Skip to navigation メインコンテンツに移動
「若さのコスプレ」で老人が驚異の若返り?ハーバード大学心理学博士エレン・ランガー教授によるマインドフルネス研究
63  

「若さのコスプレ」で老人が驚異の若返り?ハーバード大学心理学博士エレン・ランガー教授によるマインドフルネス研究

geefee ポイント geefee ポイント

・老人が若いころに戻ったつもりで暮らすと短期間で様々な若返り現象発現
・心と身体とは摩訶不思議な関連性を持つ

 

みなさん、どんな時に、年を取ったかな~と思いますか?年を取るにつれて、段々とあきらめモードになってしまう人も多いのではないでしょうか?また、それとは反対に、年齢はただの数字!と前向きな人もいますよね。でもこれはあながち間違いではないのかもしれないのです!今回ご紹介するのは、ハーバード大学心理学博士エレン・ランガー教授による年齢と心の持ちようとの関係についての研究のお話。環境や意識次第で、身体も脳も若返るという素敵なお話です。ランガー教授の有名な「反時計回り実験」を中心にご紹介します。

 

 

「反時計回り実験」:老人が驚きの若返り! 

1981年秋、ニューハンプシャー州のとある町で70代の年配の被験者8名は、まるでタイムスリップしたかのような22年前の内装に作り込まれた建物で5日間共同生活しました。そこは内装のみならず、白黒テレビで1959年当時流行っていたテレビ番組を流したり、当時の人気歌手の歌声が昔風のラジオから流れている、といった大がかりなセッティング。本棚の書籍や置いてある雑誌も全て1959年のものにするというこだわり様。

 

 

被験者には、実験の前にランガー教授から以下の指示がありました。

  •  昔話をするのはOKだが、ただ漫然と懐古にふけるのではなく、22年前の自分になりきるよう心理的努力をすること。
  • 当時の出来事や映画の批評、時事ネタなどについて全て「現在形で」語り合うこと。
  • 現在の自分が映ってしまう「鏡」や現代風な衣類は一切NG。
  •  22年前以前の自分や家族などの写真のみ飾る。現在の写真は持ち込まない。

 

この実験の結果、70代の被験者たちに次のような若返り効果が報告されています。

  •  手先の器用さが向上
  •  柔軟性向上
  • 姿勢が良くなった
  • 視力が向上
  • 見た目が若くなった

 

その後、英国のテレビ局のBBCをはじめ、オランダや韓国のテレビでもこの実験が再現されており、同様の効果が見られました。ランガー教授曰く、「マインド(心)を若い頃にシフトしたことで、自ずと身体もそれについて行ったのです」。 

 

ランガー教授は、この「反時計回り実験」以外にも、心と身体との関係性を掘り下げた実験を多く行っています。以下、その一部をご紹介します。

  • 「ヘアサロン実験」
    27~83歳の女性の被験者47名にヘアサロンで髪型を変えてもらい、新しい髪型によって見た目が若返ったと自分で感じている被験者ほど血圧が下がっていた。
     
  • 「ホテルの掃除婦実験」
    自分が運動不足であると感じている84人のホテル掃除婦に対して、ランガー教授は「掃除婦がやっている作業は立派な運動であり、一般に推奨されているより多めの運動量である」と伝えた結果、そうしたことを伝えなかった掃除婦グループと比べて、体重は減少し、BMIやヒップ・ウエスト比などの数値が改善しました。つまり、同じ作業でもそれを運動と意識するかどうかで身体への効果が変わるということが示唆されています。
     
  • 「フライトシミュレータ実験」
    フライトシミュレータで本物の空軍の飛行服を着せてパイロットになりきってもらい限りなくリアルに操縦させた被験者グループAと、フライトシミュレータは故障しているので操縦席で操縦している真似だけするように言われた被験者グループBに対し、それぞれその飛行シミュレーション後に視力を測るテストを行った結果、グループAの方が視力テスト結果が40%優れていました。つまり、心の持ちようで体にとっての物理的な限界と思われていたような壁をも越えられる可能性が示唆されています。

 

 

「病は気から」と昔から言われています。薬のプラシーボ効果、つまり、偽の薬であっても、それが効果がある本物の薬と思い込んで使用すると、実際に効果が出る、ということは医薬の世界では常識。その具体的な仕組みはまだ解明されていませんが、心と身体は相互に関連し合っているということは紛れもない事実なのです。エレン・ランガー教授の目標は、「人間が心身共に健康であり、各々のパフォーマンス向上が実現できるようになること」だそうです。長年の研究を通じて分かったことは、日々の習慣化された日常をただ漫然と過ごすのではなく、家族や身の回りの現象や変化に意識を傾けること、つまり「マインドフルネス」をもって生きることによって、人はよりハツラツとして、パフォーマンスを向上できる、ということ。現代人は医薬品といった「モノ」の効果については過信し、「心」の重要性について軽視しがち。ランガー教授の研究結果を通じて、我々も改めて心の重要性について意識をし、日々の生活に生かしたい、と考えさせられます。
 

 

 

 

コメント

コメントを追加