Skip to navigation メインコンテンツに移動
葉酸の摂取の仕方が鍵。多くの人が持っているMTHFR遺伝子変異体と健康との関係とは?
1  

葉酸の摂取の仕方が鍵。多くの人が持っているMTHFR遺伝子変異体と健康との関係とは?

geefee ポイント geefee ポイント

・MTHFR遺伝子の機能と日本人も含む多くの人が持っている可能性もあるMTHFR遺伝子変異体とは?
・天然に存在する葉酸(folate)と天然には存在しない合成された葉酸(folate)の違い。
・正しい葉酸サプリメントの取り方

 

約2万個ある体内の遺伝子の中で不必要な遺伝子の働きを抑制したり、遺伝子の該当部分を働かせて体内のそれぞれの細胞を生成することで体を正常化させる働きを持つDNAメチル化。通常、それぞれの細胞に必要な遺伝子だけがオンの状態になり、不必要な遺伝子はオフの状態であるべきですが、このオン、オフを決めているDNAメチル化に変化や異常が生じると遺伝子の適切な調整が損なわれ、必要な遺伝子の働きが阻害されたり、抑制されるべき遺伝子が活性化されることで、さまざまな病気の発症を引き起こすと考えられています[#] “Gene Expression.” n.d. Accessed October 12, 2021. https://doi.org/10.1016/B978-0-12-386454-3.01056-3.  [#]“この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第7回 「エピジェネティクス制御」は、これからの皆さんの研究テーマですよ。 大阪大学大学院 医学系研究科 生命機能研究科 仲野 徹 教授.” n.d. Accessed October 12, 2021. https://www.terumozaidan.or.jp/labo/interview/07/03.html. 。このDNAメチル化を正常に機能させる鍵となるのがMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)。この酵素の量や質はひとりひとりのMTHFR遺伝子によって決められていますが、日本人を含め多くの人がMTHFR遺伝子変異体を持っている可能性も指摘されています。この変異体を持ってる人は葉酸の代謝に問題が生じることがあるのです。今回は、このMTHFR遺伝子変異体と葉酸の関係と葉酸の適切な摂取の方法にフォーカスしていきます。

 

MTHFR遺伝子の機能とは?

ヒトの体の臓器や組織にある約50兆個の細胞には、生命に必要なさまざまなタンパク質を作るための情報を遺伝子という形で内在しています。約2万個ある遺伝子の中の1つがMTHFR遺伝子。メチオニン合成(ホモシステイン代謝)や葉酸の代謝に必要な酵素であるMTHFRをコントロールし活性化します[#] “[ENCODE Project Writes Eulogy For Junk DNA].” n.d. Accessed October 12, 2021. http://static1.squarespace.com/static/505e7a18e4b0a01995610030/t/5150982.... 。食事などから摂取された葉酸は、MTHFRによって葉酸の活性型である葉酸メチルに変換され、DNAメチル化を通して、私たちの体に以下のような恩恵を与えます[#]“Website.” n.d. http://static1.squaresphttps://tespovitamins.com/the-benefits-of-methylf....  [#] “The MTHFR Gene Mutation And How To Rewire Your Genetics.” 2015. August 31, 2015. https://daveasprey.com/the-mthfr-gene-mutation-and-how-to-rewire-your-ge....

 

  • 細胞、組織、DNAの修復と再生
  • 遺伝子発現とタンパク質の調節
  • 気分、睡眠、行動、認知、記憶等に影響を与える神経伝達物質の合成
  • ホモステイン(血管を損傷する可能性のあるアミノ酸)の制御
  • 免疫システムの活性化と調節

 

よって、DNAメチル化を阻害しないためにも、適切な量の葉酸を摂取して正常に代謝する必要があります。しかし、このプロセスに異常が生じると(すなわちDNAメチル化異常が生じると)、抑制されるべき遺伝子が活性化し、免疫不全をはじめ比較的稀な疾患であるICF症候群、精神遅滞症候群、X連鎖劣性遺伝疾患等、さまざまな病気を引き起こす可能性があります[#]Robertson, Keith D. 2005. “DNA Methylation and Human Disease.” Nature Reviews. Genetics 6 (8): 597–610. 。中でも着目されているのがガンとの関連性。通常DNAメチル化が正常であればガン腫瘍の原因となるDNAがオフの状態になりますが、これがオンになってしまうことで胃ガンや食道ガンなどをはじめ、さまざまなガンの発症のトリガーになっている可能性が多くの研究で示唆されています[#]Robertson, Keith D. 2005. “DNA Methylation and Human Disease.” Nature Reviews. Genetics 6 (8): 597–610.

