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アレルギー症状の原因となるヒスタミンの影響を緩和する方法
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アレルギー症状の原因となるヒスタミンの影響を緩和する方法

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・ヒスタミンって何だっけ?
・ヒスタミンが多い食材リスト
・ヒスタミンに対抗するための5つの食材
・腸内細菌は両刃の剣
 

 

アレルゲンを体内から追い出す免疫反応でマスト細胞から体内で放出されるヒスタミン。そのヒスタミンによって痒みやむくみ、痛みなど、アレルギー症状が起きます。このヒスタミン、アレルギー反応がなくてもヒスタミンが多く含まれる食べ物やヒスタミンの発生を助長する食べ物を多く摂取すると、アレルギーと同じような症状が起きてしまう可能性があります。

【関連記事】「ヒスタミンを摂取しすぎるとアレルギーのような反応が?さまざまなヒスタミン対策を伝授!

通常は、ヒスタミン分解酵素が体質的に不足しているごく少数の人でない限りはこのような食べ物を口にしても消化の過程でヒスタミンが分解され、問題はないと言われています。また、血中に入った場合でも本来肝臓が分解してくれます。しかし、花粉シーズンなど、アレルギー反応を起こしている最中の体などの場合、こうしたヒスタミン分解機能が充分に働かないことも考えられ、普段平気な食材に反応してしまうことも。

「捨てる神あれば拾う神あり」と言いますが、このヒスタミンの害を緩和する食材もあります。今回は、食事面からのヒスタミン対策についてお伝えします。

 

ヒスタミンの多い食材は?

まずは、どのような食材にヒスタミンが多く含まれているかを見ていきましょう。ただし、体質的にヒスタミン分解酵素が不足する人など特殊なケースを除き、これらの食材を全部避けなければならない、というわけではありません。

  • チーズ・ヨーグルト・サワークリームなどの発酵乳製品
  • サワークラウトキムチ、ぬか漬けなどの発酵野菜
  • ピクルスや酢漬けの野菜
  • コンブチャ(いわゆる紅茶キノコ
  • ソーセージやサラミ、生ハムなど、塩漬け肉製品や燻製肉製品
  • ワインやビールなどの醸造酒
  • テンペ、醤油、納豆、味噌などの発酵大豆製品
  • サワードウで作ったパンなどの発酵穀物製品
  • トマト、ナス、ほうれん草、アボカド
  • 冷凍の魚、塩漬けの魚、イワシやツナなどの缶詰の魚、鮮度の低い魚介類
  • 醸造酢

 

一般論として、発酵食品はヒスタミンレベルが高く、生鮮食品は低レベルです。食品中のヒスタミン濃度の定量化は難しく、例えばチェダーチーズのように同じ食品であっても、熟成期間や貯蔵時間、また添加物の有無などで変化する可能性があります。また、キムチなどの発酵食品は具体的にどのような種類の乳酸菌が多く含まれるかによってヒスタミン量が変わりますので、すべてが高ヒスタミンというわけではありません。発酵大豆製品は日本人として気になるところですが、ダントツにヒスタミンが多いのは醤油で、味噌や納豆はその数十分の一のヒスタミン量と言われます。

 

ヒスタミンの影響を緩和する5つの食材

 

  1. クレソン

    アブラナ科で、別名オランダガラシという名前の由来通り少し辛味があり、極めて栄養価の高い野菜として知られています。研究により、クレソンにはマスト細胞から放出されたヒスタミンを60%減少させる作用があることが報告されています[#]Goda, Hoshino K, Akiyama H, Ishikawa T, Abe Y, Nakamura T, Otsuka H, Takeda Y, Tanimura A, Toyoda M, “Constituents in watercress: inhibitors of histamine release from RBL-2H3 cells induced by antigen stimulation”, Biol Pharm Bull. 1999 Dec;22(12):1319-26.

    watercress

  2. タマネギ

    栄養価が高く、重要なプレバイオティクスであるタマネギ。血漿中のヒスタミン放出を抑え、マスト細胞を安定させ、さらには細胞外でもヒスタミンレベルを下げることが分かっています[#]P. Kaiser, M.S. Youssouf, S.A. Tasduq, S. Singh, S.C. Sharma, G.D. Singh, V.K. Gupta, B.D. Gupta, and R.K. Johri, Anti-Allergic Effects of Herbal Product from Allium Cepa (Bulb), Journal of Medicinal Food. April 2009, 12(2): 374-382. 。また、ラットの研究では、タマネギに含まれる抗酸化物質であるケルセチンに抗ヒスタミン作用があることが分かっています[#]Hattori M, Et al. n.d. “Quercetin Inhibits Transcriptional up-Regulation of Histamine H1 Receptor via Suppressing Protein Kinase C-δ/extracellular Signal-Regulated Kinase/... - PubMed - NCBI.” Accessed March 11, 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23333628.

