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カルシウムだけじゃない。骨密度を維持するために必要なこと。
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カルシウムだけじゃない。骨密度を維持するために必要なこと。

geefee ポイント geefee ポイント

・加齢に加えて骨密度が低下するさまざまな要因
・カルシウム以外で骨密度に必要な栄養素
・カルシウムを阻害するリンやシュウ酸
・糖質制限やカフェインと骨密度の関連性とは?
・骨密度の維持に効果的な筋肉トレーニングや簡単な運動

 

骨を形成するカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が骨にどれくらい含まれているかの指標である骨密度。この骨密度が低下すると高齢者だけではなく若い人でも発症する可能性のある骨粗鬆症の原因になりえます。高齢者の場合、この骨粗鬆症が死に至る疾患である骨卒中を引き起こすことも。この骨密度を維持するために必要なミネラルの1つがカルシウムですが、カルシウムさえ摂取していれば骨の健康が維持されるといった単純な話ではありません。今回は、この骨密度をいかに維持、増加させ丈夫な骨をつくるかをお伝えします。

 

加齢に加えて骨密度が低下する要因とは?

カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分で構成されている骨の単位面積当たりのミネラル量が骨密度です。骨は骨全体の約60%のミネラル成分と約40%のコラーゲン繊維で形成されています[#]“A Paradigm Shift for Bone Quality in Dentistry: A Literature Review.” 2017. Journal of Prosthodontic Research 61 (4): 353–62. 。加齢によって減少する骨密度ですが、一般的に女性の場合は20歳が骨密度のピーク。それ以降徐々に減少していきますが、エストロゲン分泌が激減する閉経前後に減少が加速します[#]“骨密度.” n.d. Accessed April 19, 2021. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-02.... 。女性が骨粗鬆症になりやすいと言われているのはこのため。性ホルモンの量が骨密度に影響を与えるため、ホルモン量の低下が緩やかな男性は、50歳前後までは骨密度を一定量維持することができると言われています。しかし、睡眠不足[#]“Shortened Sleep Is Linked with Low Bone Mineral Density, Osteoporosis.” 2019. November 6, 2019. https://www.news-medical.net/news/20191106/Shortened-sleep-is-linked-wit.... や運動不足、喫煙や飲酒[#]Jang, Hae-Dong, Jae-Young Hong, Kyungdo Han, Jae Chul Lee, Byung-Joon Shin, Sung-Woo Choi, Seung-Woo Suh, Jae-Hyuk Yang, Si-Young Park, and Chungwon Bang. 2017. “Relationship between Bone Mineral Density and Alcohol Intake: A Nationwide Health Survey Analysis of Postmenopausal Women.” PloS One 12 (6). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0180132. に加え、テストステロンの減少[#]Smith, Andrew. n.d. “Testosterone Levels and Bone Density Show Strong Connection.” Accessed April 19, 2021. https://www.hcplive.com/view/testosterone-levels-and-bone-density-show-s.... (特に男性において)などが要因で骨密度が減少すると考えられています。

また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル摂取量の不足ももちろん要因となりますが、カルシウムだけを摂取していれば良いというわけではありません。

 


 

 

カルシウムだけじゃない。骨密度に必要な栄養素。

みなさんもご存じの通りカルシウムは骨密度に必要な栄養素ですが、むやみやたらにカルシウムだけを摂取していれば良いというわけではありません。カルシウム以外でも以下のような栄養素が骨密度の維持に必要です。

 

ビタミンD

カルシウムの吸収を助ける働きを持つビタミンD[#]Sadat-Ali, Mir, Abdulmohsen H. Al Elq, Haifa A. Al-Turki, Fathma A. Al-Mulhim, and Amein K. Al-Ali. 2011. “Influence of Vitamin D Levels on Bone Mineral Density and Osteoporosis.” Annals of Saudi Medicine 31 (6): 602. 。骨密度を維持するためにカルシウムと同じくらい大切な栄養素ですが、日本人はこのビタミンDが不足しがち。食事であれば青魚や干しシイタケなどに多く含まれていますが、日光浴もビタミンDの生成を促進します。特に家に籠りがちな人は積極的に外で太陽の光を浴びてくださいね。ただし、過ぎたるは及ばざるが如し。適度な日光浴量について学ぶにはこの記事をご覧ください。

【関連記事】「日本人が不足しがちなビタミンDと日光との気になる関係」

 

ビタミンK

カルシウムを吸収し骨への沈着を助けるビタミンKも必要な栄養素ですが、藻類、野菜類、豆類、肉類、乳類、卵類など非常に多くの食品に含まれているため、余程の食事制限をしない限り不足することは稀と言われています。

 

