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フッ化物(フッ素)入りの歯磨き粉って実際どうなの?
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フッ化物(フッ素)入りの歯磨き粉って実際どうなの?

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・水道水にも歯磨き粉にも含まれているフッ化物とは?
・議論が繰り返されているフッ化物の健康リスク
・注意が必要な高濃度のフッ化物が含まれた製品
・フッ化物を含まない歯磨き粉の選択肢

 

 

そもそもフッ化物って何?

自然界に存在する元素のひとつであるフッ素が含まれた化合物がフッ化物。このフッ化物は、空気や土壌、植物、岩石、水や海水など自然界に広く微量に含まれ、土壌からフッ化物を吸収した食品、特に茶葉など、もあると言われています[#]“Assessment of Fluoride Concentration and Daily Intake by Human from Tea and Herbal Infusions.” 2008. Food and Chemical Toxicology: An International Journal Published for the British Industrial Biological Research Association 46 (3): 1055–61. 。良く耳にするのが、水道水に添加されたフッ化物。日本では実施されてはいませんが、アメリカの多くの都市やイギリス、オーストラリアをはじめ多くの国(約3億7,000万人)で水道水にフッ化物を意図的に添加する「水道水フロリデーション」が実施されています。もともとは市民の歯の健康のための政策ではありましたが、フッ化物を含んだ水を飲むことの健康への悪影響について多くの専門家が警鐘を鳴らしています。

 

 

フッ化物がもたらす虫歯の予防

歯にはミネラルが豊富に含まれています。その歯の外層部のエナメル質を溶解、損傷する可能性のある有機酸を生成する細菌が虫歯の原因となります。エナメル質が溶解された状態が「脱灰」、エナメル質を修復する状態が「再石灰化」と呼ばれ、口の中ではこの状態が繰り返えされ「脱灰」が続くと虫歯になります。この「脱灰」を抑制し「再石灰化」を促進、有機酸の発生を減少させる働きを持つのがフッ化物[#]Featherstone, J. D. 1999. “Prevention and Reversal of Dental Caries: Role of Low Level Fluoride.” Community Dentistry and Oral Epidemiology 27 (1). https://doi.org/10.1111/j.1600-0528.1999.tb01989.x.  [#]Hicks, J., F. Garcia-Godoy, and C. Flaitz. 2004. “Biological Factors in Dental Caries: Role of Remineralization and Fluoride in the Dynamic Process of Demineralization and Remineralization (part 3).” The Journal of Clinical Pediatric Dentistry 28 (3). https://doi.org/10.17796/jcpd.28.3.w0610427l746j34n.  [#]Marquis, R. E. 1995. “Antimicrobial Actions of Fluoride for Oral Bacteria.” Canadian Journal of Microbiology 41 (11). https://doi.org/10.1139/m95-133. 。虫歯予防に有効な成分として歯磨き粉などに添加されています。虫歯予防を理由に海外では「水道水フロリデーション」が実施され、虫歯予防の効果があったという報告もあります。しかし、ヨーロッパ諸国や実施国の中でも地域によってはこの「水道水フロリデーション」を敢えて行っていない、もしくは反対しているケースもあり各国、各地域で議論が続いています。

 

 

議論が繰り返されているフッ化物の発ガンリスク

では、虫歯予防効果があるとされるフッ化物がなぜ国や地域によって規制されたり反対されたりしているのでしょうか?それは、1991年に行われたラットでの研究により、フッ化物の発ガン性が指摘されたことに起因します[#]“[Results and conclusions of the national toxicology program's rodent carcinogenicity studies with sodium fluoride].” n.d. Accessed September 2, 2020. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ijc.2910480517. 。しかし、この研究で投与されたフッ化物の量は、一般的な水道水に含まれるフッ化物の量よりはるかに高かったことや、その後の研究で、フッ化物と発ガンの関連性はほとんどないとするものが発表されるなど、まだまだ論争は続いています。

また、フッ化物の過剰摂取により骨の構造が変化し靭帯が石灰化する骨のフッ素症という疾患もあります。これは水中のフッ化物濃度が1ppm以上である地域で発症が多くなる傾向にあります。よって、ほとんどの地域ではフッ化物濃度を0.7ppm程度を目安としています。また、過度のフッ素の影響で歯に色素沈着が生じたり欠けやすくなったりする弊害も[#]“Fluorosis: Symptoms, Causes, and Treatments.” n.d. Accessed September 2, 2020. https://www.webmd.com/children/fluorosis-symptoms-causes-treatments. 。量次第では体にリスクが生じる可能性があるというわけです。

 

