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料理に使う食用油、健康のためにはどれがいいの?代表的な5つの油を徹底比較!

料理に使う食用油、健康のためにはどれがいいの?代表的な5つの油を徹底比較!

geefee ポイント geefee ポイント

・料理に適した良い油、悪い油を解説
・酸化に強い油を選ぶ
・発煙点の高い油を選ぶ
・オメガ3とオメガ6のバランスを考える

 

調理用油は料理の必需品。「コレステロールゼロ」「ビタミンたっぷりヘルシーオイル」「血圧が気になる方に」など、さまざまな商品がスーパーの陳列棚に並んでいます。漠然と、使用する油の種類は健康にとって重要だということは分かっていても、その種類の多さに直面すると、どれを購入して良いのか分からなくなりますよね。ただ何となく健康そうな表示の油を購入しているだけという人も多いのでは?

油はその種類によって光や酸素や加熱で劣化しやすいものもあり、また、劣化していなくても摂りすぎると健康によくないものもあります。そのため、油の選択は毎日のパフォーマンスや体調にも大きな影響を与えます。健康に良い油の選びかたを学んでみませんか? 今回は、日本で調理用の油として一般によく使用されているものを中心に取り上げ、その化学的成分や性質を分析し、5つ星で評価していきます。

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料理に適した油の3つのポイント

料理用の油を選ぶ際には、以下の3つのポイントを考慮する必要があります。

 

1.酸化に強い油を選ぶ

飽和脂肪酸は、常温でも固体のものが多く、酸化しにくい性質があります。動物性脂肪は飽和脂肪酸を多く含み、植物性ではココナッツオイルが飽和脂肪酸を多く含む油の代表です。

一方、不飽和脂肪酸は、常温時で液体。主に植物性で、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の2種類に分類できます。どちらも飽和脂肪酸と比べると酸化しやすいですが、特に多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいのです。一般に家庭で使用されている食用油の多くは、実はこの多価不飽和脂肪酸。酸化した油は健康の大敵ですので、酸化に強いものを選ぶということはとっても大切なポイントなのです。

特にトランス脂肪酸は避ける!
不飽和脂肪酸から半固体状または固体状の油脂を製造する際や、不飽和脂肪酸を多く含む植物油を精製する際に発生し、多くの加工食品にも含まれているのがこのトランス脂肪酸。不飽和脂肪酸の一種です。心臓病[#]Wang DD, Li Y, Chiuve SE, Stampfer MJ, Manson JE, Rimm EB, et al. Specific Dietary Fats in Relation to Total and Cause-Specific Mortality. JAMA Intern Med. NIH Public Access; 2016;176: 1134. や炎症[#]Mozaffarian D, Pischon T, Hankinson SE, Rifai N, Joshipura K, Willett WC, et al. Dietary intake of trans fatty acids and systemic inflammation in women. Am J Clin Nutr. NIH Public Access; 2004;79: 606. のリスクなどが懸念されており、米国では食品への添加の段階的規制が決定しています。

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2.発煙点の高い油を選ぶ

熱された油はある一定の温度に達すると燃え始めます。この燃え始めの状態が発煙点であり、熱による油の劣化が一気に加速するタイミングでもあります。発煙したときの匂いは、油中のグリセロールがアクロレインに変わり、それが空気中に飛ぶことによるものです[#]Pubchem. Acrolein [Internet]. [cited 21 Feb 2019]. Available: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/7847 。中国人女性を対象にした研究では、喫煙歴のない肺がん患者が、高温の油を使った調理によりアクロレインなどを含む煙を吸入していたと指摘されています[#]Yu ITS, Chiu Y-L, Au JSK, Wong T-W, Tang J-L. Dose-Response Relationship between Cooking Fumes Exposures and Lung Cancer among Chinese Nonsmoking Women. Cancer Res. 2006;66: 4961–4967.

