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カロリー制限が最低なダイエット法である理由。
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カロリー制限が最低なダイエット法である理由。

geefee ポイント geefee ポイント

・最も注意すべきカロリー制限による基礎代謝の低下
・骨の劣化や免疫力の低下などの健康リスクも
・健康を意識するならカロリー計算ではなく糖質計算を。

 

一般に、ダイエットと言えばカロリー制限を連想します。体重が気になり始めている人のほとんどがなんとなく食事のカロリーを減らすようにしているのではないでしょうか?確かに、消費するカロリー以下しか摂取しなければ、体重は増えようがない、というのは理にかなっているように見えます。しかし、闇雲にただ単純にカロリーだけを抑えた生活を続けることは、ダイエット法としては健康面からも美しい痩せ方という観点からもマイナス面が多いのです。今回は、ダイエットにはカロリー制限しかない、と思い込んでいる人に是非読んでもらいたい、カロリー制限をすることで体に起こる悪影響についての記事です。

 

そもそもカロリーって何?

呼吸から身体活動まで私たちの体が正常に機能するためにはエネルギーが必要です。このエネルギー量を測定する単位がカロリー(Cal)。エネルギーが十分に消費されずに余ると、体に体脂肪として貯蓄され体重増加につながります[#]“Understanding Calories.” n.d. Accessed November 8, 2021. https://www.nhs.uk/live-well/healthy-weight/understanding-calories/. 。よくジムのランニングマシンなどでビール一杯分のカロリーを消費するために走らなければいけない距離が表示されていたりしますが、食べ過ぎてしまった翌日はジムでより多くの時間を費やすといったように、エネルギー消費<摂取したカロリーを目安に身体活動に励んでいる人も多いと思います。しかし、カロリーの消費だけに注視していると、健康へ悪影響を与える可能性と美しい身体からは程遠い結果になることも。4つの可能性をピックアップしてみました。

 

基礎代謝が低下する

人が生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギー量である基礎代謝。肝臓や脳や筋肉などで消費されているエネルギーで、個人差はありますが、1日で男性で約1,500kcal、女性で約1,200kcalと言われています[#]“Energy and Protein Requirements.” n.d. Accessed November 8, 2021. https://www.fao.org/3/AA040E/AA040E04.htm. 。要は、何もしなくてもこの基礎代謝によりエネルギーは消費されているため、当然、基礎代謝量が多い人はより多くのカロリーを消費していることになります。運動していなくても痩せている人って結構いますよね。これは、この基礎代謝率が高いことが理由の1つでもあります。カロリー制限をすることで体重は減少するかもしれませんが、カロリー制限ダイエットを実践する前と後の代謝率を観察したある研究では、実践後の方が前よりも代謝率が低くなったという結果が報告されています[#]Busch, Sandi. 2010. “Do Low-Calorie Diets Slow Down Metabolism?” September 15, 2010. https://www.livestrong.com/article/244490-do-low-calorie-diets-slow-down.... 。身体は、少ないカロリーでも生きていけるように代謝量を低く抑えてしまうのです。これは長期的なスパンではなく、たった4日間のカロリー制限でも起こりうる話[#]“SAGE Journals: Your Gateway to World-Class Research Journals.” n.d. Accessed November 8, 2021. https://journals.sagepub.com/action/cookieAbsent. 。一時的に体重が減少したとしても、カロリー制限を辞めた次の4日間にカロリーを気にしない食事をするだけで、基礎代謝量が低下してしまっている分、減少した体重が戻るもしくはそれ以上になってしまうのです。また、この代謝率が低下した状態は長期間持続される可能性もあります[#]Michael Rosenbaum, Rudolph L. Leibel. 2010. “Adaptive Thermogenesis in Humans.” International Journal of Obesity 34 (0 1): S47. “SAGE Journals: Your Gateway to World-Class Research Journals.” n.d. Accessed November 8, 2021. https://journals.sagepub.com/action/cookieAbsent. 。リバウンドという言葉をよく耳にしますが、これは代謝率の低下も大きく関連しています。

