カルシウムは注意?亜鉛の吸収を妨げる要素
食物から摂取された亜鉛が消化器官で吸収される率は、年齢に差はみられるものの、約30%と決して高くはありません。これは、食物に含まれるフィチン酸、食物繊維、加工食品に含まれる食品添加物であるリン酸などが亜鉛の吸収を阻害するのが要因の1つ[#]“[亜鉛吸収を向上させる食品因子の探索].” n.d. Accessed October 12, 2020. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/107/11/107_836/_pdf. 。フィチン酸といえば、玄米や大豆などのマメ科の植物に含まれる反栄養素。マグネシウムや鉄、カルシウムなどの栄養素の吸収を妨げるのでできるだけ避けるべき食材 [関連記事:意外な食べ物にも含まれている?避けるべき4つの反栄養素]。また、実はカルシウムも亜鉛の吸収を阻害する1つの要因です。ある研究で、カルシウムのサプリメントを食事と一緒に摂取したところ、亜鉛の吸収率が50%も減少したことが分かっています[#]Lozada-Nur, Francina, Nita Chainani-Wu, Giulio Fortuna, and Herve Sroussi. 2020. “Dysgeusia in COVID-19: Possible Mechanisms and Implications.” Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology and Oral Radiology 130 (3): 344. 。せっかく亜鉛が豊富な食事を作ってもこういった吸収を阻害する可能性のある食品との併食は注意しましょう。
また、ここに牛肉とその他の食品との食べ合わせで興味深いデータがあります[#]“Zinc Availability from Beef Served with Various Carbohydrates or Beverages.” 1990. Nutrition Research 10 (2): 155–62. 。亜鉛の含有量が比較的高い牛肉は、牛肉単体で食べた場合、平均亜鉛吸収率が35.4%という数字になりました。牛肉に炭水化物を加えたらどうなるのでしょうか?
牛肉+白米 23.8%
牛肉+白パン 20.2%
牛肉+じゃがいも 17.6%
と、炭水化物と併食すると吸収率が相当低くなります。
また、飲料では
牛肉+コーヒー 29.5%
牛肉+オレンジジュース 29.2%
牛肉+牛乳 28.0%
という結果になりました。これは、上記でも示したカルシウムやタンパク質ガゼインが亜鉛の吸収を抑制するためと考えられます[#]“How to Boost Zinc Absorption.” n.d. Accessed October 12, 2020. https://healthyeating.sfgate.com/boost-zinc-absorption-8203.html. 。よって、
玄米、大豆、白米、パン、じゃがいも、小松菜、わかさぎ、牛乳
のような
- フィチン酸が含まれるマメ科の植物
- 炭水化物全般
- 高カルシウムが含まれる食品
との食べ併せ次第では亜鉛の吸収率が下がるということは覚えておきたいポイントです。
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