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ケトジェニックダイエットは2型糖尿病に良い?悪い?
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ケトジェニックダイエットは2型糖尿病に良い?悪い?

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・日本人でもなりやすい2型糖尿病とは?
・ケトジェニックダイエットが2型糖尿病に効果的だと言われる理由
・カロリー制限 vs ケトジェニックダイエット、血糖値のコントロールに効果的なのはどっち?
・糖尿病患者がケトジェニックダイエットを行う際の注意すべき点

 

肥満が少ない日本人もなりやすい2型糖尿病って?

IDF(国際糖尿病連合)によると1型糖尿病も含めた糖尿病の患者数は、全世界で4億人。25年後には6.3億人にまで増加すると予測されています。厚生労働省が行った「平成28年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病患者の予備軍を含めた8~9人に1人が糖尿を患っている計算になります。その糖尿病患者の95%を占めるのが2型糖尿病です。

1型糖尿病が、上がった血糖値を下げる作用のホルモンであるインスリンを分泌するはずの膵臓の細胞が壊れ、インスリンがほとんど分泌されなくなるために、注射でインスリンを補う治療が必要です[#]Zaccardi, F., D. R. Webb, T. Yates, and M. J. Davies. 2016. “Pathophysiology of Type 1 and Type 2 Diabetes Mellitus: A 90-Year Perspective.” Postgraduate Medical Journal 92 (1084). https://doi.org/10.1136/postgradmedj-2015-133281. 。一方、2型糖尿病は、膵臓からのインスリンの分泌量が低下する「インスリン分泌障害」と、インスリンが分泌されているにも関わらずインスリンの働きが低下する「インスリン抵抗性」によってインスリン作用不足に陥った場合に発症する糖尿病です。血糖値を下げる役割のインスリンの機能に問題が生じることで、血液中のブドウ糖をうまく処理することができず、血糖値の高い状態が続き、血管や神経が傷つき、糖尿病腎症や糖尿病神経障害などの合併症のほか、心臓病などのリスクも上がります[#]Ripsin, C. M., H. Kang, and R. J. Urban. 2009. “Management of Blood Glucose in Type 2 Diabetes Mellitus.” American Family Physician 79 (1). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19145963/. 。この記事では2型糖尿病の予防を中心に扱います。

この2型糖尿病、根本的な原因は、遺伝的な要素がベースにあるものの、その上に過食、運動不足などの生活習慣が重なることが多くの場合原因だといわれています[#]Skyler, Jay S., George L. Bakris, Ezio Bonifacio, Tamara Darsow, Robert H. Eckel, Leif Groop, Per-Henrik Groop, et al. 2017. “Differentiation of Diabetes by Pathophysiology, Natural History, and Prognosis.” Diabetes 66 (2): 241.

 


 

 

2型糖尿病の血糖管理にケトジェニックダイエットが効果的だと言われる理由とは?

食べたものに含まれる炭水化物などの糖質は消化酵素で分解され、ブドウ糖となって小腸から吸収されるため、糖質を摂取することで血糖値が上がります。ケトジェニックダイエットは、高脂質・低糖質、そして適度なたんぱく質を中心としたダイエットです。健康な人の場合、血糖値が上昇すると、それに反応して血液中のインスリンも上昇し、血糖値を一定の範囲におさめることができますが、インスリンがうまく機能しなくなってくると、このコントロールが効かなくなってきます。そのため、糖質を取りすぎない食生活が2型糖尿病の血糖値をコントロールするための基本的な食事の考え方になります[#]Ludwig, D. S. 2002. “The Glycemic Index: Physiological Mechanisms Relating to Obesity, Diabetes, and Cardiovascular Disease.” JAMA: The Journal of the American Medical Association 287 (18). https://doi.org/10.1001/jama.287.18.2414.  [#]Accurso, A., R. K. Bernstein, A. Dahlqvist, B. Draznin, R. D. Feinman, E. J. Fine, A. Gleed, et al. 2008. “Dietary Carbohydrate Restriction in Type 2 Diabetes Mellitus and Metabolic Syndrome: Time for a Critical Appraisal.” Nutrition & Metabolism 5 (April). https://doi.org/10.1186/1743-7075-5-9.