歯磨き粉に含まれるフッ化物

市販の歯磨き粉のフッ化物配合率は世界中で90%と言われており、ほとんどの歯磨き粉にフッ化物が入っていることがわかります[#]“フッ化物配合歯磨剤.” n.d. Accessed September 2, 2020. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-007.html. 。しかし、ある研究では、フッ化物は虫歯予防には確かに有益ではあるものの、高濃度のフッ化物の摂取は有毒で、高レベルのフッ化物を含んだ製品の使用には注意が必要だということが示されています[#]Kanduti, Domen, Petra Sterbenk, and Barbara Artnik. 2016. “FLUORIDE: A REVIEW OF USE AND EFFECTS ON HEALTH.” Materia Socio-Medica 28 (2): 133. 。フッ化物は、空気中や水、食事など、生活環境に自然に含まれているため、正確な摂取量は生活環境によって個人差があり計測も困難ですが、ある研究によると副作用を引き起こすことなく虫歯を最大限に減らすことができるフッ化物の適正摂取量は、19歳以上の男性で1日に4mg、女性で1日に3mgとされています[#]Kanduti, Domen, Petra Sterbenk, and Barbara Artnik. 2016. “FLUORIDE: A REVIEW OF USE AND EFFECTS ON HEALTH.” Materia Socio-Medica 28 (2): 133. 。日本の場合、食品による摂取量が1日に0.4mg~1.8㎎、水道水による摂取量が1.6mg~3.0mg。市販のミネラルウォーターにもフッ化物は含まれています[#]“Recommendations for Using Fluoride to Prevent and Control Dental Caries in the United States.” 2001. August 17, 2001. https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5014a1.htm.

また、歯磨き粉の種類によってフッ化物の量は変わってきますが、日本のフッ化物イオン濃度の上限が1,000ppmから1,500ppmに変更されたことによって[#]“[フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方 ].” n.d. Accessed September 2, 2020. http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/file/statement/201803_fluoride.pdf. 、より高濃度の製品が販売されるようになっています。ある研究では、フッ化物を含まない歯磨き粉より、1000〜1250 ppmの濃度の歯磨き粉の方が虫歯の予防効果が増加、1450〜1500 ppmの濃度になると更に予防効果が増加することが分かっています[#]Walsh, Tanya, Helen V. Worthington, Anne‐marie Glenny, Valeria C. C. Marinho, Ana Jeroncic, and Cochrane Oral Health Group. 2019. “Fluoride Toothpastes of Different Concentrations for Preventing Dental Caries.” Cochrane Database of Systematic Reviews 2019 (3). https://doi.org/10.1002/14651858.CD007868.pub3. 。フッ化物は、口腔内での吸収は非常に低いため[#]“Estimation of Daily Fluoride Intake of Infants Using the Microdiffusion Method.” 2019. Journal of Dental Sciences 14 (1): 1–6 、飲み込んだりしない限り歯磨き粉やマウスウォッシュから摂取する確率は低いと言われています。ここで特に気を付けたいのは子供が歯磨き粉を飲み込んでしまうこと。甘い味の歯磨き粉をお菓子と間違えて子供が食べてしまうと、発育中の歯や骨に弊害をもたらすかもしれないので注意が必要です。

 

 

 

フッ化物を含まない歯磨き粉の選択肢

フッ化物を含んだ歯磨き粉は通常に使用している限りは安全のようですが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は「少量のフッ化物の摂取」でも悪影響の可能性があるとしており、潜在的な健康リスクの可能性のある物質です。そういった物質を口の中に入れるだけでも嫌悪感を持つ人もいるのではないでしょうか?また、歯磨き粉には、フッ化物以外にも抗菌剤のトリクロサンや防腐剤のパラベンなどの健康リスクが伴う可能性のある化学物質が含まれている物も[関連記事:知らないと怖い!薬用石けんなどに含まれるトリクロサンの危険性]。これらの物質を避けたい人にはフッ化物フリーの歯磨き粉を使用する選択肢もあります。このオーガニックな歯磨き粉はペースト状ではなく本当に粉なので、健康を害する防腐剤を添加する必要がないのです。研磨作用があると言われている炭酸カルシウム[#]Endoh, Mami, Atsushi Takayanagi, Masatsugu Fujiseki, Yukio Eda, Morihide Itano, and Yoshitaka Yano. 2019. “Effects of Toothpaste Containing Granular Calcium Carbonate on Oral Health.” Journal of International Oral Health 11 (5): 249. やシリカ[#]“Instant tooth whitening from a silica toothpaste containing blue covarine” n.d. Accessed September 2, 2020. https://www.researchgate.net/publication/51420195_Instant_tooth_whitenin...(ANCOVA)%20showed,overall%20whiter%20immediately%20after%20brushing. が使用されており、様々な薬効のあるハーブも含まれています。

 

まとめ~フッ化物(フッ素)入りの歯磨き粉って実際どうなの?~

特にあまり気にせずなんとなく大手のブランドのものを購入してしまいがちな歯磨き粉は、意図的に体内に取り入れることがないにしろ毎日口の中に入れる物質です。ほとんどの市販の歯磨き粉に含まれるフッ化物は虫歯予防効果は確かにありますが、特に小さな子供のいる家庭だと間違えて食べてしまうリスクもあります。フッ化物の大量摂取による健康への害が気になる人は、フッ化物フリーの製品も考慮しつつ歯にも健康にも良い製品選びをしてみてください。

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