マグネシウム

ビタミンDと同様に日本人が不足しがちなマグネシウムも骨密度の維持に大切な役割を持つミネラルです。骨の健康にも大きな関りを持つミトコンドリアの活性化に必要不可欠ですので、適切なマグネシウムの量を摂取するように心掛けましょう。食事だけではなかなか難しいことが多いので、サプリの利用がおススメです。

【関連記事】「あなたも不足しているかもしれない?マグネシウムの重要性と上手な摂取法

 

 

オメガ3

オメガ3も骨密度の維持に有意に働くという研究結果が多くあります[#]Mangano, K. M., J. E. Kerstetter, A. M. Kenny, K. L. Insogna, and S. J. Walsh. 2014. “An Investigation of the Association between Omega 3 FA and Bone Mineral Density among Older Adults: Results from the National Health and Nutrition Examination Survey Years 2005–2008.” Osteoporosis International: A Journal Established as Result of Cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA 25 (3). https://doi.org/10.1007/s00198-013-2501-8.  [#]Lavado-García, Jesus, Raul Roncero-Martin, Jose M. Moran, Maria Pedrera-Canal, Ignacio Aliaga, Olga Leal-Hernandez, Sergio Rico-Martin, and Maria L. Canal-Macias. 2018. “Long-Chain Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acid Dietary Intake Is Positively Associated with Bone Mineral Density in Normal and Osteopenic Spanish Women.” PloS One 13 (1). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0190539. 。さまざまな健康効果が期待できるオメガ3を適切に摂取するようにしましょう。

【関連記事】「欠乏すると心と身体に大ダメージ!オメガ3の重要性と摂取法
 

 

カルシウムを阻害するリンやシュウ酸

主にカルシウムやマグネシウムと結合して、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとして骨中に存在するリンですが、体内にリンが必要以上に蓄積されるとカルシウムの吸収を阻害し、リン酸カルシウムとして体外に排出されてしまいます。このリンは、食品や加工食品などの添加物に多く含まれているため過剰摂取には要注意。また、その逆で、カルシウムの過剰摂取もリンとマグネシウムの摂取を阻害することになりかねないので、サプリメントなどで必要以上のカルシウムを摂取している人は注意が必要です[#]“カルシウム解説” n.d. Accessed April 19, 2021. https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail660.html. 。先日掲載したCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)は、アンチエイジング効果に加えて、カルシウムとリンのバランスを正常に保つ作用があると言われていますので、参考にしてみてください。

【関連記事】「老化対策として最近欧米で話題のCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)。そのアンチエイジング効果とは?

 

また、カリフラワーやブロッコリーなどのアブラナ科野菜やほうれん草などにも含まれている反栄養素のシュウ酸がカルシウムと結合することで体内でカルシウムの吸収を阻害すると言われています[#]竜平小川, 厚史真鍋, 貞男中山, and 勝司小口. 1994. “カルシウムとリンの吸収ならびに実験的骨粗鬆症に対するシュウ酸, 酒石酸の影響.” 昭和医学会雑誌 54 (2): 118–27. 。加熱調理や12時間程度水に浸すことでシュウ酸を減らすことができますので、詳しくは以前の記事をご参考に。

【関連記事】「健康によいはずの多くの食材に含まれる「反栄養素」を撃退する方法とは?

 

 

糖質制限における骨密度

geefeeの読者であれば気になるのが低糖質の食事と骨密度の関連性ですが、ラットを使った4週間という短い期間で行われたある研究によると、低炭水化物、高脂肪の食事は骨の成長に悪影響を及ぼし骨密度の低下を促進する可能性が示唆されています[#]“Short‐term exposure to low‐carbohydrate, high‐fat diets induces low bone mineral density and reduces bone formation in rats” n.d. Accessed April 19, 2021. https://asbmr.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1359/jbmr.090813. 。しかし、その後に行われた低脂肪及び低炭水化物のそれぞれの食事を1年間実践した比較研究では、低炭水化物の食事の方が体重減少及び骨密度の維持に有意に働くことが分かっています[#]“Error - Cookies Turned Off.” n.d. Accessed April 19, 2021. https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1096/fasebj.30.1_supple.... 。また、糖質制限と並行してプチ断食を実践している人もいるかと思いますが、14時間~16時間程度のプチ断食であれば、特に骨密度に影響を及ぼしません[#]Veronese, N., and J. Y. Reginster. 2019. “The Effects of Calorie Restriction, Intermittent Fasting and Vegetarian Diets on Bone Health.” Aging Clinical and Experimental Research 31 (6). https://doi.org/10.1007/s40520-019-01174-x. 。むしろ、カロリー制限やベジタリアンなどの偏った食事をしている人の方が骨密度の低下を招く恐れがあるので注意が必要です。

 

カフェインと骨密度の関連性

カフェインはカルシウムの尿中排泄を増加させる要因になると言われてきましたが、ある研究では、閉経後でカルシウム摂取が低い女性においては骨密度を低下させる傾向にある一方、20代の女性においてはカフェインの消費は骨密度の減少の要因になりえないと結論付けられていますので、余程大量のカフェインの摂取をしない限り問題はなさそうです[#]Conlisk, A. J., and D. A. Galuska. 2000. “Is Caffeine Associated with Bone Mineral Density in Young Adult Women?” Preventive Medicine 31 (5). https://doi.org/10.1006/pmed.2000.0742.

