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知っておきたい、身近な生活品や食品にも含まれる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)。
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知っておきたい、身近な生活品や食品にも含まれる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)。

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・心理的ストレスや代謝異常などの環境ホルモン(内分泌かく乱物質)とその健康リスク
・パーソナルケア用品から大気環境まで広範囲に渡り存在する環境ホルモン
・注意すべき大豆などの食品から摂取する植物性エストロゲン

 

先日の記事で、知らない間に忍び寄る目に見えない健康リスクをお伝えしましたが、中でも絶妙なバランスを取りながら私たちの毎日の健康維持を助けているホルモン系をかき乱す環境ホルモン(内分泌かく乱物質)は、深刻な問題です。環境ホルモンは、家庭内などの身近な生活圏から大気環境までいたる所に存在し、体内に取り込まれてしまっています。すべての環境ホルモンを排除することは難しいですが、今回はこの環境ホルモンの種類、体に与える影響などにフォーカスしていきます。
 

 

環境ホルモン(内分泌かく乱物質)とその健康リスクとは?

環境ホルモンはあくまでも通称。正式名称は内分泌かく乱物資です。ヒトは、環境の変化などに応対し、特定の細胞がホルモンを分泌することによって、代謝や成長、生殖等の体内の機能を調節し健康が保たれていますが、本物のホルモンと似た分子構造を持つ物質が体内に取り込まれることで、内分泌系の働きをかく乱させ体に悪影響を与えます[#]“[環境ホルモンってなあに?].” n.d. Accessed May 5, 2021. https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/training/pdf/081225b.pdf. 。この環境ホルモン、以下のような潜在的な健康リスクが懸念されています[#]Ash, Michael. n.d. “Detox – WTF?” Accessed May 5, 2021. https://www.clinicaleducation.org/resources/reviews/detox-wtf/.

 

・心理的ストレス
・代謝異常
甲状腺機能の低下
・生殖機能異常
・低出生体重児の出産や発達障害
・免疫力の低下
・乳ガン及び前立腺ガン
・糖尿病
・心臓病

 

ホルモン異常による疾患だけではなく、慢性疾患や疾病にも関わってきます。

この環境ホルモンのほとんどは科学の進歩に伴い発生する非自然的な化学物質。テクノロジーが存在しないジャングルなどで暮らさない限り私たちの身の回りにはこの環境ホルモンが常に蔓延していると言っても過言ではありません。では、具体的にどのような形でこの環境ホルモンを摂取しているのでしょうか。具体的にみていきます。
 

 

身の回りに存在する環境ホルモンとは?

 

大気環境

居住地域の環境にもよりますが、大気や土壌には有機塩素系農薬、ダイオキシン、重金属、有機フッ素化合物、車や工場などの排ガスから発生する多環芳香族炭化水素など、あらゆる環境汚染が要因で私たちは毎日のように環境ホルモンを体に取り入れているのです。これらの化学物質が含まれるのは大気環境だけではなく食物も。後程説明します。

 

パーソナルケア用品など

非常に多くの添加物や化学物質が含まれている化粧品などのパーソナルケア用品。石鹸、シャンプー、歯磨き粉、洗顔料、香水など、ほとんど毎日使用する日用品には、殺菌剤のトリクロサン、防腐剤のパラベン、香料の合成ムスクやフタル酸エステル類などが含まれています。あたりかまわず吹きかける消臭剤やトイレの芳香剤などもホルモン系に悪影響を与える物質が含まれていることも頭に入れておきましょう[#]“New Study: Common Air Fresheners Contain Chemicals That May Affect Human Reproductive Development.” n.d. Accessed May 5, 2021. https://www.nrdc.org/media/2007/070919.

