カット野菜を殺菌する際に発生する化学物質のトリクロロメタン(クロロホルム)やDBP(消毒副生成物)
製紙工場、有害廃棄物工事や埋め立て地などから放出されるトリクロロメタン(クロロホルム)は、目、皮膚、肝臓、腎臓、神経系に害を及ぼす可能性がある化学物質。工事現場で働く人がトリクロロメタンを吸引し健康リスクに繋がる可能性がアメリカのCDC(アメリカ疾病対策予防センター)によって指摘されています。さて、上記の次亜塩素酸ナトリウムとpH調整剤として広く加工食品に使用されているクエン酸とが化学反応を起こしてこのトリクロロメタンが発生することが研究で分かっています[#]“Formation of Trichloromethane in Chlorinated Water and Fresh-Cut Produce and as a Result of Reaction with Citric Acid.” 2015. Postharvest Biology and Technology 109 (November): 65–72. 。pH調整剤としてこのクエン酸がすべてのカット野菜に使用されているかどうかは不明ですが[#]藤村亮太郎, and 山川真美. 2012. カット野菜の製造方法. WIPO 2012073835:A1. World Patent, filed November 25, 2011, and issued June 7, 2012. https://patentimages.storage.googleapis.com/e7/b3/83/595699fb76f01c/WO20.... 、厚生労働省では特に規制がされていないため、使用されていても不思議ではありません。
また、次亜塩素酸ナトリウムが化学反応を起こすのはクエン酸だけではありません。野菜に含まれる有機物も次亜塩素酸ナトリウムに反応し消毒副生成物であるDBP(フタル酸ジブチル) が生成されることも[#]“Formation of Disinfection Byproducts in Wash Water and Lettuce by Washing with Sodium Hypochlorite and Peracetic Acid Sanitizers.” 2019. Food Chemistry: X 1 (March): 100003. 。このDBPは毒性が強く、心臓に悪影響を与える化学物質です[#]“Exposure to DBP Induces the Toxicity in Early Development and Adverse Effects on Cardiac Development in Zebrafish (Danio Rerio).” 2019. Chemosphere 218 (March): 76–82. 。
また、このトリクロロメタン(クロロホルム)やDBPは、水道水で洗浄することで濃度のレベルを減少させることができると言われています[#]久保田浩樹, 佐藤恭子, 佐々木伸夫, 河村葉子, 小関良宏, and 穐山浩. 2012. “次亜塩素酸ナトリウム処理によるカットキャベツからの揮発性ハロゲン化合物の生成.” 日本食品化学学会誌 19 (2): 94–103. [#]“Formation of Disinfection Byproducts in Wash Water and Lettuce by Washing with Sodium Hypochlorite and Peracetic Acid Sanitizers.” 2019. Food Chemistry: X 1 (March): 100003. 。「洗わず食べれる」や「洗って食べましょう」といった表示をカット野菜の商品のパッケージでよく見かけますが、どうしてもカット野菜を使用する際は、必ずよく洗浄することをおススメします。
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