しかし、人によってはこのMTHFR遺伝子に遺伝的変異、突然変異が存在していることが分かっています。せっかく摂取した葉酸が適切に体内で機能しない可能性の高い体質の人が人口のかなりの割合で存在するのです。

 

多くの日本人も持っているMTHFR遺伝子変異体とは?

藻類や肉類や卵、豆類など多くの食材に含まれている葉酸。一般に、普通の食生活であれば十分な量を摂取できると考えられている栄養素の一つです。しかし、これは正常なMTHFR遺伝子を持った人の場合。正常なMTHFR遺伝子の場合よりも葉酸メチルの生成を30%~70%減少させる可能性のあるMTHFR遺伝子変異体を持った人が世界人口の30%~60%いると言われているのです。そもそも葉酸の代謝は、野性型同型接合体(ホモ)CC 型、異型接合体(ヘテロ)CT型、変異型同型接合体(ホモ)TT 型のどの型を持っているかで決まると言われ[#]“Website.” n.d. https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/89/2/89_KJ00009844235/_pdf.  [#]“[メチレンテトラヒドロ還元酵素遺伝子多型C677Tと 葉酸摂取量、血清葉酸値および血漿ホモシステイン 値との関連 ― 葉酸添加発酵乳を用いたシングルア ーム介入試験―.” n.d. Accessed October 12, 2021. https://core.ac.uk/download/pdf/235012973.pdf. 、CC 型に比べて CT型では約35%、TT 型では70% 酵素活性が低下すると報告さています。よって、これらのCT型、TT型を持った人の葉酸の代謝は低下し、DNAメチル化が抑制され、自己免疫疾患、結腸癌、慢性疲労、片頭痛などのさまざまな疾患を引き起こす可能性が指摘されているのです[#]Liew, S. C., and E. D. Gupta. 2015. “Methylenetetrahydrofolate Reductase (MTHFR) C677T Polymorphism: Epidemiology, Metabolism and the Associated Diseases.” European Journal of Medical Genetics 58 (1). https://doi.org/10.1016/j.ejmg.2014.10.004. 。日本人が当てはまるMTHFR 遺伝子の型で多いのは、CT型で50%、TT型で25%と言われていますので、この型を持っている人は、MTHFR活性が低下している、すなわち、DNAメチル化が抑制されている可能性が考えられます。

 

 

このMTHFR 遺伝子変異体を持っているかどうかは、葉酸代謝遺伝子検査で知ることができます。もしその型に当てはまる人は、葉酸を余分に摂取すれば良いのでは?と考えられがちですが、実は話はもう少し複雑です。

 

どの種類の葉酸を摂取するべきかがとっても重要。

葉酸が十分に代謝されないのであれば、サプリメントなどで補給すれば良いと考えられがちですが、天然に存在する葉酸(folate)とプテロイルモノグルタミン酸としても知られているビタミンB9の合成形態である葉酸(Folic Acid)では体内での機能のプロセスが異なることを知っておく必要があります。

 

葉酸(folate)

葉物野菜、柑橘系の果物、豆、レバーなどの食品に含まれている葉酸で、腸内でDHF、THF、10-MTHF(10-メチレンテトラヒドロ葉酸)、5-MTHF(5-メチルテトラヒドロ葉酸)などの活性型ビタミンB9に変換され血中に効率的に行き渡ります。

 

葉酸(folic acid)

