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健康効果だけじゃない。環境にも配慮したスペインのサステナブルなプロジェクト「LIFE OLIVE ALIVE」のオリーブオイル。
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健康効果だけじゃない。環境にも配慮したスペインのサステナブルなプロジェクト「LIFE OLIVE ALIVE」のオリーブオイル。

 

オリーブはさまざまな健康効果が期待できる食材ですが[関連記事:オリーブの隠された力で身体の中から美しく]、一価不飽和脂肪酸のオリーブオイルは多くの調理油の中でも酸化しにくく体にも良いため、geefeeがおススメする油の1つです[関連記事:料理に使う食用油、健康のためにはどれがいいの?代表的な5つの油を徹底比較!]。このように体に優しいオリーブオイルですが、世界1位のオリーブ生産国であるスペインで立ち上げられた「LIFE OLIVE ALIVE」というプロジェクトによって、環境にも優しいサステナブルなオリーブ栽培への取り組みがなされています。今回は、生産過程が不明瞭な食品産業が多い中、プロジェクトを通してオリーブ栽培のサステナビリティ(持続可能性)を消費者に届ける「LIFE OLIVE ALIVE」についての情報を、オリーブオイルの健康効果についてのおさらいとともにお伝えします。

 

ヨーロッパのオリーブ栽培の環境問題とは?

500万ヘクタールあるヨーロッパ全体のオリーブ畑のうち、その半分以上が実はスペインに所在します。20半世紀後半、オリーブの木は、世界の他の主要な作物と同様に、生産効率が最優先される生産モデルが採られ、殺虫剤や除草剤が多く使用されるようになりました。これらの慣行は、環境に優しくなく、生物多様性を脅かしていました。幸いなことに、このような集約的な耕法はもはや過去のものとなりつつまります。欧州連合では、農家がより多くの持続可能な作物を作れるようにするために、何十年にもわたって取り組んできました。特に15年前には、ヨーロッパでは植物保護のためにより厳しい政策が採用され、何百種類もの化学薬品の使用が禁止されるようになりました。その結果、欧州での作物の栽培はより環境に優しいものになったのです。

 

オリーブ栽培をサステナビリティに取り組むプロジェクト「LIFE OLIVE ALIVE」

「LIFE OLIVE ALIVE」は、欧州委員会と共同で生物多様性を保全しながらオリーブ栽培の利益率向上の推進を目指すプロジェクトです。オリーブ農家が環境問題に取り組みつつ、経済的な収益性を効果的に持続させるためのサステナブルなオリーブオイルの生産や販売のサポートをし、その規格に沿った生産者に認証を与えるプロジェクトです。このプロジェクトでは、以下のような取り組みが行われています。

 

  • 土着の低木や草の種の植え付け
    沿道に植生を行うことでオリーブ畑の境界線をつくり動生物を呼び戻す役割を果たします。
     
  • オリーブ畑を草でカバー
    草のカバーの維持は、哺乳類、爬虫類、両生類などの動物の生息、また、土壌中に含まれる種子の自然植生等において生物多様性の維持に重要な役割を果たします。
     
  • ため池や噴水などの建設
    さまざまな種の動生物のための給水地は、オリーブ畑の生態系において重要な役割を果たします。両生類の繁殖を改善するための池や、鳥や哺乳類のための水飲み場を設置しています。
     
  • 巣箱の設置
    巣箱もまた生物の繁殖の促進に大きな役割を果たします。昆虫の巣箱、コウモリのシェルター、フクロウの巣箱、スズメの巣箱などを設置しています。

 

 

スペインのオリーブ畑の生態系の現状

2018年のデータによると、スペインのオリーブ産業では、250万ヘクタールのオリーブ畑中20万ヘクタールのオリーブ畑で有機栽培がされています。また、イベリア半島で確認されている全生物種の4分の1に当たる、119科に属する165種の鳥類や58種のアリ、100種以上の蜂、549種の草本植物、137種の大本植物(アンダルシアの維管束植物相の17%、イベリアの維管束植物相の7%)が、スペインのアンダルシア州にある40のオリーブ畑を対象とした調査で特定されています。これは、オリーブ畑がいかに生態系にとって重要な要素であるかを示しています。

 

 

オリーブオイルが体にやさしい理由。

スペインでの環境にやさしい生産活動についてハイライトしましたが、ここでオリーブオイルの健康効果についておさらいしましょう。

食用油と言えば、一般に家庭で使用されているのがゴマ油や紅花油などの多価不飽和脂肪酸主体の植物油です。このタイプの油は熱や光や空気にさらされると大変酸化しやすく、また一般に現代人が摂取しすぎていると言われていて体の炎症を助長するOmega6の比率が高いため、健康的な油とは言えません。一価不飽和脂肪酸のであるオリーブオイルはこれらに比較すると格段に酸化に強く、積極的に摂取したい油の1つです。さらに、ビタミンEとビタミンKが豊富に含まれていたり、エキストラバージンオリーブオイルに含まれる天然有機化合物のオレオカンタールは、非ステロイド系消炎鎮痛剤の1種で関節炎、生理痛および発熱の症状を緩和することが研究で示されています[#]Lucas, L., A. Russell, and R. Keast. 2011. “Molecular Mechanisms of Inflammation. Anti-Inflammatory Benefits of Virgin Olive Oil and the Phenolic Compound Oleocanthal.” Current Pharmaceutical Design 17 (8). https://doi.org/10.2174/138161211795428911. 。また、血中コレストロールを酸化から保護し、心臓病のリスクを軽減[#]Beauchamp, G. K., R. S. Keast, D. Morel, J. Lin, J. Pika, Q. Han, C. H. Lee, A. B. Smith, and P. A. Breslin. 2005. “Phytochemistry: Ibuprofen-like Activity in Extra-Virgin Olive Oil.” Nature 437 (7055). https://doi.org/10.1038/437045a.  [#]“[Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts].” n.d. Accessed August 12, 2020. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800389. 、減量の促進等の効果[#]Coni, E., R. Di Benedetto, M. Di Pasquale, R. Masella, D. Modesti, R. Mattei, and E. A. Carlini. 2000. “Protective Effect of Oleuropein, an Olive Oil Biophenol, on Low Density Lipoprotein Oxidizability in Rabbits.” Lipids 35 (1). https://doi.org/10.1007/s11745-000-0493-2. もあると言われています。

 

 

特にオリーブオイルはある程度の高温にも劣化せずに耐えられるので、料理に適しています(ただし、180度を超えないようにしましょう)。購入の際のコツとして、より遮光性の高い、濃い色をした瓶や缶に入ったものがより品質にこだわった生産者の製品と見て良いでしょう。
 

 

まとめ~体に良くて環境的にサステナブルなオリーブオイル
健康効果も期待できるオリーブオイルの世界第1位生産国であるスペインでは、サステナビリティにも配慮したオリーブ作りが推進されています。SDGs(持続可能な開発目標)が日本でも加速化する中、消費者にとっても安心して購入することができる「LIFE OLIVE ALIVE」のような製品づくりは食品産業の今後の1つのモデルになることでしょう。

 

参考資料:The Olive Oil World Tour (https://oliveoilworldtour.jp/) and LIFE OLIVE ALIVE(https://olivaresvivos.com/en/olive-alive)

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