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赤ちゃんからお年寄りまで、音楽が脳やストレスレベルに与える効果を科学的に検証
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赤ちゃんからお年寄りまで、音楽が脳やストレスレベルに与える効果を科学的に検証

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・脳のメカニズムやストレスレベルに好影響を与える音楽
・プレイヤーだけではなくリスナーにも効果が期待
・赤ちゃんやお年寄りまで幅広い年齢層にも効果が
・より良い効果が期待できる音楽とは?

 

以前、音を使って集中力を高め、睡眠の質を改善が可能となるバイノーラルビートという記事で、音がいかに人々のパフォーマンスに影響を与えるかということをお伝えしました。しかし、実際に聴いてみると、バイノーラルビートは、無機質で単調な音のため、普段から好んで選択して聴く音とは少し違います。

今回は、通勤や作業等の際に、普段何気なく聴いている音楽、また、実際に音楽を演奏することで、ただ単純に気分が高揚するだけではなく、脳のメカニズムにも大きな良い影響を与えるということを科学的な見解を通してお伝えします。

 

より健康的な脳を持つミュージシャン

ある研究[#]By Lorna Duckworth, Health Correspondent. 2002. “Musicians Found to Have ‘More Sensitive Brains.’” The Independent. June 17, 2002. http://www.independent.co.uk/news/science/musicians-found-to-have-more-s.... で、音楽を演奏する人は、しない人に比べて、音の情報を処理する聴覚野の灰白質が130%多く含まれていることが分かっています。また、優れた作業の記憶や認知の柔軟性[#]Berti, et al., 2006; Pallesen et al., "Cognitive Control in Auditory Working Memory Is Enhanced in Musicians," PLOS One, June 15, 2010 だけでなく、運動、聴覚、視覚領域[#]Gaser, Christian, and Gottfried Schlaug. 2003. “Brain Structures Differ between Musicians and Non-Musicians.” The Journal of Neuroscience: The Official Journal of the Society for Neuroscience 23 (27): 9240–45. において優れていることが分かっています。

また、神経学者でウェルネス研究所の理事長を務めているバリービットマンの研究で 、ドラムのような継続的な単純な行動によって、オンになっていたストレスレベルをDNAレベルでオフに切り替え、疲労の減少、不安、抗うつ、免疫機能の改善等が可能となり、また、演奏のみならず、音楽を制作することでもストレスが軽減をすることが分かっています[#]“Recreational music-making modulates the human stress response: A preliminary individualized gene expression strategy” n.d. Accessed January 8, 2020. https://www.researchgate.net/publication/8062381_Recreational_music-maki....

 

リスナーのパフォーマンスにも多大な影響を与える音楽

身体的、精神的ストレスを受けると、それを抑制するために分泌される糖質コルチコイド。参加者の年齢や、今までのコンサート経験の有無に関わらず、ライブコンサートに参加することで、その糖質コルチコイドが減少したという研究結果があります[#]Newman, Tim. 2016. “Live Music Shown to Reduce Stress Hormones.” Medical News Today. Medical News Today. April 12, 2016. https://www.medicalnewstoday.com/articles/308902.php. 。コンサートに参加するという普遍的な反応で、ストレスが軽減されるわけです。

また、逆に、音楽は、アドレナリンの前駆体である神経伝達物質のドーパミンを増加させます。例えば、音楽プレーヤーでランダムに曲を聴いている際に、お気に入りの曲が流れた際に、やる気スイッチであるドーパミンが分泌されます[#] By Lorna Duckworth, Health Correspondent. 2002. “Musicians Found to Have ‘More Sensitive Brains.’” The Independent. June 17, 2002. http://www.independent.co.uk/news/science/musicians-found-to-have-more-s.... 。大好きなチョコレートを食べた時、マラソンでのランナーズハイ、オーガズムを得た時なども同じような状態です。甘いチョコレートを食べるのであれば、音楽を聴いてドーパミンを上げた方が、より健康的ですよね。

では、お仕事や、作業の際に聴く音楽はパフォーマンスにどう影響を与えるのでしょうか?

