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タンパク質はどれも同じではない。植物性タンパク質より動物性タンパク質を摂るべき理由。
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タンパク質はどれも同じではない。植物性タンパク質より動物性タンパク質を摂るべき理由。

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・動物性タンパク質と植物性タンパク質の違いとは?
・タンパク質に含まれる必須アミノ酸と非必須アミノ酸
・良質なタンパク質として評価されるアミノ酸スコアが違う動物性タンパク質と植物性タンパク質
・植物性タンパク質の代わりに動物性タンパク質を摂るべき理由

 

 

人の体の約20%、また筋肉の80%を占めるタンパク質は毎日の食事から十分に摂取する必要があります。一概にタンパク質と言っても植物性タンパク質と動物性タンパク質の2種類に分類されますが、特にダイエットをしている人や菜食主義者は、肉や魚を避け植物性タンパク質に偏りがち。そのタンパク質の摂取方法は果たして正しいのでしょうか?今回は、植物性タンパク質と動物性タンパク質の違いについてフォーカスしていきます。

 

動物性タンパク質と植物性タンパク質って?

肉や魚や卵などから摂取することができるタンパク質を動物性タンパク質と呼びます。ホエイ、ガゼイン、卵白などはこの動物性タンパク質。植物性タンパク質には大豆が原料のものは小麦のグルテンなどがあります。以下が主な食品リストです。動物性の食材は植物性のものよりもタンパク質の含有量が多いことが分かります。

 

動物性タンパク質 100g当たり 植物性タンパク質 100g当たり
パルメザンチーズ 44.0g 挽きわり納豆 16.6g
かつお 25.0g そら豆 10.5g
鶏もも 22.0g 食パン 9.3g
牛リブロース赤身 21.7g 木綿豆腐 6.6g
牛肩肉赤身 20.2g パスタ(ゆで) 5.4g
馬肉 20.1g ブロッコリー 4.3g
豚ロース 19.3g    
生卵       12.3g    

 

 

 

タンパク質に含まれるアミノ酸の種類が鍵

高分子化合物であるタンパク質は、多数のアミノ酸がペプチド結合して構成されています。人間が体内で活用するアミノ酸は20種類あり、それらのアミノ酸が80個程度、もしくはそれ以上結合するとタンパク質になります。アミノ酸は、体内で合成できる非必須アミノ酸と、体内では合成できない必須アミノ酸の2種類に分類され、必須アミノ酸は食品(またはサプリメント)から摂る必要があります。以下が、アミノ酸の種類[#]“[Ⅲ栄養指導 ].” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf.

 

必須アミノ酸 非必須アミノ酸
バリン
イソロイシン
ロイシン
メチオニン
リジン
フェニルアラニン
トリプトファン
スレオニン(トレオニン)
ヒスチジン
アスパラギン 
アスパラギン酸 
アラニン 
アルギニン 
システイン 
グルタミン 
グルタミン酸 
グリシン
プロリン
セリン
チロシン
 

 

人の体が正しく健康的に機能するためには、これらの20種類のアミノ酸の摂取バランスが大切になります。そのうち、食事から摂取する必要のある大事な必須アミノ酸の食品中の含有比率を評価したスコアがアミノ酸スコア。スコアの値が100に近いほど良質なタンパク質として評価されます。植物性タンパク質と動物性タンパク質の違いはこのアミノ酸の配分にあります。次のセクションで詳しく見ていきましょう。

 

摂取できるアミノ酸の種類が違う、植物性タンパク質 vs 動物性タンパク質

食品によってこのアミノ酸のスコアは変わってきますが、以下の表を見て頂けると分かるように、植物性タンパク質と動物性タンパク質の違いは含まれているアミノ酸の種類[#]“Website.” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.researchgate.net/figure/PDCAAS-of-common-protein-foods-1_tbl....  [#]“[Ⅲ栄養指導 ].” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf.

 

食品 アミノ酸スコア 食品 アミノ酸スコア
鶏卵 100 大豆 100
牛乳 100 じゃがいも 73
牛肉 100 精白米 61
鶏肉 100 小麦粉 46
豚肉 100 パン 44
あじ 100 とうもろこし 31
いわし 100    
さけ 100    
まぐろ 100    
       

 

動物性タンパク質は、貝類と甲殻類を除いてはほとんどが100となります。よって、動物性タンパク質からは必須アミノ酸を十分に摂取することができます。また、植物性タンパク質は100に満たない食品がほとんど。必須アミノ酸を十分に摂取することができません。また、大豆に関しては、1973年のスコアでは86点でしたが、消化吸収も加味した1985年のスコアでは100とされています[#]“[Recent Progress in Research and Technology on Soybeans].” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/7/1/7_1_8/_pdf. 。 しかし、大豆には必須アミノ酸のリジン、システイン、メチオニン、スレオニン、トリプトファンが不足しているため、家畜飼料で大豆を使用する際にこれらの必須アミノ酸を加えアミノ酸レベルを上げているくらいなのです[#]“[Methionine Food List].” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.texaschildrens.org/sites/default/files/uploads/Cystinuria_ha....  [#]“Understanding Soybean Quality.” n.d. Accessed August 31, 2020. https://www.iasoybeans.com/news/articles/understanding-soybean-quality/?.... 。したがって、必須アミノ酸が全て含まれる動物性タンパク質と大豆タンパク質とではその栄養としての質は大違いである、と言えます。