 

骨の劣化

カロリーが制限されると女性ホルモンのエストロゲンと男性ホルモンのテストステロンレベルが減少する傾向があります[#]Cangemi, Roberto, Alberto J. Friedmann, John O. Holloszy, and Luigi Fontana. 2010. “Long-Term Effects of Calorie Restriction on Serum Sex Hormone Concentrations in Men.” Aging Cell 9 (2): 236. r[#]Słuczanowska-Głąbowska, Sylwia, Maria Laszczyńska, Katarzyna Piotrowska, Marta Grabowska, Katarzyna Grymuła, and Mariusz Z. Ratajczak. 2015. “Caloric Restriction Increases Ratio of Estrogen to Androgen Receptors Expression in Murine Ovaries - Potential Therapeutic Implications.” Journal of Ovarian Research 8. https://doi.org/10.1186/s13048-015-0185-8. 。これらのホルモンは、骨や筋肉を生成するのには必要不可欠です[#]Manolagas, Stavros C., Charles A. O’Brien, and Maria Almeida. 2013. “The Role of Estrogen and Androgen Receptors in Bone Health and Disease.” Nature Reviews. Endocrinology 9 (12): 699. 。また、カロリー制限と以前の記事でもお伝えしたストレスホルモンのコルチゾールが上昇する運動の組み合わせにより、骨密度に悪影響を与える可能性も指摘されています[#]Fuqua, J. S., and A. D. Rogol. 2013. “Neuroendocrine Alterations in the Exercising Human: Implications for Energy Homeostasis.” Metabolism: Clinical and Experimental 62 (7). https://doi.org/10.1016/j.metabol.2013.01.016. 。高コルチゾールは骨粗鬆症の原因の1つとも言われています。食事でもカロリーを制限し、更に運動でカロリーの消費を行うことで、ホルモンバランスにはダブルパンチ。骨の健康にはマイナスとなる可能性があるので注意しましょう。

もちろん骨の形成に必要な栄養素のカルシウムやビタミンDなどの不足によって骨の維持や成長が阻害され骨粗鬆症や骨折のリスクが上昇する可能性も覚えておく必要があります[#]Veronese, N., and J. Y. Reginster. 2019. “The Effects of Calorie Restriction, Intermittent Fasting and Vegetarian Diets on Bone Health.” Aging Clinical and Experimental Research 31 (6). https://doi.org/10.1007/s40520-019-01174-x.

 


 

 

免疫力の低下

疲れていると免疫力が下がると言われていますが、カロリー制限をしている最中に過度な運動をすると免疫力が特に下がる可能性が示唆されています[#]Hagmar, M., A. L. Hirschberg, L. Berglund, and B. Berglund. 2008. “Special Attention to the Weight-Control Strategies Employed by Olympic Athletes Striving for Leanness Is Required.” Clinical Journal of Sport Medicine: Official Journal of the Canadian Academy of Sport Medicine 18 (1). https://doi.org/10.1097/JSM.0b013e31804c77bd. r[#]Tsai, M. L., K. M. Chou, C. K. Chang, and S. H. Fang. 2011. “Changes of Mucosal Immunity and Antioxidation Activity in Elite Male Taiwanese Taekwondo Athletes Associated with Intensive Training and Rapid Weight Loss.” British Journal of Sports Medicine 45 (9). https://doi.org/10.1136/bjsm.2009.062497. 。これにより、風邪などのウイルス感染のリスクが高まります。十分なカロリーを消費せずに過度な運動をすることで急激な体重減少は期待できますが、病気への防備がおろそかになりますので注意しましょう。

 