作業中に音楽を聴くと気が散るという人もいるとは思いますが、音楽を流しながらの作業は、作業の精度を上げ、タスクをより効率的に行うという研究結果があります[#]pubmeddev, and Et al Angel LA. n.d. “Background Music and Cognitive Performance. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20865993.  [#]“[The effect of music listening on work performance].” n.d. Accessed January 8, 2020. https://graphics8.nytimes.com/packages/pdf/business/LESIUKarticle2005.pdf.  [#]“Music — an Aid to Productivity.” 1972. Applied Ergonomics 3 (4): 202–5. 。ソフトウェア開発者[#]“[Effects of Music on Cardiovascular Reactivity Among Surgeons].” n.d. Accessed January 8, 2020. https://graphics8.nytimes.com/packages/pdf/business/LESIUKarticle2005.pdf. や、外科医の手術中[#]Allen, Karen, and Jim Blascovich. 1994. “Effects of Music on Cardiovascular Reactivity Among Surgeons.” JAMA: The Journal of the American Medical Association 272 (11): 882–84. 、また、アスリートが試合前に視聴するアップビートな音楽なども、パフォーマンスの向上に貢献します[#]“[Alleviating Choking: The Sounds of Distraction].” n.d. Accessed January 8, 2020. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10413200902795091.

 

音楽に触れる時間をより多く子供たちに与えよう!

音楽の良い影響は、子供の頃から常に受けています。音楽の習い事や普段から音楽に触れている子供は、音楽的背景のない子供に比べて、言語、読書、数学などの科目及び運動能力でも優れる傾向にあることが分かっています[#]“MIT Press Journals.” n.d. MIT Press Journals. Accessed January 8, 2020. https://www.mitpressjournals.org/.  [#]Forgeard, Marie, Ellen Winner, Andrea Norton, and Gottfried Schlaug. 2008. “Practicing a Musical Instrument in Childhood Is Associated with Enhanced Verbal Ability and Nonverbal Reasoning.” PloS One 3 (10): e3566.  [#]pubmeddev, and D. Register. n.d. “The Effects of an Early Intervention Music Curriculum on Prereading/writing. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11570934.  [#]pubmeddev, and Schmithorst V J And. n.d. “The Effect of Musical Training on the Neural Correlates of Math Processing: A Functional Magnetic Resonance Imaging Study in Humans. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14700729.

音楽のレッスンを受ける事で、脳の可塑性や成長し変化過程にある脳の能力が促進され、たった30分の音楽のレッスンを受けるだけで、脳の左半球の血流が増加。少しのトレーニング時間だけでも大きな効果があります。また、若いうちから音楽のトレーニングを始めると、例え途中で音楽を辞めたとしても、後年でも脳への認知機能の低下を遅らせるといったデータも出ているだけでなく[#]Sébastien Paquette, Geneviève Mignault Goulet. 2014. “Lifetime Benefits of Musical Training.” Frontiers in Neuroscience 8. https://doi.org/10.3389/fnins.2014.00089. 、まだ、会話もできないような乳児と一緒にドラムの演奏や童話を歌ったりといった音楽のレッスンを行うだけでも、子供たちに幅広い知覚スキルを発達させるのに役立ちます[#]Brazier, Yvette. 2016. “Music Exposure Benefits Babies’ Brains.” Medical News Today. Medical News Today. April 26, 2016. https://www.medicalnewstoday.com/articles/309467.php.

音楽に早いうちから触れる事で、将来的にも認知機能等に少なからずとも良い影響を与えるようですが、音楽に年齢の限度はありません。高齢者に対しても音楽の恩恵はあります。

 

 

 

高齢者の認知症やアルツハイマーにも

高齢者にも音楽は恩恵を与えます。高齢者になると行動の範囲が段々と狭くなっていくわけですが、楽器を演奏したり音楽を聴いたりすることで、その他のレクリエーションと比べ記憶障害や認知機能低下から保護されることが分かっています[#]“[Benefits of Music Participation for Senior Citizens: A Review of the Literature].” n.d. Accessed January 8, 2020. http://cmer.arts.usf.edu/content/articlefiles/3122-MERI04pp.19-30.pdf. 。特に、過去に音楽を演奏していた等の音楽的背景を持つ高齢者が、認知テストではるかに高いスコアを獲得した研究結果があるように[#]Abrahan, Veronika Diaz, Favio Shifres, and Nadia Justel. 2019. “Cognitive Benefits From a Musical Activity in Older Adults.” Frontiers in Psychology 10. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00652. 、生涯にわたる音楽活動は、脳をより健康的に保つのに大きな貢献をと言えます。

