のムラや軽度のうつ病の症状を伴う場合は、摂取を中止するようにしましょう。

 


 

 

性機能の改善

男性及び女性ホルモンの分泌量の低下は、性機能の低下とも関連していますが、ある研究では、DHEAのサプリメントが男女共に性欲と性機能を高める可能性が示唆されています[6] [7] [8]。ただし、これはあくまでも性機能に何かしらの障害を持っている人における結果で、特に性機能に問題を抱えていない人の性機能が増強されるわけではありませんので注意[9] [10]。また、体外受精中にDHEAのサプリメントを摂取した女性の妊娠率が、非摂取者の4％に対して23％増加するという研究結果も[11]。他の研究でも受精率が上がったというデータもありますので[12]、女性の卵巣の機能を改善する可能性があります。しかし、これもあくまでも既に不妊症などの問題を抱えている場合のみの話。すべての人に当てはまるわけではないので、サプリメントの摂取を検討する際は、必ず医師に相談しましょう。

 

コレステロールとDHEA

主に肉の脂身やバター、卵の黄身などの食品から摂取しているコレステロールは、DHEAを含め生体機能を調整するステロイドホルモンの前駆体であるプレグネノロンの大切な原料になるので十分な摂取を心掛ける必要があります。また、コレステロールは、ビタミンDの生成にも関与しています。健康的な食事をしていればコレステロール不足ということはほとんど起こらないと言われていますが、高コレステロールが健康に悪いという誤解を未だに信じている人は闇雲にコレステロールを避けてしまっていることでコレステロールが足りていない場合があります。コレステロールの正しい知識を改めて認識し、質の良いコレステロールを十分に摂取するようにしましょう。

【関連記事】「実は食事のコレステロール量を制限する必要はない、って本当？コレステロールの新常識」

 

 

ただし、摂取したDHEAが血中コレステロールに影響を与えるケースもあります。ある研究では、副腎機能低下症を発症している女性に経口DHEA投与をした結果、リポタンパク質（HDL，LDL，VLDL）プロファイルが変化し血中総コレステロールの値が低下したという結果が報告されています。この結果で特に注視すべきは、主に著しく低下したのがHDLという点[13]。HDLはみなさんもご存じの通り心臓病のリスクの軽減など体に恩恵をもたらせてくれる善玉コレステロール。副腎機能低下症を発症している人は、DHEAを摂取することで、血中コレステロールのバランスが崩れる可能性があるので注意しましょう。

 

DHEAサプリメントの適切な摂取量や注意点

体内で自然に生成されるホルモンであるDHEAは、若くて健康な人が補給しても効果はほとんどないと言われていますので、補給の対象となるのはDHEA分泌レベルが下がる傾向にある高齢者や性機能に問題を抱えているような人たちです。推奨摂取量は[14] [15] [16]、

 

1日50gを1年間
1日25gを2年間

 

が副作用なしで安全に摂取できることが報告されています[17] [18]。

また、副作用として、脂性肌、ニキビ、脇の下や陰部の発毛の増加などがある可能性も指摘されていますが[19]、最も注意すべきは前立腺ガンや乳ガンや卵巣ガンなどの性ホルモンに関連したガン患者、もしくは過去にこれらの疾患のある人の摂取。ガンの悪化やリスク増加につながる可能性が指摘されています[20]。繰り返しになりますが、健康な人がDHEAを無理に摂取し体内のDHEAレベルが高すぎると上記の副作用が生じる可能性があるので十分に注意しましょう。

どちらにせよ、DHEAのサプリメントの摂取を検討している人は必ず医師に相談するようにしてください。
 

 

まとめ～DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)サプリメントを正しく理解して効果的に使用する方法。～
加齢に伴い低下する傾向のあるホルモンレベルを人工的に上げる方法は色々あります。しかし、ホルモンバランスはとっても微妙な世界なので、闇雲にサプリメントなどで補給すれば良いというものではありません。特にDHEAのような少々特殊なサプリメントは、すべての人が飲むべきものではありませんので、しっかりと自分のコンディションを確認し、医師などと相談して使用するようにしてくださいね。
 

引用文献

[1]“DHEA.” 2021. February 12, 2021. https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements-dhea/art-20364199.

[2]Garnero, P., E. Sornay-Rendu, B. Claustrat, and P. D. Delmas. 2000. “Biochemical Markers of Bone Turnover, Endogenous Hormones and the Risk of Fractures in Postmenopausal Women: The OFELY Study.” Journal of Bone and Mineral Research: The Official Journal of the American Society for Bone and Mineral Research 15 (8). https://doi.org/10.1359/jbmr.2000.15.8.1526.

[3]Mühlen, D. von, G. A. Laughlin, D. Kritz-Silverstein, J. Bergstrom, and R. Bettencourt. 2008. “Effect of Dehydroepiandrosterone Supplementation on Bone Mineral Density, Bone Markers, and Body Composition in Older Adults: The DAWN Trial.” Osteoporosis International: A Journal Established as Result of Cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA 19 (5). https://doi.org/10.1007/s00198-007-0520-z.

[4]Basile, Lisa Marie. n.d. “Hormonal Imbalances and Depression.” Accessed November 24, 2021. https://www.endocrineweb.com/hormonal-imbalances-depression.

[5]Morrison, M. F., E. W. Freeman, H. Lin, and Sammel. 2011. “Higher DHEA-S (dehydroepiandrosterone Sulfate) Levels Are Associated with Depressive Symptoms during the Menopausal Transition: Results from the PENN Ovarian Aging Study.” Archives of Women’s Mental Health 14 (5). https://doi.org/10.1007/s00737-011-0231-5.