受胎に悪影響

排卵にはエストロゲンと黄体形成ホルモンレベルの増加が必要ですが、黄体形成ホルモンは女性の食事のカロリー数とも関連性があることが研究で報告されています[#] Loucks, A. B., M. Verdun, and E. M. Heath. 1998. “Low Energy Availability, Not Stress of Exercise, Alters LH Pulsatility in Exercising Women.” Journal of Applied Physiology 84 (1). https://doi.org/10.1152/jappl.1998.84.1.37.  [#]Loucks, A. B., and J. R. Thuma. 2003. “Luteinizing Hormone Pulsatility Is Disrupted at a Threshold of Energy Availability in Regularly Menstruating Women.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 88 (1). https://doi.org/10.1210/jc.2002-020369. 。また、カロリー不足は骨や心臓の健康にも悪影響を与えエストロゲンレベルを低下させる可能性も[#]De Souza, M. J., S. L. West, S. A. Jamal, G. A. Hawker, C. M. Gundberg, and N. I. Williams. 2008. “The Presence of Both an Energy Deficiency and Estrogen Deficiency Exacerbate Alterations of Bone Metabolism in Exercising Women.” Bone 43 (1). https://doi.org/10.1016/j.bone.2008.03.013.  [#]O’Donnell, E., P. J. Harvey, J. M. Goodman, and M. J. De Souza. 2007. “Long-Term Estrogen Deficiency Lowers Regional Blood Flow, Resting Systolic Blood Pressure, and Heart Rate in Exercising Premenopausal Women.” American Journal of Physiology. Endocrinology and Metabolism 292 (5). https://doi.org/10.1152/ajpendo.00547.2006.  [#]Rickenlund, A., M. J. Eriksson, K. Schenck-Gustafsson, and A. L. Hirschberg. 2005. “Amenorrhea in Female Athletes Is Associated with Endothelial Dysfunction and Unfavorable Lipid Profile.” The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 90 (3). https://doi.org/10.1210/jc.2004-1286. 。個々が体重を維持するために必要なカロリーよりも22~42%少ないカロリー摂取により生殖機能が抑制されるというデータもありますので[#]Williams, N. I., H. J. Leidy, B. R. Hill, J. L. Lieberman, R. S. Legro, and M. J. De Souza. 2015. “Magnitude of Daily Energy Deficit Predicts Frequency but Not Severity of Menstrual Disturbances Associated with Exercise and Caloric Restriction.” American Journal of Physiology. Endocrinology and Metabolism 308 (1). https://doi.org/10.1152/ajpendo.00386.2013. 、心当たりがある人は要注意。

ちなみに、これは女性だけに当てはまる話ではありません。研究では、カロリー制限により男性のホルモンバランスに変化が現れ、精子頭部の欠陥を誘発するなどの精子の質が低下の可能性が示唆されています[#]Martins, Ana D., Ivana Jarak, Tiago Morais, Rui A. Carvalho, Pedro F. Oliveira, Mariana P. Monteiro, and Marco G. Alves. 2020. “Caloric Restriction Alters the Hormonal Profile and Testicular Metabolome, Resulting in Alterations of Sperm Head Morphology.” American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, January. https://doi.org/10.1152/ajpendo.00355.2019. 。特に、子作りをしているのであれば、カロリー制限は多少なりとも受胎に支障が起こる可能性があるのです。

 