食べる総カロリーのうち約75%を脂質由来、20%をタンパク質由来、そして5%以下を糖質由来とするのが一つの目安であるケトジェニックダイエットは、糖質の摂取量が低いため、食後の血糖値とインスリン値が上昇せず、膵臓への負担を減らしインスリン抵抗を緩和することにつながることが期待できるのです。

また、インスリンには血糖値を下げる働きがあるのと同時にエネルギーとして利用できなかった分のブドウ糖を脂肪として体の中に蓄積させる働きもあります。低糖質の食事によりインスリンの分泌の必要性が抑えられるため、脂肪が蓄積しにくくなります。また、ケトーシス状態になると体へのエネルギーの供給源がブドウ糖ではなく、体脂肪を分解してエネルギーを作り出すようになるため、プチ断食やケトジェニックな食事にダイエット効果が期待できます。

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2型糖尿病における、カロリー制限 vs ケトジェニックダイエット

一般的に糖尿病患者にはカロリー制限による食事法が推奨されていますが、あるスペインの研究で2型糖尿病で肥満の患者89人が、低カロリー兼ケトジェニック食、または低カロリーだが糖質制限のない食事の二つのグループに分かれ、4カ月間生活したところ、ケトジェニックダイエットに基づく減量プログラムの患者の方は、体重の減少と血糖値コントロールの両方の改善に効果があり、その安全性も報告されました[#]Goday, A., D. Bellido, I. Sajoux, A. B. Crujeiras, B. Burguera, P. P. García-Luna, A. Oleaga, B. Moreno, and F. F. Casanueva. 2016. “Short-Term Safety, Tolerability and Efficacy of a Very Low-Calorie-Ketogenic Diet Interventional Weight Loss Program Versus Hypocaloric Diet in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus.” Nutrition & Diabetes 6 (9). https://doi.org/10.1038/nutd.2016.36. 。また、他の研究では、363人の体重過多や肥満患者のうち102人が2型糖尿病と診断された被験者を対象に、ケトジェニックダイエットと低カロリーダイエットの効果を比較したところ、ケトジェニックダイエットの方が血糖値のコントロールが改善したことが示されています[#]Hussain, T. A., T. C. Mathew, A. A. Dashti, S. Asfar, N. Al-Zaid, and H. M. Dashti. 2012. “Effect of Low-Calorie Versus Low-Carbohydrate Ketogenic Diet in Type 2 Diabetes.” Nutrition 28 (10). https://doi.org/10.1016/j.nut.2012.01.016.

 

糖尿病患者がケトジェニックダイエットを行う際の注意点

糖質制限により、2型糖尿病患者の血糖値のコントロールが改善されるといった研究結果はありますし、個人の成功談などもネットには数多く見られます。しかし、長期的な安全性、実用性、有効性に関するデータはまだ不足しています[#]Sainsbury, E., N. V. Kizirian, S. R. Partridge, T. Gill, S. Colagiuri, and A. A. Gibson. 2018. “Effect of Dietary Carbohydrate Restriction on Glycemic Control in Adults With Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Diabetes Research and Clinical Practice 139 (May). https://doi.org/10.1016/j.diabres.2018.02.026. 。特に、すでに糖尿病を患っていて薬などを服用している人は、ケトジェニックダイエットを始める前に必ず医師と相談をするようにしましょう。服用している薬によっては、脂肪の分解によってケトン体という物質が血液中に増え、血液が酸性に傾き、高度の脱水状態になる糖尿病性ケトアシドーシスになるリスクが高まります[#]Handelsman, Y., R. R. Henry, Z. T. Bloomgarden, S. Dagogo-Jack, R. A. DeFronzo, D. Einhorn, E. Ferrannini, et al. 2016. “AMERICAN ASSOCIATION OF CLINICAL ENDOCRINOLOGISTS AND AMERICAN COLLEGE OF ENDOCRINOLOGY POSITION STATEMENT ON THE ASSOCIATION OF SGLT-2 INHIBITORS AND DIABETIC KETOACIDOSIS.” Endocrine Practice: Official Journal of the American College of Endocrinology and the American Association of Clinical Endocrinologists 22 (6). https://doi.org/10.4158/EP161292.PS. 。その他、個人差によってケトジェニックダイエットによってかえって悪化するリスクがないわけではありません。また、妊娠中、授乳中の女性、摂食障害のある人やそのリスクがある人、さらに腎疾患がある人を含む一部の2型糖尿病患者には適していないとされています。一方、2型糖尿病患者にケトジェニックダイエットを推奨する医師が特に欧米で増加しています。

 

例 1) 「Ketogenic Diet for Diabetes with Sarah Hallberg, DO」YOUTUBE

例 2) 「Ketogenic diets for type 2 diabetics」YOUTUBE

 

このようにめざましい効果が報告されていますので、ケトジェニックダイエットについて前向きな専門医師のもとで食事を工夫してみる価値はありそうです。
 

 

~まとめ―2型糖尿病とケトジェニックダイエット~
2型糖尿病患者がケトジェニックダイエットで糖質の摂取量を減らすことで、体重を減らし、血糖値を改善することが期待できますが、ケトジェニックダイエットはすべての人に適しているとは限りません。すでに糖尿病を患っている人は、必ず主治医との相談の上、ケトジェニックダイエットのメリットとデメリットをしっかり理解して行うようにし、糖尿病予備軍の人は、予防策としてこの食事法を取り入れてみてはいかがでしょうか?もちろん適度な運動[関連記事:最短時間で最大効果を出す運動法-高強度インターバルトレーニング(HIIT)]をすることなど基本的な生活習慣も見直しましょう!

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