日常生活でできる認知症予防。
加齢や生活習慣、遺伝[#]Loy, C. T., P. R. Schofield, A. M. Turner, and J. B. Kwok. 2014. “Genetics of Dementia.” Lancet 383 (9919). https://doi.org/10.1016/S0140-6736(13)60630-3. などさまざまな要因で発症する認知症。完全に発症を防ぐことは難しいと言われていますが、発症の遅延やリスクの軽減、予防のために以下のようなことを実践すると効果があると言われています。
・有酸素運動や筋力トレーニング
一般的に言われていているのが、散歩などの歩行運動。しかし、計画性もなくただ歩くだけではあまり効果が期待できないと言われています。歩行速度が遅い人よりも速い人の方が認知症を発症するリスクが低くなるという研究結果や[#]Hackett, R. A., H. Davies-Kershaw, D. Cadar, M. Orrell, and A. Steptoe. 2018. “Walking Speed, Cognitive Function, and Dementia Risk in the English Longitudinal Study of Ageing.” Journal of the American Geriatrics Society 66 (9). https://doi.org/10.1111/jgs.15312. 、有酸素運動が脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官である海馬の凝縮を遅らせるという研究結果もあるため[#]“Exercise Training in Amnestic Mild Cognitive Impairment: A One-Year Randomized Controlled Trial” n.d. Accessed December 21, 2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31403944/. 、ただ何となく体を動かすのではなく、認知症予防の運動として有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れるのも1つの方法。
ある研究では、1日60分の有酸素運動と筋力トレーニングの総合的な運動プログラムを週に3回、4年間行った研究で認知症のリスクが軽減される可能性の評価が高いことが示されています[#]Iuliano, Enzo, Alessandra di Cagno, Adriana Cristofano, Antonella Angiolillo, Rita D’Aversa, Santina Ciccotelli, Graziamaria Corbi, et al. 2019. “Physical Exercise for Prevention of Dementia (EPD) Study: Background, Design and Methods.” BMC Public Health 19. https://doi.org/10.1186/s12889-019-7027-3. 。早歩きやエアロビクスやダンスなどの有酸素運動、また簡単な腕立て伏せや腹筋運動などの筋力トレーニングを日常的に行うことで筋力や体力の維持だけでなく、認知能力の保護、持続にも役立ちます。当然、身体能力が年齢によって異なりますので、1日60分はあくまでも指標として無理のない程度に出来る範囲で実践してみると良いでしょう。
・レクリエーション要素を含んだゴルフ等のスポーツ
「国立長寿医療研究センター」の研究結果によると、歩行、コミュニケーション、思考能力、また自然に触れ合うといった多面的な要素から構成されるゴルフも認知症予防として潜在的な有用性は高いことが示唆されています[#]“[長寿医療研究開発費 平成28年度 総括研究報告].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/28/28xx-29.pdf. 。テニスや高齢者の間で頻繁に行われるスポーツでもあるゲートボールなどの認知症予防効果の研究結果は一貫していませんが、ミニテニスで認知症が改善傾向を示した例もあるため、体が動く範囲で積極的にこういったスポーツに取り組むことを検討してみてください。
・趣味などの余暇活動
定期的な読書やパズルゲーム、楽器の演奏、園芸などのいわゆる趣味活動を行うことは認知症の発症率の軽減につながると言われています[#]“[Leisure Activities and the Risk of Dementia in the Elderly].” n.d. Accessed December 21, 2020. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa022252. 。 趣味に興じることは脳のトレーニングにもなり、また、他者とのコミュニケーションの機会が増えます。ゴルフ同様、脳と体を動かすような趣味を積極的に行いましょう。
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