また、専門的な音楽療法士による音楽療法が、認知症やアルツハイマー病の治療に役立つことが分かっています[#]Paddock, Catharine. 2011. “Music Therapy May Alleviate Depression.” Medical News Today. Medical News Today. August 3, 2011. https://www.medicalnewstoday.com/articles/232150.php. 。音楽療法は、主に感情的および精神生理学的な経路を経て作用します。身近な歌を歌ったり聴いたりすることで、気分や、コミニュケーション能力、自律性の改善を可能とし、一部の行動障害を軽減することができます[#]pubmeddev, and Et al Guetin S. n.d. “An Overview of the Use of Music Therapy in the Context of Alzheimer’s Disease: A Report of a French Expert Group. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24337333.

 

 

 

どのような音楽を選ぶ?

では、どのようなジャンルの音楽を選べば良いのでしょうか?

ある研究では、好きな音楽を聴くことは、好きではない音楽を聴くよりも、脳への血流と脳の接続性を高めるという事が分かっています。当たり前のようですが、集中力と生産性を向上させるのに最適な音楽は、まず、何よりも自分が楽しめる音楽を選ぶことが重要です。例えば、お子さんが聴く少しアップテンポの音楽に親が理解を示さないとしても、本人が心地よく楽しめているのであれば適切な音楽と言えるのです。と同様に、そのお子さんは親の音楽に理解を示さないでしょう。無理矢理好きでもない音楽を聴くことは得策ではありません。

また、特に、好みの音楽を選べないときは、歌がなく、少しテンポが速く中音量の川の流れのような自然の音というのは、より生産性を生む手助けとなります[#]RACHEL GILLETT, Business Insider. n.d. “The Best Music to Listen to For Optimal Productivity, According to Science.” ScienceAlert. Accessed January 8, 2020. https://www.sciencealert.com/the-best-music-to-listen-to-for-optimal-pro....

 

ここにアンビエントというジャンルで「Weightless」という曲があります。

 

 

この音楽を聴いたことでストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが低下し不安が65%軽減され、また、心拍数、血圧共に低下したという研究結果があります[#]Curtin, Melanie. 2017. “Neuroscience Says Listening to This Song Reduces Anxiety by Up to 65 Percent.” Inc.com. Inc. May 30, 2017. https://www.inc.com/melanie-curtin/neuroscience-says-listening-to-this-o....

しかし、目的によっては、聴くべきではない音楽もあります。例えば、歌詞付きの音楽の場合、試験の勉強中や新しい情報を取り入れる際に、気が散ってしまい能力の低下につながりますが[#]pubmeddev, and H. J. Trappe. n.d. “[Music and Health--What Kind of Music Is Helpful for Whom? What Music Not?]. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20013543. 、単純な繰り返し作業や日常的な作業の際は、効率が上がると言われています。また、心臓手術を受けた患者には重い音楽やテクノのような無機質な音楽は、命を脅かす不整脈にさえつながる可能性があります[#]pubmeddev, and H. J. Trappe. n.d. “[Music and Health--What Kind of Music Is Helpful for Whom? What Music Not?]. - PubMed - NCBI.” Accessed January 8, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20013543. 。また、ヘビーメタルのような暴力的な音楽が、リスナーの精神的健康に悪影響を与えるということが示唆されていますが、その種の音楽を強制ではなく好んで聴いている場合、怒りなどの感情の処理に役立ち[#]Sharman, Leah, and Genevieve A. Dingle. 2015. “Extreme Metal Music and Anger Processing.” Frontiers in Human Neuroscience 9. https://doi.org/10.3389/fnhum.2015.00272. 、ポジティブな感情を引き出します[#]“[Implicit violent imagery processing among fans and non-fans of music with violent themes].” n.d. Accessed January 8, 2020. https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.181580.

 

認知能力や気分の改善やコミュニケーション能力や生産性の向上など、人々は普段の生活から多くの面で音楽に支えられています。また、音楽を演奏し始めることに年齢の制限がありませんので、少しでも気になっている人がいたら、いまからでも遅くはありません。はじめてみてはいかがですか?今後の脳の活性にもきっと良い影響を与える事でしょう。また、今まで音楽を聴くことすらなかった人も、自分の好きな音を薄くイヤホンで聴くだけでも、脳が活発になることが期待できます。さまざまな恩恵が期待出来る音楽に、もう一歩近寄ってみませんか?