調理用油は料理の必需品。「コレステロールゼロ」「ビタミンたっぷりヘルシーオイル」「血圧が気になる方に」など、さまざまな商品がスーパーの陳列棚に並んでいます。漠然と、使用する油の種類は健康にとって重要だということは分かっていても、その種類の多さに直面すると、どれを購入して良いのか分からなくなりますよね。ただ何となく健康そうな表示の油を購入しているだけという人も多いのでは?
油はその種類によって光や酸素や加熱で劣化しやすいものもあり、また、劣化していなくても摂りすぎると健康によくないものもあります。そのため、油の選択は毎日のパフォーマンスや体調にも大きな影響を与えます。健康に良い油の選びかたを学んでみませんか? 今回は、日本で調理用の油として一般によく使用されているものを中心に取り上げ、その化学的成分や性質を分析し、5つ星で評価していきます。
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料理に適した油の3つのポイント
料理用の油を選ぶ際には、以下の3つのポイントを考慮する必要があります。
1.酸化に強い油を選ぶ
飽和脂肪酸は、常温でも固体のものが多く、酸化しにくい性質があります。動物性脂肪は飽和脂肪酸を多く含み、植物性ではココナッツオイルが飽和脂肪酸を多く含む油の代表です。
一方、不飽和脂肪酸は、常温時で液体。主に植物性で、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の2種類に分類できます。どちらも飽和脂肪酸と比べると酸化しやすいですが、特に多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいのです。一般に家庭で使用されている食用油の多くは、実はこの多価不飽和脂肪酸。酸化した油は健康の大敵ですので、酸化に強いものを選ぶということはとっても大切なポイントなのです。
特にトランス脂肪酸は避ける!
不飽和脂肪酸から半固体状または固体状の油脂を製造する際や、不飽和脂肪酸を多く含む植物油を精製する際に発生し、多くの加工食品にも含まれているのがこのトランス脂肪酸。不飽和脂肪酸の一種です。心臓病[#]Wang DD, Li Y, Chiuve SE, Stampfer MJ, Manson JE, Rimm EB, et al. Specific Dietary Fats in Relation to Total and Cause-Specific Mortality. JAMA Intern Med. NIH Public Access; 2016;176: 1134. や炎症[#]Mozaffarian D, Pischon T, Hankinson SE, Rifai N, Joshipura K, Willett WC, et al. Dietary intake of trans fatty acids and systemic inflammation in women. Am J Clin Nutr. NIH Public Access; 2004;79: 606. のリスクなどが懸念されており、米国では食品への添加の段階的規制が決定しています。
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2.発煙点の高い油を選ぶ
熱された油はある一定の温度に達すると燃え始めます。この燃え始めの状態が発煙点であり、熱による油の劣化が一気に加速するタイミングでもあります。発煙したときの匂いは、油中のグリセロールがアクロレインに変わり、それが空気中に飛ぶことによるものです[#]Pubchem. Acrolein [Internet]. [cited 21 Feb 2019]. Available: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/7847 。中国人女性を対象にした研究では、喫煙歴のない肺がん患者が、高温の油を使った調理によりアクロレインなどを含む煙を吸入していたと指摘されています[#]Yu ITS, Chiu Y-L, Au JSK, Wong T-W, Tang J-L. Dose-Response Relationship between Cooking Fumes Exposures and Lung Cancer among Chinese Nonsmoking Women. Cancer Res. 2006;66: 4961–4967. 。
また、発煙点において油の酸化が加速します。特に高温での調理をする場合には、この発煙点は油選びの重要なポイントになります。一方、調理時の温度が発煙点に近づかないように管理できる場合や、geefeeで推奨しているような低温調理を採用している場合には、あまり気にしなくてもよい性質とも言えます。
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3.オメガ3とオメガ6のバランスを考える
多価不飽和脂肪酸であるオメガ3とオメガ6脂肪酸。この2つは体内で合成することができない必須脂肪酸で、食物を通して摂取するしか方法がありません。しかし、この2つのバランスがとっても大事。オメガ3とオメガ6脂肪酸の理想的な比率は、1:1~1:5と考えられています[#]Simopoulos AP. The importance of the ratio of omega-6/omega-3 essential fatty acids. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 23 Feb 2019]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12442909 。
お米などの穀物に含まれる多価不飽和脂肪酸のほとんどはオメガ6脂肪酸が主体で、一般に食用油として使われている植物油の多くも、オメガ6脂肪酸主体です。そのため、魚などのオメガ3を多く含む食材を普段食べていない人は、オメガ6脂肪酸がオメガ3脂肪酸に比較し過剰摂取の状態に陥りやすいのです。
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代表的な5つの油を検証!
スーパーなどでよく見かける代表的な食用油を5つピックアップして、それぞれを上記の3つのポイントをベースに分析・評価してみました。
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