サウナも種類はさまざま。それぞれどう違うの?
一概にサウナと言っても、いろいろあります。湿度で分けると、ミストサウナやスチームサウナのようなサウナは、高湿度のタイプ。一方、湿度の低いタイプには、ドライサウナや遠赤外線サウナがあります。
一般的な銭湯などにあるのはドライサウナで、室内温度が80度~100度。非常に高温で表面上の皮膚だけが熱くなり高温の割にはなかなか発汗しません。5分も入っていればかなりの体力を消耗してしまい体に負担がかかってしまいます。
今回取り上げている遠赤外線サウナの温度は、最大でも約60度。遠赤外線という電磁波がゆっくりと優しく体内の水分子に働きかけ、あまり高温でないのに汗が体内から流れ出ます。ドライサウナと比べると体の負担も少なめです[#]Beever, R., 2009. Far-infrared saunas for treatment of cardiovascular risk factors: summary of published evidence. Canadian family physician Medecin de famille canadien, 55(7), pp.691–696. 。
また、高湿度のタイプとして今回の記事で取り上げているミストサウナは、お湯を霧状にして放出するサウナのことで、温度は約40度。温度は低めですが、高湿度であることから温熱効果が得られ、ドライサウナと比較すると血圧も上がりにくく、血管への負担も抑えられます[#]Iwase, S., Kawahara, Y., Miwa, C., et al., 2013. EFFECT AND EFFICACY OF THERMAL ENVIRONMENT PROVIDED BY A NEW BATHING STYLE, “MIST SAUNA BATHING.” Balneo Research Journal, 4(1). Available at: http://dx.doi.org/10.12680/balneo.2013.1039. [#]Iwase, S., Kawahara, Y., Nishimura, N., et al., 2013. Effects of dry and mist saunas on circulatory and thermoregulatory functions in humans. Health, 05(02), pp.267–273. 。
遠赤外線サウナの効果
遠赤外線サウナでは、特に血管についての効果がいくつか報告されています。
60℃の遠赤外線サウナに15分入った後、30分間ベッドで休むことを2週間続けると、サウナに入らなかった場合と比べて、血管の酸化ストレスを示す値が低くなったという実験結果があり、動脈硬化の予防につながるのではないかと言われています[#]Masuda, A. et al., 2004. Repeated sauna therapy reduces urinary 8-epi-prostaglandin F(2alpha). Japanese heart journal, 45(2), pp.297–303. 。
また同じように赤外線サウナ浴15分を2週間続けると、血管の柔らかさを示す数値が改善したというデータもあり、血管の状態を良好に保つことが言われています[#]Imamura, M. et al., 2001. Repeated thermal therapy improves impaired vascular endothelial function in patients with coronary risk factors. Journal of the American College of Cardiology, 38(4), pp.1083–1088. 。
ミトコンドリアと遠赤外線の関係
人間を含む動物や植物の細胞一つ一つの中に数百から数千入っているミトコンドリアは細胞のエネルギー工場。ミトコンドリアの主な役割は生物のエネルギー源であるATP(アデノシン3リン酸)を酸素を使って生成すること。ATPは筋肉を動かしたり、体内のイオンを運んだりするのに必要不可欠なエネルギー源ですから、ミトコンドリアは体にとって重要なことがわかります。最近このミトコンドリアの重要性が欧米でとても注目されています。
生物にとって欠かせないATPを生成しているミトコンドリアですが、酸素を多くつかうことから、実は同時に活性酸素も作り出されているのです。活性酸素はいわゆる酸化ストレスの原因となる物質で、DNAなどの体内の重要な物質を傷つけてしまいます[#]Nunnari, Jodi, and Anu Suomalainen. 2012. “Mitochondria: In Sickness and in Health.” Cell 148 (6):1145–59. 。健康を維持するには、この活性酸素を適切に打ち消していくことが大切です。
実は最近の研究でミトコンドリアに遠赤外線が及ぼす影響が少しずつ分かってきています。まだ細胞実験や動物実験の段階ですが、遠赤外線によってミトコンドリアでの活性酸素の生成や酸化ストレスが抑制されるという報告があります[#]Keszler, Agnes, Garth Brandal, Shelley Baumgardt, Zhi-Dong Ge, Phillip F. Pratt, Matthias L. Riess, and Martin Bienengraeber. 2014. “Far Red/near Infrared Light-Induced Protection against Cardiac Ischemia and Reperfusion Injury Remains Intact under Diabetic Conditions and Is Independent of Nitric Oxide Synthase.” Frontiers in Physiology 5 (August):305. [#]Giuliani, Alessandro, Luca Lorenzini, Michele Gallamini, Alessandro Massella, Luciana Giardino, and Laura Calzà. 2009. “Low Infra Red Laser Light Irradiation on Cultured Neural Cells: Effects on Mitochondria and Cell Viability after Oxidative Stress.” BMC Complementary and Alternative Medicine 9 (April):8. 。先にも述べた通り、遠赤外線サウナで酸化ストレスが軽減されるのも、もしかしたらミトコンドリアと関係があるかもしれませんね。
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