また、発煙点において油の酸化が加速します。特に高温での調理をする場合には、この発煙点は油選びの重要なポイントになります。一方、調理時の温度が発煙点に近づかないように管理できる場合や、geefeeで推奨しているような低温調理を採用している場合には、あまり気にしなくてもよい性質とも言えます。

【関連記事】「「シリコンバレー式」調理法マップ~どう調理する?~

 

3.オメガ3とオメガ6のバランスを考える

多価不飽和脂肪酸であるオメガ3とオメガ6脂肪酸。この2つは体内で合成することができない必須脂肪酸で、食物を通して摂取するしか方法がありません。しかし、この2つのバランスがとっても大事。オメガ3とオメガ6脂肪酸の理想的な比率は、1:1~1:5と考えられています[#]Simopoulos AP. The importance of the ratio of omega-6/omega-3 essential fatty acids. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12442909

お米などの穀物に含まれる多価不飽和脂肪酸のほとんどはオメガ6脂肪酸が主体で、一般に食用油として使われている植物油の多くも、オメガ6脂肪酸主体です。そのため、魚などのオメガ3を多く含む食材を普段食べていない人は、オメガ6脂肪酸がオメガ3脂肪酸に比較し過剰摂取の状態に陥りやすいのです。

【関連記事】「欠乏すると心と身体に大ダメージ!オメガ3の重要性と摂取法

 

Butter Oil

 

代表的な5つの油を検証!

スーパーなどでよく見かける代表的な食用油を5つピックアップして、それぞれを上記の3つのポイントをベースに分析・評価してみました。

※+をクリックすると詳細が閲覧できます。

 

ゴマ油

ゴマ油には独特の風味があり、日本では高級で健康的なイメージもあるようで、人気のある油です。中華料理などの調味料としても使用されますが、より幅広く調理用に使っている人も多いでしょう。

ゴマ油の脂肪酸比率[#]SELF Nutrition Data | Food Facts, Information & Calorie Calculator [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: https://nutritiondata.self.com/



多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、そのうちオメガ6脂肪酸がオメガ3脂肪酸の量をはるかに凌駕しているので、できれば使用したくない油の一つ。また、香ばしい香りのゴマ油は製造過程でゴマを煎ってから絞るため、開封前からすでにある程度の酸化が進行しています。

【関連記事】「geefee LAB検査シリーズ2 油の酸化テスト~ゴマ油編~」

その他、コーン油、ひまわり油、大豆油などもこの多価不飽和脂肪酸であるオメガ6脂肪酸を多く含む油の部類で、ゴマ油同様あまりオススメできません。サラダ油など、巷にあふれる食用油の過半がこの部類と言えます。

発煙点[#]Complete Guide to Cooking Oils & Smoke Points. In: ANOVA [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: http://anovaculinary.com/wp-content/uploads/2017/02/cooking-oils-smoke-points.pdf  
ゴマ油  175℃
コーン油 232℃
大豆油  232℃

評価 ゴマ油  ★★

バター・ギー

バターをゆっくり煮て、水分と乳タンパク質を取り除いたのがギー。したがって、両者とも脂肪分の内容はとっても似ています。

バター・ギーの脂肪酸比率[#]SELF Nutrition Data | Food Facts, Information & Calorie Calculator [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: https://nutritiondata.self.com/



酸化に対して耐性のある飽和脂肪を多く含むバターやギーは、比較的高温での調理でも使用可能です。特に、ギーは、熱で焦げやすい乳タンパク質を含んでおらず、発煙点も高いので、バターよりも調理に適しています。酸化しやすい多価不飽和脂肪酸の含有量がとっても少ないのも特徴です。なお、どうせ使うならより健康に良いと思われるグラスフェッド(牧草飼育)のものを。グラスフェッドギーは理想の調理油と言えます!

【関連記事】「意外と知られていない!グラスフェッドバター・グラスフェッドギーの魅力とは?」

発煙点[#]Complete Guide to Cooking Oils & Smoke Points. In: ANOVA [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: http://anovaculinary.com/wp-content/uploads/2017/02/cooking-oils-smoke-points.pdf
バター 176℃
ギー  232℃

評価
バター ★★★★
ギー  ★★★★★

ココナッツオイル

ココヤシの実から採れる油、ココナッツオイル。近年人気が急上昇しています。その理由は、中鎖脂肪酸が健康に良いということが分かってきたから。ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含み、体脂肪として蓄積されにくい油です。

ココナッツオイルの脂肪酸比率



92%以上の飽和脂肪酸を含むココナッツオイルは、酸化に強くてとても安定した油です[#]De Alzaa F, Guillaume C, Ravetti L. Evaluation of Chemical and Physical Changes in Different Commercial Oils during Heating. Acta Scientific Nutritional Health. 2018;2: 2–11. 。また、ココナッツオイルをベースに中鎖脂肪酸を抽出したのがMCTオイル。代謝されやすく、効率よくエネルギーとして消費されやすいので、低糖質ダイエットの強い味方です。

ココナッツオイルもMCTオイルも酸化に強いのが特徴ですが、発煙点は低いので、高温料理は避け、弱火での調理、あるいは調理済みの料理の上から振りかけるといった具合に使用しましょう。

【関連記事】「ココナッツオイルを越えると話題のMCTオイルの5つの効能とは?」

発煙点
ココナッツオイル 176℃

評価
ココナッツオイル ★★★(低温調理や非加熱の場合は ★★★★★)

エキストラバージンオリーブオイル

サラダのドレッシングとして使用したり、イタリア料理などには欠かせないオリーブオイル。これの初回低温絞りの高級品をエキストラバージンと言います。健康的な油というイメージがありますが、果たして実際はどうなのでしょう?