天然には存在しない合成された葉酸で、安価なサプリメントやシリアルなどの栄養強化食品や加工食品などに使用されています。葉酸(folate)と異なり摂取した葉酸のすべてが効率的かつ迅速に活性型ビタミン9(特に5-MTHF)に変換されるわけではなく[#]atanwala, I., M. J. King, D. A. Barrett, J. Rose, R. Jackson, M. Hudson, M. Philo, et al. 2014. “Folic Acid Handling by the Human Gut: Implications for Food Fortification and Supplementation.” The American Journal of Clinical Nutrition 100 (2). https://doi.org/10.3945/ajcn.113.080507.  [#]Wright, A. J., J. R. Dainty, and P. M. Finglas. 2007. “Folic Acid Metabolism in Human Subjects Revisited: Potential Implications for Proposed Mandatory Folic Acid Fortification in the UK.” The British Journal of Nutrition 98 (4). https://doi.org/10.1017/S0007114507777140.  [#]Wright, A. J., J. R. Dainty, and P. M. Finglas. 2007. “Folic Acid Metabolism in Human Subjects Revisited: Potential Implications for Proposed Mandatory Folic Acid Fortification in the UK.” The British Journal of Nutrition 98 (4). https://doi.org/10.1017/S0007114507777140. 、少量の葉酸(folic acid)を摂取したとしても、次の摂取までに完全に代謝されないということが懸念されています。代謝されなかった葉酸(folic acid)は肝臓を介し血中に蓄積され[#]Patel, K. R., and A. Sobczyńska-Malefora. 2017. “The Adverse Effects of an Excessive Folic Acid Intake.” European Journal of Clinical Nutrition 71 (2). https://doi.org/10.1038/ejcn.2016.194. [#]Sweeney, M. R., J. McPartlin, and J. Scott. 2007. “Folic Acid Fortification and Public Health: Report on Threshold Doses above Which Unmetabolised Folic Acid Appear in Serum.” BMC Public Health 7 (March). https://doi.org/10.1186/1471-2458-7-41. 、ガンをはじめ、ビタミンB12欠乏症による認知症のリスク、心血管疾患などさまざまな疾患の原因になる可能性が指摘されています[#]“Folate.” n.d. Accessed October 12, 2021. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Folate-HealthProfessional/.  [#]Reynolds, E. H. 2002. “Benefits and Risks of Folic Acid to the Nervous System.” Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry 72 (5). https://doi.org/10.1136/jnnp.72.5.567.  [#]Sauer, Julia, Joel B. Mason, and Sang-Woon Choi. 2009. “Too Much Folate – a Risk Factor for Cancer and Cardiovascular Disease?” Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care 12 (1): 30. 。葉酸(folate)の場合は、MTHFR遺伝子変異体を持っていても比較的代謝されやすいので未代謝のものが蓄積されるリスクも減りますが、過剰摂取の場合のリスクは同様のため、いずれにしても適切な量を摂取する必要があります[#]Sauer, Julia, Joel B. Mason, and Sang-Woon Choi. 2009. “Too Much Folate – a Risk Factor for Cancer and Cardiovascular Disease?” Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care 12 (1): 30.

 

 

このように一概に葉酸といっても、機能性が全く異なります。葉酸が足りていない人が選ぶべき葉酸は、葉酸(folate)になりますが、残念ながら市販されている安価なサプリメントは葉酸(folic acid)であることがほとんど。意識して選ばない限り、葉酸(folic acid)を摂取し続けていることが十分に考えられます。
 

 

結局どうやって葉酸を摂取すれば良い?

検査などを受けた人で、自分がMTHFR遺伝子変異体を持っていることが分かっている場合、葉酸の代謝が適切に行われてない可能性が高いため、サプリメントなどで葉酸を摂取する必要があります。この際に、選ぶべきは葉酸(folate)のサプリメントが適切。葉酸(folic acid)のサプリメントを摂取しても、十分な量の葉酸が体に吸収されない可能性があるとともに、代謝できない分が蓄積される恐れもあるため、葉酸(folic acid)を選ぶのではかえって健康を害してしまう可能性も。ほとんどの人が自分のMTHFR 遺伝子の型が分からない現実の中で、サプリメントで葉酸の摂取を考えている人は、上のセクションで述べた理由から、葉酸(folate)のサプリメントを選択するようにすべきなのです。
 

 

まとめ~葉酸の摂取の仕方が鍵。多くの人が持っているMTHFR遺伝子変異体と健康との関係とは?~

私たちの健康を維持するために必要な葉酸。特に妊娠をしている女性は葉酸の補給は必要不可欠ですが、MTHFR遺伝子の型によっては、適切な量の葉酸がしっかり体で代謝・吸収されていない可能性があります。また、血中に蓄積された葉酸がさまざまな疾患を引き起こす可能性が指摘されているため、サプリメントで補給する際には、葉酸(folic acid)ではなく、葉酸(folate)を選ぶことが推奨されます。また、必要以上の葉酸の摂取も少々リスキー。結局のところ、MTHFR遺伝子の型を検査で知ることで自分の葉酸の代謝の状態がある程度分かるので、気になる人は是夫検査を受けてみてくださいね。
 

コメント

コメントを追加