    onion
     

  3. ニンニク

    タマネギと同様に、栄養価が高いニンニクは、抗酸化物質が多く含まれるプレバイオティクスです。マスト細胞からのヒスタミン遊離を抑える効果が報告されています[#]Hogberg, Bertil. “Inhibitory action of allicin on degranulation of mast cells produced by compound 48/80, histamine liberator from ascaris, lecithinase A, and antigen.” Acta Physiologica Scandinavica 44.2 (1958): 157-162.  [#]Arreola, Rodrigo, Saray Quintero-Fabián, Rocío Ivette López-Roa, Enrique Octavio Flores-Gutiérrez, Juan Pablo Reyes-Grajeda, Lucrecia Carrera-Quintanar, and Daniel Ortuño-Sahagún. 2015. “Immunomodulation and Anti-Inflammatory Effects of Garlic Compounds.” Journal of Immunology Research 2015. https://doi.org/10.1155/2015/401630. 。ただ、ニンニク自体にアレルギー反応を示す人もいますので注意が必要[#]Arreola, Rodrigo, Saray Quintero-Fabián, Rocío Ivette López-Roa, Enrique Octavio Flores-Gutiérrez, Juan Pablo Reyes-Grajeda, Lucrecia Carrera-Quintanar, and Daniel Ortuño-Sahagún. 2015. “Immunomodulation and Anti-Inflammatory Effects of Garlic Compounds.” Journal of Immunology Research 2015. https://doi.org/10.1155/2015/401630.

    garlic
     

  4. モリンガ

    90種類以上の栄養素を含むスーパーフードであるモリンガは、放出されるヒスタミンの72%を阻害するとの研究結果が報告されています[#]Mehta, Anita, and Babita Agrawal. “Investigation into the mechanism of action of Moringa oleifera for its anti-asthmatic activity.” Oriental Pharmacy and Experimental Medicine 8.1 (2008): 24-31.

    【関連記事】「アーユルヴェーダのスーパーフード、モリンガは栄養素の宝石箱。

    moringa
     

  5. 生姜

    古代より、さまざまな薬として使われていました。生姜の持つフェノール成分がマスト細胞の安定剤として作用することが分かっています[#]Chen, Bing-Hung, et al. “Antiallergic potential on RBL-2H3 cells of some phenolic constituents of Zingiber Officinale (Ginger).” Journal of natural products72.5 (2009): 950-953.

    【関連記事】「風邪対策時だけじゃない!?生姜に隠されたさまざまな健康効果とは?

    ginger
     

 

腸内細菌にはヒスタミンレベルを上げるものもあれば下げるものもある!?

腸内細菌にはヒスタミンレベルを上げるものもあれば下げるものもある!?
ヒスタミン量の多い食材リストには多くの発酵食品が含まれていますが、これは発酵の過程で乳酸菌などのいわゆる善玉菌の多くがヒスタミンを発生してしまうため。しかし、実は特定の種類の乳酸菌[#]“ScienceDirect.” n.d. Accessed March 11, 2019. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464614002345. やビフィズス菌(マウス研究)[#]S.Dev, H. Mizuguchi, A.K. Das, et al. (2008), Suppression of Histamine Signlaing by Probiotic Lac-B: a Possible Mechanism of Its Anti-Allergic Effect. Journal of Pharmacological Sciences, 107(2) 159-166. http://doi.org/10.1254/jphs.08028FP などの腸内細菌は、ヒスタミンを発生するのではなく、ヒスタミンを「食べて」くれる事が研究で分かっています。一概にすべての発酵食品が高ヒスタミン食とは言い切れない事情もここに原因があるのです。

プロビオティックスサプリを選ぶ際には、その製品に含まれる具体的な菌の学術名を見て、以下の抗ヒスタミン効果を得られることが期待できる菌が含まれているかをチェックしてみてください[#]ScienceDirect.” n.d. Accessed March 11, 2019. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464614002345.  [#]S.Dev, H. Mizuguchi, A.K. Das, et al. (2008), Suppression of Histamine Signlaing by Probiotic Lac-B: a Possible Mechanism of Its Anti-Allergic Effect. Journal of Pharmacological Sciences, 107(2) 159-166. http://doi.org/10.1254/jphs.08028FP

 

L. plantarum
L. paracasei
L. sakei
L. rhamnosus
P. acidilactici
B. infantis
B. longum 

 

花粉やハウスダストのみならず、食事に含まれるアレルゲンにより、ヒスタミンは体内で放出され、さまざまなアレルギー症状の原因となります [#]Jarisch R, Wantke F. Wine and headache. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 30 Oct 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8645981  [#]Maintz L, Novak N. Histamine and histamine intolerance. Am J Clin Nutr. Oxford University Press; 2007;85: 1185–1196.  [#]Kovacova-Hanuskova E E al. Histamine, histamine intoxication and intolerance. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 30 Oct 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26242570 。こうしたアレルゲンを避けるべき、というのはよく知られています。しかし、直接アレルギーがないはずの食材でも、それが高ヒスタミン食材の場合には、アレルギー症状が出現・悪化することも考えられるのです。アレルギー検査の結果を頼りに食材を選ぶのも必要ですが、どのような食材にヒスタミンが多く含まれるか、あるいはヒスタミンの害を緩和できるか、についても知識をつけ、体調管理の一助としてくださいね。

 

 

 

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