ではどうする?意識すべきはカロリーではなく糖質。

カロリー計算やカロリーを見比べて食事を選ぶのって結構ストレス。そうではなく、糖質に着目し、糖質だけを極力減らすことにチャレンジしてみては?そもそもグリセミック指数(GI)が高い米や小麦粉などの炭水化物(糖質)は、消化と吸収が早く血糖値が急上昇し、数時間後には血糖値が急降下。結果的に間食などを誘発し、気が付けば1日の総カロリー数も増加してしまう可能性が。また、肉などの高脂質の食事には、豊富なタンパク質も含まれています。タンパク質は食欲ホルモンであるグレリンの分泌を減少させ、研究では、タンパク質の量を増やすことでカロリー計算することなく体重が減少したという結果も[#] Skov, A. R., S. Toubro, B. Rønn, L. Holm, and A. Astrup. 1999. “Randomized Trial on Protein vs Carbohydrate in Ad Libitum Fat Reduced Diet for the Treatment of Obesity.” International Journal of Obesity and Related Metabolic Disorders: Journal of the International Association for the Study of Obesity 23 (5). https://doi.org/10.1038/sj.ijo.0800867.  [#]Claessens, M., M. A. van Baak, S. Monsheimer, and W. H. Saris. 2009. “The Effect of a Low-Fat, High-Protein or High-Carbohydrate Ad Libitum Diet on Weight Loss Maintenance and Metabolic Risk Factors.” International Journal of Obesity 33 (3). https://doi.org/10.1038/ijo.2008.278. 。糖質制限をすることで、体は早い段階で糖をエネルギーとして使い切り、脂肪燃焼モードに入ります。わざわざカロリー計算をしながら食事をするより、糖質量だけを管理する方が断然簡単。減量効果やその他様々な恩恵が得られるのです[関連記事:劇的な効果があると話題のケトジェニックダイエットがもたらす体の変化と注意点]。糖質制限をすることによる健康への良い効果は何度もgeefeeで特集していますので過去記事を参考にしてくださいね。

 


 

 

低カロリーの加工食品は絶対にダメ。

低カロリーダイエットなどを実践している人が思わず目がいってしまうのは、食品のパッケージに表示されているKcal数。表示されている数字が低ければ他には目もくれず購入してしまう人も多いことでしょう。しかし、低カロリーの加工食品は、物凄く多くの種類の食品添加物が含まれています。例えば、この100kcal表示の商品には、

 

ソテーオニオン(たまねぎ(国産))、難消化性デキストリン、炙り鶏(鶏肉、食塩、植物油脂、砂糖)、でんぷん、卵白、砂糖、しょうゆ、卵黄、チキンブイヨン、植物油脂、粉末かつおだし、チキンエキス、粉末卵白、かつお風味エキス/増粘剤(加工デンプン)、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、リン酸塩(Na)、カラメル色素、リンゴ抽出物、カロチン色素、(一部に小麦・卵・大豆・鶏肉・りんごを含む)

 

が含まれます。ご覧の通り、食品添加物がかなり多く並んでいます。カロリーだけの側面だけで見ると確かに一時的には減量するかもしれませんが、食品添加物の摂取過多は肥満や2型糖尿病などさまざまな健康リスクにつながりますので、できるだけ食べないべきなのです[関連記事:原材料表をチェック!加工食品によく使用される健康を害する添加物ワースト5]。

 

ダイエットコーラなどのダイエット飲料も同様。

 

原材料:カラメル色素、酸味料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)、香料、カフェイン

 

 

砂糖まみれのコーラに比べるとカロリーゼロだからいいだろう、と思っていませんか?でも、結果的に体に悪影響を与える人工甘味料を中心とした添加物を摂取することになります。
 

 

まとめ~カロリー制限が最低なダイエット法である理由。~
昼食は菓子パン。夜はサラダだけ。たまに低カロリーのダイエット食品を食べてなんとかがんばってカロリーを抑えて体重が減少したとしても、それを一生続けるわけにはいきません。結局、基礎代謝が低下して、太りやすい体質になってしまうのです。これではリバウンドするのはあきらかです。また、筋肉だけが落ちて体重が減るのでは美容にはかえってマイナス。体重だけの問題であれば、まだ良いのですが、栄養素をしっかり摂取できないカロリー制限は、免疫料の低下などにつながり、体に大きな負担となります。どうせ制限するのであれば、食べる全体量を気にせずにできるし健康効果も期待できる糖質制限を視野に入れ実践してみるのがgeefee流です。
 

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