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何事もやり過ぎはよくない?寝過ぎによる健康への悪影響とは。
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何事もやり過ぎはよくない?寝過ぎによる健康への悪影響とは。

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・長時間の睡眠による血糖コントロールと肥満、脳機能の低下、うつ病の悪化、心血管系に悪影響などさまざまな健康への悪影響
・健康リスクがU字型の睡眠不足と寝過ぎを回避するベストな睡眠時間とは?

 

外出も控えぎみ、在宅ワークで出勤時間が削られた、などの理由で、いつも以上に睡眠時間が取れる環境にある人が多いのでは。睡眠不足による健康への悪影響は周知の通りですが、かといって過剰な睡眠時間が健康へどのような影響を与えるのかはあまり知られていません。厚生労働省によると推奨睡眠時間は年齢や個々によってさまざまなため、日中の活動に支障がないと実感できる睡眠時間が目安とされています。よって、何時間が寝過ぎかは人それぞれになりますが、必要以上の長い睡眠にはさまざまな健康への悪影響があると科学的に示されています。今回は、睡眠時間を多くとりがちな人の健康リスクを見ていきます。

 

寝過ぎによる健康への悪影響とは?

多くの専門家が推奨する睡眠時間はだいたい約7時間~9時間。9時間以上は過度の睡眠と一般に言われています[#]“Oversleeping: The Effects & Health Risks of Sleeping Too Much.” 2015. July 21, 2015. https://amerisleep.com/blog/oversleeping-the-health-effects/. 日本人の平均睡眠時間が成人で約7.5時間になりますが、10時間~12時間と睡眠を長く取る人もいます。短い睡眠時間や質の悪い睡眠は体に悪影響を与えるというのは以前の記事でも何度かお伝えしていますし周知のことと思いますが、逆に過度に長い睡眠も以下のような健康への悪影響が示唆されています。

 

血糖コントロールと肥満

20歳から65歳の肥満の成人1000人を対象にした研究では、3カ月間、睡眠時間が5時間未満、あるいは8時間以上の人の血糖コントロールが適切ではなかったことが報告されています。血糖コントロールが適切であった睡眠時間は7時間~8時間[#]Editor. 2019. “Too Much and Too Little Sleep Could Increase Type 2 Diabetes Risk.” June 12, 2019. https://www.diabetes.co.uk/news/2019/jun/too-much-and-too-little-sleep-c.... 。睡眠不足も過度な睡眠も、間接的に糖尿病のリスク要因になりえますので、十分に注意する必要があります。また、肥満と寝過ぎも関連性があります。ある研究によると、毎晩7時間~8時間の睡眠時間に比べて9時間~10時間の睡眠時間の人の方が6年間で肥満になる可能性が21%も上がるということが報告されています[#]Chaput, Jean-Philippe, Jean-Pierre Després, Claude Bouchard, and Angelo Tremblay. 2008. “The Association Between Sleep Duration and Weight Gain in Adults: A 6-Year Prospective Study from the Quebec Family Study.” Sleep 31 (4): 517.  [#]Physical Side Effects of Oversleeping. 2017. https://www.webmd.com/sleep-disorders/physical-side-effects-oversleeping. 。糖尿病と密接な関連性がある血糖コントロールの乱れと肥満。特に現在進行形でこれらの問題に悩んでいる人は、睡眠時間と向き合ってみることで改善されるかも。

 

脳機能の低下

4万人を対象とした睡眠時間と認知能力の関連性を観察した研究によると、過去1カ月に平均8時間以上の睡眠をとった人、及び7時間以下の睡眠の人のそれぞれに比べると、7時間~8時間の睡眠を取った人の方が、作業記憶や言語、推論、計画性などを含めた脳のパフォーマンスが良好であったことが報告されています[#]Wild, Conor J., Emily S. Nichols, Michael E. Battista, Bobby Stojanoski, and Adrian M. Owen. 2018. “Dissociable Effects of Self-Reported Daily Sleep Duration on High-Level Cognitive Abilities.” Sleep 41 (12). https://doi.org/10.1093/sleep/zsy182. 。4時間以下の睡眠時間の人に関しては、脳年齢が8歳老化したというデータも。これは成人の人に年齢を問わず等しい結果だったということです。また、別の研究では、9年間4時間以下及び10時間以上の睡眠を取った人の認知機能が著しく低下したことが分かっています[#]News. 2020. “Oversleeping Is as Harmful as Sleep Deprivation, Reveals Study.” News18. September 25, 2020. https://www.news18.com/news/lifestyle/oversleeping-is-as-harmful-as-slee.... 。たまたまちょっと寝すぎちゃった後、1日頭が冴えなかったことは誰もが経験していることでしょう。でも、こういった長時間睡眠が毎日続くことで認知機能の低下につながる可能性もあるので注意が必要です。

 


 

 

うつ病の悪化

長時間の睡眠がうつ病の原因、もしくはうつ病患者が長時間の睡眠をとる傾向にあるといったように、睡眠とうつ病には関連性があります。ある研究では9割近くのうつ病患者が何らかしらの睡眠障害を患っているというデータも[#]Insomnia and hypersomnia in major depressive episode: Prevalence, sociodemographic characteristics and psychiatric comorbidity in a population-based study 。また、8時間以上寝ているうつ病患者は、8時間以下の人に比べてその症状が悪化する可能性も指摘されています[#]Léger, Damien, François Beck, Jean-Baptiste Richard, Fabien Sauvet, and Brice Faraut. 2014. “The Risks of Sleeping ‘Too Much’. Survey of a National Representative Sample of 24671 Adults (INPES Health Barometer).” PloS One 9 (9). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0106950. 。より多く寝ることは、社会的活動からも距離を置くことを助長し、人との接点が減ることにつながるため、特に、うつ病患者やうつ気味の人は、ちょっと辛くても睡眠時間の改善を心掛けるようにしましょう。

 

心血管系に悪影響

35歳から70歳までの10万人以上を対象とした大規模な研究によると、8年間の研究対象期間中、定期的に9時間~10時間の睡眠をとった人が17%、10時間以上の睡眠をとった人の41%が心血管系の疾患を発症、もしくは心血管系関連によって早期死亡するリスクが高くなったというデータが報告されています[#]“Finding the Sweet Spot of Sleep for Heart Health.” n.d. Accessed August 25, 2021. https://healthsci.mcmaster.ca/news-events/news/news- 。これは慢性的な長時間睡眠が心臓病や脳卒中などの心血管系に悪影響を与える可能性があることを示しています。また、夜の長時間睡眠に加えて昼寝をする人にもこれらのリスクが該当する可能性も指摘されているため、毎日寝過ぎにも関わらず昼寝をしてしまう傾向のある人は要注意。でも寝不足を昼寝でカバーするのは特に問題となることはないようです。

 


 

 

まとめ~何事もやり過ぎはよくない?寝過ぎによる健康への悪影響とは。~

睡眠時間は毎日の習慣なので、4時間くらいの短い睡眠、あるいは10時間くらいの長い睡眠に慣れてしまっている人は、少々違和感や不調を感じながらも1日を乗り切れてしまいますが、実際には体が悲鳴を上げている可能性もあります。睡眠不足と寝過ぎはグラフにするとU字型でどちらも健康リスクが伴う可能性があるので、早いうちに改善する方が得策です。専門家が推奨する睡眠時間は7から8時間。快適な睡眠を実践したい方は、こちらの記事をご参考に。

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