エキストラバージンオリーブオイル(EVO)の脂肪酸比率(よく似た性質のアボカドオイルと比較してみました)[#]SELF Nutrition Data | Food Facts, Information & Calorie Calculator [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: https://nutritiondata.self.com/



一価不飽和脂肪酸が主体であることが分かります。したがって、酸化に対しては飽和脂肪酸に次いで強い性質です。とはいえ、発煙点は高くなく、また酸化の観点からも、やはり高温での調理にはギーなどの飽和脂肪酸主体の油を使いたいですね。

似たような性質の食用油としては、マカデミアナッツオイル、胡桃オイル、菜種油などがあります。その中でも、マカデミアナッツオイルは、一価不飽和脂肪酸の比率が78.6%と非常に高く、酸化安定テストでは、グレープシード、米ぬか、アボカドなどの油よりも優れているという結果も出ています[#]Kochhar SP, Henry CJK. Oxidative stability and shelf-life evaluation of selected culinary oils. Int J Food Sci Nutr. 2009;60 Suppl 7: 289–296. 。なお、これらのどの油にせよ、値段は割高ですが、可能な限り冷間圧搾されたものを選びましょう。安価なものは揮発性溶剤などを使用した工業製法のものが多く、食用としては選びたくありません。

発煙点[#]Complete Guide to Cooking Oils & Smoke Points. In: ANOVA [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: http://anovaculinary.com/wp-content/uploads/2017/02/cooking-oils-smoke-points.pdf
エキストラバージンオリーブオイル 160℃
マカデミア            210℃
パームオイル           232℃

評価
エキストラバージンオリーブオイル ★★★★(低温調理や非加熱の場合は ★★★★★)

マーガリン

水素と化合させた植物油、水、塩、乳化剤などで作られるマーガリンは、バターの代用品として使用されてきました。

しかし、化学的に見るとバターとはまるで違います。特に注意したいのが、マーガリンはトランス脂肪酸の含有量が高いということ。トランス脂肪酸の害が発覚するまではバターよりも健康に良いとされていたので、皮肉なものですね。トランス脂肪酸を減らすエステル交換技術により改善はされているようですが、エステル交換して製造される油脂自体が、空腹時血糖値を上昇させる可能性があることも懸念され、海外でも議論がなされています[#]Sundram K, Karupaiah T, Hayes KC. Stearic acid-rich interesterified fat and trans-rich fat raise the LDL/HDL ratio and plasma glucose relative to palm olein in humans. Nutr Metab . 2007;4: 3.  [#]Mills CE, Hall WL, Berry SEE. What are interesterified fats and should we be worried about them in our diet? Nutr Bull. Wiley-Blackwell; 2017;42: 153.

マーガリンの脂肪酸比率



オメガ6と飽和脂肪の含有量が多めのマーガリンはそもそもの使用されるベースとなる油の種類によって成分値が変わってきます。どうしてもマーガリンを使用しなければならない場合には、ひまわり油、コーン油、大豆油などのオメガ6が多い植物油で製造されたマーガリンは避け、トランス脂肪酸フリーの良質の物を選ぶようにするのがよいのでしょうが、いずれにせよ発煙点も低く調理には適していません。バター・ギーというとても良い選択枝がある中で、あえてマーガリンを選択する意味はないと言えましょう。これと化学的によく似た「ショートニング」も焼き菓子などのレシピの材料としてよく登場しますが、同様の理由で避けるべきです(代わりにバターを使いましょう)。

発煙点
マーガリン 160℃

評価
マーガリン (星なし)

 

皆さんが普段使用している油はいかがだったでしょうか? 高温調理をするのであればギーの一人勝ち。低温調理であればココナッツオイルやバター、オリーブオイル、アボカドオイルなどの選択枝があります。一方、ゴマ油、コーン油、大豆油などの植物油とマーガリンやショートニングは極力避けたいところ。

 

最後に、脂肪酸の種類と油を表にまとめてみました。ご参考に!

 

 

 

 

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