 

 

アミノ酸の偏りの問題に限らず、野菜に偏った食事をしている人は、動物性食品にのみ含まれているクレアチンや植物性食品にはほとんど含まれていないビタミンB12などが不足がちに[関連記事:安心・快適な菜食生活のために…植物性食品だけだと不足しがちな栄養素を知ろう!]。単に脂肪が太るから、といった理由や好き嫌いで肉を避けると必須アミノ酸や栄養素を十分に摂取できていない可能性があるので注意しましょう。逆に良質な脂質を含んだ肉は健康効果も期待できますし、「脂肪が太る」というこれまでの常識も現在では覆されています(肥満の原因は、一般に脂質ではなくて糖質の方なのです)[関連記事:食べるならグラスフェッド・ビーフ! その驚きの栄養価とは!?]。

 

 

長年のベジタリアン生活から動物性タンパク質を摂取するパレオダイエットに切り替えることで元気を取り戻し、肌がきれいになり、精神状態もよくなった、という例は数多く報告されています。食生活、特にタンパク質の摂り方を見直すことで現在抱えている疾患を改善するきっかけになる可能性もあります。

 

 

プロテインパウダーにも植物性と動物性が。

食事だけでなく、プロテインパウダーもその主原料によって植物性と動物性に分類できます。大豆などの豆を原料としたものが植物性、卵白、カゼイン、ホエイ等を主原料としたものが動物性。詳しくは以前の記事「プロテインパウダーは種類によってこんなに違う!」をご参考に。

 

 

植物性タンパク質の代わりに動物性タンパク質を摂るべき理由はこんなにたくさんあります 

また、植物性タンパク質はアミノ酸の配分に難があるのに加え、小麦のタンパク質の場合に含まれるグルテンには要注意[関連記事:原因不明の体調不良は小麦粉のグルテンが原因かも?グルテンフリーの有効性]。さまざまな病気や体調不良の原因となる可能性があります。また、植物性タンパク質の主な摂取源である大豆ですが、腸の損傷を引き起こす可能性があるGMO(遺伝子組み換え)や[関連記事:腸の損傷を引き起こすGMO(遺伝子組み換え)と農薬の関連性]、フィチン酸やレクチンなどの反栄養素、イソフラボンの環境ホルモン作用[関連記事:実は身体によくない!?畑の肉といわれる大豆の正体]等の懸念すべき点があるだけではなく、多くの人がアレルギー反応を示す主要なアレルゲンでもあるため、大豆がアミノ酸スコア100だからといって摂取するタンパク質を大豆のみに頼るのは少々リスクが高いでしょう。一昔前に欧米で豆腐ブームが起きましたが、今では大豆の健康リスクが常識化し、大豆タンパク質は家畜の食べ物であり人間が食べるべきものではない、という見方が広がっています。動物性の主な摂取源である肉や魚は植物性のたんぱく源の上記のような問題はあまりありませんが、餌の質や重金属(魚介類の場合)の問題もありますので、良質なものを選びたいところ。また、動物性であっても卵や乳製品や魚の一部にはアレルギーの問題もあります。卵アレルギーの場合には卵白ベースのプロテインパウダー製品は控え、乳製品アレルギーの場合にはホエイやカゼインベースのものは控えましょう。

 

タンパク質過多は腎臓に悪い?

食事によって摂取されたタンパク質は腎臓によって代謝され、老廃物は尿などと一緒に排泄されます。このため、高タンパク質の摂取は、腎臓への負担を与えることになりますが、腎不全や腎臓病など腎臓に疾患がない人の場合にはあまり心配をしなくてよいと言われています[#]“Effects of Dietary Protein Restriction on the Progression of Moderate Renal Disease in the Modification of Diet in Renal Disease Study.” 1996. Journal of the American Society of Nephrology: JASN 7 (12). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8989740/.  [#]Levey, A. S., S. Adler, A. W. Caggiula, B. K. England, T. Greene, L. G. Hunsicker, J. W. Kusek, N. L. Rogers, and P. E. Teschan. 1996. “Effects of Dietary Protein Restriction on the Progression of Advanced Renal Disease in the Modification of Diet in Renal Disease Study.” American Journal of Kidney Diseases: The Official Journal of the National Kidney Foundation 27 (5). https://doi.org/10.1016/s0272-6386(96)90099-2. 厚生労働省が発表している推奨量は成人男性は1日60g、成人女性は1日50g。卵1つのタンパク質の量が約6.2 gで、生のお肉の重量のうち約20%がタンパク質です。多少食べ過ぎても通常は大きな問題はありませんが、大体の摂取量を把握しておくのも毎日の健康管理の基礎としておススメです。

 

まとめ~植物性タンパク質より動物性タンパク質を摂るべき理由。~

日本人は比較的タンパク質の推奨摂取量を満たしていると言われていますが、大切なのはタンパク質の質。必至アミノ酸をしっかりバランスよく摂るには大豆などの植物性のものではなく動物性のものがおススメ。また、大豆には様々な健康リスクが付きまといますので、植物性タンパク質に偏った食事をしている人は、動物性タンパク質にスイッチしてみては?
 

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