 

プラスチック容器

食品の保存や飲料水など現在使用している容器のほとんどがプラスチック。プラスチックに含まれる化学物質のBPA(ビスフェノールA)も環境ホルモンの1つ。BPAフリーという言葉で知っている人もいるかもしれません。ただ、BPAフリーだからといって安心できるとは限りません。BPA の代替化学物質のBPS(ビスフェノール-S)やBPF(ビスフェノール-F)が使用されていることも[#]Moon, Min Kyong. 2019. “Concern about the Safety of Bisphenol A Substitutes.” Diabetes & Metabolism Journal 43 (1): 46. 。これらの化学物質は缶類の内面にも使用されているので、可能な限り保存容器の材質をガラスにするのがおススメ。

 

 

水銀や農薬、ヒ素などが含まれている食品

水銀を含んだ魚、有機リン系農薬、ネオニコチノイド系農薬などの散布された農薬やカドミウムやヒ素などを土壌から吸収して育った農作物などの食物を介して私たちは環境ホルモンを体内に取り込んでいます。geefeeでは以前の記事で化学物質が含まれている食品に関する健康リスクの懸念を何度もお伝えしてきたので、健康意識が高い方は、そもそもの食品選びを慎重に行っている人も多いと思いますが、ホルモン系に対する悪影響も大きな懸念の1つであることは知っておきましょう。また、パーソナルケア用品のセクションでも述べたパラベンが栄養ドリンクに入っているケースも。健康に良いと勘違いされている製品にもこういった環境ホルモンの摂取の落とし穴があるので、加工食品の成分表は常に見るようにしましょう。

【関連記事】「魚介類の食べすぎで体に水銀が蓄積!?そのリスクを避ける方法とは

【関連記事】「残留農薬の危険性。健康被害を避けるためにできること。

 

 

環境エストロゲンと植物性エストロゲン

特に成長や妊娠などの女性の健康に大切な役割を持つ女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンをかく乱する環境エストロゲン及び植物性エストロゲンも多くの専門家により懸念されている環境ホルモンの例[#]“Environmental Impact of Estrogens on Human, Animal and Plant Life: A Critical Review.” 2017. Environment International 99 (February): 107–19. 。世界的な工業化に伴い、大気中や汚染水などの環境中に含まれるステロイド性の環境エストロゲンに加えて、主に大豆のイソフラボンに含まれている非ステロイド性の植物性エストロゲンの摂取が、女性の乳ガンや男性の前立腺ガンなどのリスクと関連している可能性も指摘されています[#]Darbre, Philippa D., and Amelia K. Charles. 2010. “Environmental Oestrogens and Breast Cancer: Evidence for Combined Involvement of Dietary, Household and Cosmetic Xenoestrogens.” Anticancer Research 30 (3): 815–27.  [#] Nelles, Jason L., Wen-Yang Hu, and Gail S. Prins. 2011. “Estrogen Action and Prostate Cancer.” Expert Review of Endocrinology & Metabolism 6 (3): 437. 。特に、健康食として定着している大豆の摂食や大豆イソフラボン由来のサプリメントや健康食品などで植物性エストロゲンを過剰摂取するのは少々リスキー。大豆にはこれ以外にも様々な健康リスクが伴いますので、いまだに大豆の健康効果を信じている人は最新の情報を改めて見直してみましょう。

【関連記事】「実は身体によくない!?畑の肉といわれる大豆の正体

 


 

 

まとめ~知っておきたい、身近な生活品や食品にも含まれる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)。~
正直なところ、現代の生活様式では環境ホルモンを完全に除去するのは難しいと言えます。ヨーグルトなどで腸内環境を整えて環境ホルモンをデトックス、といった宣伝も見かけますが、そんな単純なことではありません。大切なのは、体内の環境ホルモンを取り除くことよりも、そもそも体に取り入れない努力をすること。環境ホルモンが含まれた保存容器やパーソナルケア製品を見直し、植物性エストロゲンの摂取を抑え、水銀の少ない小魚、残留農薬の少ない有機野菜などを食べるように心がけるしか今のところ方法はないのです。

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