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菜種油とキャノーラ油。その違いと健康へのインパクトとは?
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菜種油とキャノーラ油。その違いと健康へのインパクトとは?

geefee ポイント geefee ポイント

・菜種油とキャノーラ油の違いは心臓疾患の要因になる可能性が研究で報告されている不飽和脂肪酸のエルカ酸
・遺伝子組み換えされた菜種から抽出されたキャノーラ油
・菜種油とキャノーラ油のオメガ3とオメガ6の比率と高温調理による酸化の健康リスクとは?

 

砂糖やアルコール、タバコなどが健康に悪いということはほとんどの人が認識していますが、なぜか、あまり注目されていないのが一部の食用油が与える体への悪影響。植物油の多くが健康的でないという記事は以前にもお伝えしましたが、中でも、菜種油とキャノーラ油は似たような原材料から抽出、精製された油であるにも関わらず、まったく別の油として認識されているため、健康へのインパクトはイマイチ不透明でもあります。今回は、この菜種油とキャノーラ油のそれぞれの健康リスクにフォーカスしていきます。

 

菜種油とキャノーラ油の違いはエルカ酸

両方とも菜種を原材料としているのに、名称が違う菜種油とキャノーラ油。その主な違いはエルカ酸(エルシン酸)の有無です。菜種には不飽和脂肪酸のエルカ酸がその脂肪酸構成の約30%~60%を占めますが、エルカ酸の長期の摂取により心臓疾患の要因になる可能性が研究で報告されています[#]“[食用油脂構成脂肪酸の毒性].” n.d. Accessed December 13, 2021. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/21/3/21_3_162/.... 。このことから、カナダでは、このエルカ酸の含有量を減少させるため、品種改良された菜種から抽出された油が開発されました。

 

これが、スーパーなどでも大きなボトルに入って販売されているキャノーラ油です。

 

そのほとんどがカナダなどから輸入された菜種を原料に生産されています。いわゆる工業用油。安価なため加工食品や飲食業などで需要が高いのが特徴です。

このキャノーラ油のエルカ酸の含有量は2%以下と定義されているため[#]Lin, Lin, Hanja Allemekinders, Angela Dansby, Lisa Campbell, Shaunda Durance-Tod, Alvin Berger, and Peter J. H. Jones. 2013. “Evidence of Health Benefits of Canola Oil.” Nutrition Reviews 71 (6): 370. 、心臓疾患のリスクという観点からは安全性は高いと言われています。

よって、品種改良されていない国内産の菜種から抽出された菜種油は、エルカ酸の含有量がかなり高い可能性があります。中には低エルカ酸の国産菜種を使用した菜種油も販売されていますが、

 

「エルカ酸を45%以上含む品種から搾油した油

 

といったように高用量のエルカ酸が含まれている菜種油も。

 

キャノーラ油はエルカ酸の含有量が低く、菜種油は、エルカ酸に関して言及していない限り、エルカ酸が多く含まれている可能性があるということを覚えておきましょう。

 

ここまでの説明でエルカ酸の含有量が低いキャノーラ油が健康に良い印象を持ちますが、ここからがとても重要です。

 

品種改良の際に行われたのが遺伝子組み換えです。
 

 

遺伝子組み換えされた菜種から抽出されたキャノーラ油

心臓疾患の観点からみると菜種油よりもエルカ酸の含有量が遥かに低いキャノーラ油の方が健康に良さそうな印象を持ちますが、品種改良の際に行われたのが遺伝子組み換えです。よって、遺伝子組み換えされた菜種を原材料とした油がキャノーラ油。現に、商品の原材料を見てみると、キャノーラ油の表示の横に「遺伝子組み換え」の表示があるものがほとんど。逆に、菜種油の多くが、「国産菜種を使用」、「純国内産」、「遺伝子組み換えでない菜種を使用」などと表記されています。よって、

 

-キャノーラ油-
・遺伝子組み換えされている
・エルカ酸含有量が2%以下

-菜種油-
・遺伝子組み換えがされていない
・エルカ酸含有量が高い可能性

 

と大まかに分類することができます。

遺伝子組み換えされた作物といえば世界で一番使用されている除草剤のラウンドアップに関連するもの。このカナダ産の菜種もラウンドアップの主成分であるグリホサート耐性植物として品種改良されていますので、残留農薬も懸念材料の1つということになります[#]Gifford, Dawn. 2021. “The Inconvenient Truth About Canola Oil.” August 10, 2021. https://www.smallfootprintfamily.com/the-inconvenient-truth-about-canola.... 。遺伝子組み換えによる作物が健康に与える悪影響はこちらの記事を参照にしてください。