 


 

 

筋肉トレーニングや簡単な運動も骨密度の維持に効果的

骨に適度な曲げる力がかかることで骨密度が上がります。負荷がかかるので骨を強くしなきゃ!という自然の叡智のような作用が働くのです。そのため、運動不足は骨密度の低下に繋がるのです。筋力トレーニングやジョギングなどの簡単な運動で骨に負荷を与えることで骨密度を維持することができます。ある研究では、ウェイトリフティングのような負荷の大きい運動が骨密度を増加させたということが報告されています[#]Gleeson, P. B., E. J. Protas, A. D. LeBlanc, V. S. Schneider, and H. J. Evans. 1990. “Effects of Weight Lifting on Bone Mineral Density in Premenopausal Women.” Journal of Bone and Mineral Research: The Official Journal of the American Society for Bone and Mineral Research 5 (2). https://doi.org/10.1002/jbmr.5650050208. 。ウェイトトレーニングは少々荷が重いという人でも、スクワットなどの自重トレーニングでも骨密度は有意に増加するので、在宅ワークで座りがちな人や運動不足の人は積極的に運動をしましょう[#]Mosti, M. P., T. Carlsen, E. Aas, J. Hoff, A. K. Stunes, and U. Syversen. 2014. “Maximal Strength Training Improves Bone Mineral Density and Neuromuscular Performance in Young Adult Women.” Journal of Strength and Conditioning Research / National Strength & Conditioning Association 28 (10). https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000000493. 。こういった運動ですらちょっと苦手、、、という人は週に30分程度の時間で効果が期待できるHIIT(高強度インターバルトレーニング)がおススメ。このHIITにより骨密度が増加したという研究結果があります。

激しい運動ができない高齢者は、積極的にウォーキングなどをするだけでも一定の効果が期待できますよ。

 


 

 

ケイ素も併せて意識的に摂取しよう。

人間の生命維持に必要な微量ミネラルのケイ素。髪や肌、爪を美しくする効果が期待できるだけではなく、骨の石灰化、コラーゲンの生成を促し骨をより強くする効果が期待できます。ある研究では、男性及び閉経前の女性の食事によるケイ素の摂取量が多いと骨密度及び骨の強度が高いということが示されています[#]Price, Charles T., Kenneth J. Koval, and Joshua R. Langford. 2013. “Silicon: A Review of Its Potential Role in the Prevention and Treatment of Postmenopausal Osteoporosis.” International Journal of Endocrinology 2013 (May). https://doi.org/10.1155/2013/316783.  [#]Jugdaohsingh, R., K. L. Tucker, N. Qiao, L. A. Cupples, D. P. Kiel, and J. J. Powell. 2004. “Dietary Silicon Intake Is Positively Associated with Bone Mineral Density in Men and Premenopausal Women of the Framingham Offspring Cohort.” Journal of Bone and Mineral Research: The Official Journal of the American Society for Bone and Mineral Research 19 (2). 。野菜などからケイ素を摂取するのが理想的ですが、近代農法により土壌に含まれているミネラル成分量が減少している現代においてはサプリメントなどを上手に活用しましょう。また、ケイ素を多く含んだミネラルウォーターもあります。特に骨密度の減少しやすい女性にとっては、ケイ素の摂取による骨の健康の改善に加えて外面の美しさの維持も期待できるかも。詳しくはこの記事を参照してみてください。

【関連記事】「肌、髪、骨の健康に効果絶大!?「ケイ素」を上手に摂取する方法
 

 

まとめ~骨密度を維持するために必要なこと。~
骨折や骨粗鬆症など日常の生活に支障をきたす骨密度の減少は、高齢者や閉経後の女性に多くみられますが、加工食品の利用が増えている現代の食生活のせいで、最近では男性にも起こりえる問題です。カルシウムを積極的に摂取するように、というのは昔から言われていますが、現代の食生活でも案外カルシウムは足りているケースが多い一方、ビタミンDやマグネシウムやケイ素などが不足しがち。これらを積極的に摂取するだけではなく、カルシウムの吸収を阻害するリンやシュウ酸の摂取を控えることにも心掛けましょう。特に、座りがち、部屋に籠りがちな生活をしている人は、積極的に体を動かし骨にある程度の負荷をかけることもとても大切。
 

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