[6]Genazzani, A. R., M. Stomati, V. Valentino, N. Pluchino, E. Pot, E. Casarosa, S. Merlini, A. Giannini, and M. Luisi. 2011. “Effect of 1-Year, Low-Dose DHEA Therapy on Climacteric Symptoms and Female Sexuality.” Climacteric: The Journal of the International Menopause Society 14 (6). https://doi.org/10.3109/13697137.2011.579649.

[7] Brooke, A. M., L. A. Kalingag, F. Miraki-Moud, C. Camacho-Hübner, K. T. Maher, D. M. Walker, J. P. Hinson, and J. P. Monson. 2006. “Dehydroepiandrosterone Improves Psychological Well-Being in Male and Female Hypopituitary Patients on Maintenance Growth Hormone Replacement.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 91 (10). https://doi.org/10.1210/jc.2006-0316.

[8]Reiter, W. J., A. Pycha, G. Schatzl, A. Pokorny, D. M. Gruber, J. C. Huber, and M. Marberger. 1999. “Dehydroepiandrosterone in the Treatment of Erectile Dysfunction: A Prospective, Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Study.” Urology 53 (3). https://doi.org/10.1016/s0090-4295(98)00571-8.

[9]Peixoto, C., C. G. Carrilho, J. A. Barros, T. T. Ribeiro, L. M. Silva, A. E. Nardi, A. Cardoso, and A. B. Veras. 2017. “The Effects of Dehydroepiandrosterone on Sexual Function: A Systematic Review.” Climacteric: The Journal of the International Menopause Society 20 (2). https://doi.org/10.1080/13697137.2017.1279141.

[10]Elraiyah, T., M. B. Sonbol, Z. Wang, T. Khairalseed, N. Asi, C. Undavalli, M. Nabhan, et al. 2014. “Clinical Review: The Benefits and Harms of Systemic Dehydroepiandrosterone (DHEA) in Postmenopausal Women with Normal Adrenal Function: A Systematic Review and Meta-Analysis.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 99 (10). https://doi.org/10.1210/jc.2014-2261.

[11]Wiser, A., O. Gonen, Y. Ghetler, T. Shavit, A. Berkovitz, and A. Shulman. 2010. “Addition of Dehydroepiandrosterone (DHEA) for Poor-Responder Patients before and during IVF Treatment Improves the Pregnancy Rate: A Randomized Prospective Study.” Human Reproduction 25 (10). https://doi.org/10.1093/humrep/deq220.

[12]Barad, D., and N. Gleicher. 2006. “Effect of Dehydroepiandrosterone on Oocyte and Embryo Yields, Embryo Grade and Cell Number in IVF.” Human Reproduction 21 (11). https://doi.org/10.1093/humrep/del254.

[13]Srinivasan, Manivannan, Brian A. Irving, Ketan Dhatariya, Katherine A. Klaus, Stacy J. Hartman, Joseph P. McConnell, and K. Sreekumaran Nair. 2009. “Effect of Dehydroepiandrosterone Replacement on Lipoprotein Profile in Hypoadrenal Women.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 94 (3): 761.

[14]Peixoto, C., Devicari Cheda Jn, A. E. Nardi, A. B. Veras, and A. Cardoso. 2014. “The Effects of Dehydroepiandrosterone (DHEA) in the Treatment of Depression and Depressive Symptoms in Other Psychiatric and Medical Illnesses: A Systematic Review.” Current Drug Targets 15 (9). https://doi.org/10.2174/1389450115666140717111116.

[15]Peixoto, C., C. G. Carrilho, J. A. Barros, T. T. Ribeiro, L. M. Silva, A. E. Nardi, A. Cardoso, and A. B. Veras. 2017. “The Effects of Dehydroepiandrosterone on Sexual Function: A Systematic Review.” Climacteric: The Journal of the International Menopause Society 20 (2). https://doi.org/10.1080/13697137.2017.1279141.

[16]Elraiyah, T., M. B. Sonbol, Z. Wang, T. Khairalseed, N. Asi, C. Undavalli, M. Nabhan, et al. 2014. “Clinical Review: The Benefits and Harms of Systemic Dehydroepiandrosterone (DHEA) in Postmenopausal Women with Normal Adrenal Function: A Systematic Review and Meta-Analysis.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 99 (10). https://doi.org/10.1210/jc.2014-2261.

[17] Igwebuike, A., B. A. Irving, M. L. Bigelow, K. R. Short, J. P. McConnell, and K. S. Nair. 2008. “Lack of Dehydroepiandrosterone Effect on a Combined Endurance and Resistance Exercise Program in Postmenopausal Women.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 93 (2). https://doi.org/10.1210/jc.2007-1027.

[18]Lasco, A., N. Frisina, N. Morabito, A. Gaudio, E. Morini, A. Trifiletti, G. Basile, V. Nicita-Mauro, and D. Cucinotta. 2001. “Metabolic Effects of Dehydroepiandrosterone Replacement Therapy in Postmenopausal Women.” European Journal of Endocrinology / European Federation of Endocrine Societies 145 (4). https://doi.org/10.1530/eje.0.1450457.

[19]Rutkowski, K., P. Sowa, J. Rutkowska-Talipska, A. Kuryliszyn-Moskal, and R. Rutkowski. 2014. “Dehydroepiandrosterone (DHEA): Hypes and Hopes.” Drugs 74 (11). https://doi.org/10.1007/s40265-014-0259-8.

[20]“DHEA.” 2021. February 12, 2021. https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements-dhea/art-20364199.

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