 

 

結局のところ、エルカ酸摂取のリスクのある菜種油、遺伝子組み換えやグリホサートのリスクのあるキャノーラ油、どちらも健康的な油とは言えません。一方、油と言えば気になるのがオメガ6の含有量。次のセクションでみていきます。
 

 

菜種油とキャノーラ油のオメガ3とオメガ6の比率

植物性必須脂肪酸のオメガ6の摂取過多は、心疾患をはじめ慢性炎症疾患のリスクが上がる可能性があるため、オメガ3とオメガ6の摂取比率は1:1~1:5が理想的ということは以前の記事でもお伝えしましたが、菜種油及びキャノーラ油の比率は

 

オメガ3  9.1% 
オメガ6  18.6%

 

と約 1:2で食用油の中でも優秀な方です。 しかし、比率は問題がないにしろ、オメガ6の含有量が比較的多めであるため、揚げ物などの調理時に加熱されたオメガ6(リノール酸)が酸化することで、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、肝臓病などのリスクに繋がる可能性のあるHNE(ヒドロキシノネナール)という有害物質が生成されることが指摘されています[#]“Food Fried In Vegetable Oil May Contain Toxic Compound.” n.d. Accessed December 13, 2021. https://www.sciencedaily.com/releases/2005/05/050502190054.htm.  [#] Yamashima, Tetsumori. 2021. “Intake of ?-6 Polyunsaturated Fatty Acid-Rich Vegetable Oils and Risk of Lifestyle Diseases.” Neurology and Neurorehabilitation 0 (0): 7–7. 。キャノーラ油に含まれているリノール酸は約30%。加熱後急速に酸化するのです[#]“Do Cooking Oils Present a Health Risk?” n.d. Accessed December 13, 2021. https://www.ift.org/news-and-publications/food-technology-magazine/issue....

 

 

これは、菜種油やキャノーラ油だけに限った話ではなく、オメガ6が多く含まれる植物性油に共通して言えること。揚げ物自体がどのような油を使用していても健康に良くないという話は何度もgeefeeではしてきましたが、キャノーラ油をはじめサラダ油のような安価な油を使用している場合は目も当てられません。しかし、コンビニやレストランなどでもごく普通に調理に使用されているのです。コンビニの唐揚げを食べた後に、なんだか顔がベタベタしたり、気が付いたらデキモノができていた、といったことを経験したことがある人もいると思いますが、これにはそうした背景があるのです[#]Dupont, J., P. J. White, M. P. Carpenter, E. J. Schaefer, S. N. Meydani, C. E. Elson, M. Woods, and S. L. Gorbach. 1990. “Food Uses and Health Effects of Corn Oil.” Journal of the American College of Nutrition 9 (5). https://doi.org/10.1080/07315724.1990.10720403.  [#]Tanghetti, E. A. 2013. “The Role of Inflammation in the Pathology of Acne.” The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology 6 (9). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24062871/. 。オメガ6の摂取過多は代謝にも悪影響を与えるので[#]Carton, Leah. 2020. “The One Cooking Oil You Should Stop Using Immediately Because It Slowly Destroys Your Metabolism.” August 31, 2020. https://www.shefinds.com/collections/the-one-cooking-oil-you-should-stop.... 、食が細いのに太ってしまうような人は、油の種類が不透明な外食やコンビニ飯に頼るのを控えてみては?

 

まとめ~菜種油とキャノーラ油。その違いと健康へのインパクトとは?~
菜種油にしろキャノーラ油にしろ、それぞれエルカ酸及び遺伝子組み換えや残留農薬のリスクが懸念されます。また、含有量の高いオメガ6が高温調理時に酸化することは避けられません。タバコやアルコールを辞めて、砂糖の摂取量もかなり控えているのに、体重増加や慢性疾患などの健康を問題を抱えている人は、食事中の油の種類が盲点になっているのかもしれません。加工食品をはじめ、外食産業の油のほとんどは、キャノーラ油をはじめとした健康にとってマイナスの油であると疑った方が良いのです。ただし、せっかくエキストラバージンオリーブオイルのような良質な食用油を使用したとしても、高温調理をしてしまうと健康リスクを伴うということも忘れずに。

【関連記事】「料理に使う食用油、健康のためにはどれがいいの?代表的な5つの油を徹底比較!

 

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